コンテンツマーケティングを極めたビューティブランド3社

デジタル化の進展に伴い、買い物客がメディアを消費する方法(特に広告の消費)は大きく変化しました。膨大なデジタルノイズが買い物客を圧倒する中で、トップブランドはパーソナライゼーションを駆使して自社の商品をより際立たせる方法を模索しています。その方法の1つに「ストーリーテリング」があり、特に美容業界のコンテンツマーケティングにおいて、大きな成功を収めつつあります。

Criteoの「ショッパーストーリー」調査では、米国のファッション関連商品の消費者の70%は、ときどき、または頻繁に、オンライン上で衝動買いすることが明らかになっています。もし御社が、どのチャネルにおいても、真っ先に消費者に思い出してもらえるよう努めているのであれば、これは大きなチャンスです。Criteoの「Z世代の特徴と傾向」によると、Z世代は動画や音楽を好んで消費する傾向があり、彼らは主にモバイルデバイスからストリーミングコンテンツを週に平均23時間も消費しています。

銀行取引をはじめ、メールやニュースのチェックなど、多くの人にとってスマートフォンが生活の一部となっている現在、モバイル経由のデジタルメディアの消費が急増しています。つまり、ブランドが独自のコンテンツを作成することが、マーケティング戦略を強化する上でますます重要な意味を持つようになっています。

美容業界は今や4,450億ドル規模に達し、さらに日進月歩の成長を続けています。デジタルメディアの発展のおかげで、美容関連商品の消費者は時間や場所を問わず、商品に関するレビューを読んだり、ハウツー動画を視聴できるようになり、指先一つでデバイスをスクロールすればセレブやインフルエンサーの写真を閲覧できるようになりました。

本ブログでは、コンテンツマーケティングで大成功を収めた化粧品ブランドの事例をもとに、コンテンツマーケティングで成功するためのヒントを3つ、ご紹介します。

1. いつでも、すぐ手の届くところに。— Glossier

最新かつ最高の化粧品を探す買い物客は、常に活動的な生活を送っています。そのため、ブランドは彼らの購入意欲が高まっていないときでさえも、常に彼らの視界の中に留まっておく必要があります。

たとえば、毎日の通勤時間は格好のチャンスです。人々は電車やたタクシーを待っているとき、もしくはスーパーや郵便局で列に並んでいるときも、SNSのフィードをスクロールしながら閲覧しています。

こうした暇つぶしの時間にエンゲージメント効果の高いコンテンツを提供できれば、モバイルファーストな買い物客により多くリーチできるはずです。

Glossierの「Top ShelfQ&A

2014年、化粧品・スキンケアのブランドのGlossierは、独自のコラム「The Top Shelf」を立ち上げました。このコラムでは、同社創業者のエミリー・ワイスが女性たちにメイクや日々のスキンケアなどについてインタビューを行います。

スーパーモデルやファッション界の重鎮、雑誌編集者などの日常を垣間見ることができるこのコラムは、オーディエンスにインスピレーションを与え、同社を成功に導きました。また、Glossierのファッション関係者による美容ブログ「Into the Gloss」では、美容に役立つヒントやテクニックなどを紹介するコンテンツを提供して、熱狂的なフォロワーを集めています。このサイトには、毎月100万人を超えるユニークユーザーがアクセスしています。

Glossierの例から学べることは、ブランドは買い物客に対し、常に自社の存在を示さなければならないということです。理想は、彼らの生活の一部になることです。読者が御社や商品について簡単に学べるようにすれば、彼らを熱狂的なファンにすることができるかもしれません。

2. ストーリーを簡潔に伝える。— L’Oreal

多くのブランドが、消費者にリーチして彼らに存在をアピールしようと熾烈な競争を繰り広げています。ブランドは常にメッセージやクリエイティブ、メディアをモバイルに最適化して、関連性の高い説得力あるストーリーを届けなければなりません。

買い物客がスマートフォンを覗く度に、モバイルフレンドリーな短いストーリーを配信できれば、買い物局との関係を構築できるでしょう。ただし、どのコンテンツがタイミングよく彼らの衝動買いを誘発できるのか、完全に予測することはできません。

簡潔なLOréalYouTube動画

L’OréalはRoot Cover Upスプレーを発売した際に、最初の6秒間で商品の主なメリットや効果を紹介するYouTube広告を作成しました。商品に関心を持った買い物客は、そのまま動画を視聴し続けて詳細を知ることができます。

L’Oréalの広告

つまり消費者には必要最小限の情報を伝え、詳細な説明はスキップできるようにしたのです。広告をこうしたシンプルで直接的なものに仕上げれば、さまざまなチャネル(印刷物やEメールのキャンペーンなど)を横断してエンゲージメントを効率化し、それを維持できるようになります。

3. 顧客を勇気付けるメッセージを使ったキャンペーン。— Rimmel

長年、世界のブランドはオーディエンスを勇気付けるようなテーマを採用しています(たとえば、Doveの「リアルビューティー」キャンペーンは10年以上も続いています)。それには相応の理由があります。いつの時代も、人は自分に自信を持ちたいものだからです。

Rimmel#LiveTheLondonLook(ロンドンスタイルでいこう)

Rimmelは男性ブロガーのルイス・ボール(Lewys Ball)氏など、4人の美容系トップインフルエンサーを起用して、ダイバーシティを称えるキャンペーンを行いました。そのメッセージは、「Be bold, be you.(大胆に、そして自分らしく)」。

「予測不能、偽りなく、ドラマチックに… 自信はリスペクトから生まれる」

— #LiveTheLondonLook

ここでは自由とクールをテーマに、「誰もが目指すべき唯一のスタイルなど存在せず、ユニークであることを決して恐れるべきではない」というメッセージを伝えています。

動画の中では明るい光の降り注ぐ街中で、人々が楽しんでいる様子が描かれています。Rimmelはこうした生き生きとしたコンテンツを通じて、美容関連商品の購入者が大切にしている「個性の尊重」という価値観と、自社の商品をスマートに結び付けることに成功しました。そして「自分を作るのは、自分自身」というナレーションが続きます。

今やオンラインとオフラインの区別はなくなり、オムニショッピングは世界中で拡大しています。

買い物客は膨大な数のデジタルオファーにさらされています。だからこそ、美容ブランドがコンテンツマーケティングでデジタルノイズに勝てるチャンスが大きくなっているのです。買い物客がSNSやアプリ、実店舗など、どのようなチャネルを利用していたとしても、オンラインで伝えたストーリーをオフラインの体験へとつなげることが重要です。今や、世界の買い物客の4分の3以上が、オンラインからオフライン、またはその逆にエンゲージしてショッピングしている時代です。さまざまなチャネルを横断して魅力的なストーリーを発信することが、長く持続するエンゲージメントや顧客ロイヤルティを構築するカギとなります。