「マスク」でブランド価値向上?異業種参入相次ぐ

 

異業種が次々にマスク製造に参入

新型コロナウイルスの感染が急速に拡大した2020年2月~4月、世界的にマスクやアルコール消毒液などの衛生用品の不足が大きな社会問題となりました。

日本で特に深刻だったのが、使い捨てマスクの不足です。もともと市場に流通していた使い捨てマスクの大半が中国製だったため、中国からの輸入が途絶えてしまうと、供給がほぼストップ。店頭からはほぼ姿を消し、医療現場でもマスク不足が深刻に。一方で、フリマアプリやネットショップで不当に高額な値段で販売・転売されるケースが続出、問題視されるようになりました。

そんな状況に一石を投じるべく立ち上がったのが、一部の国内メーカーです。普段は別の商品を作っているメーカーやアパレル企業が、新型コロナの影響で休業中だった工場などを使ってマスクの製造を開始、次々に発売をするようになりました。

たとえば5月にはスポーツ用品メーカー大手のミズノが、6月にはアパレル大手のユニクロがマスク製造に参入、大きな話題を呼びました。

変わるマスクの存在意義

こういったメーカーがマスク製造に参入した本来の目的は、社会問題となっていた使い捨てマスクの不足を解消すること。しかし、マスクの供給が再開して店頭で手に入りやすくなった今、各メーカーのマスクが持つ意義が変化しつつあります。

そう、これらのマークは各メーカーにとって単なる一商品ではなく、自社の素材やデザイン力、そして社会的責任を果たす企業であることを社会にPRし、ブランド価値を上げるための絶好のツールとなっているのです。

ミズノは、スポーツ用品メーカーならではの強みを活かし、従来は水着用に使用していた伸縮性に優れた素材で独自のマスク「マウスカバー」を発売。最初に発売した2万枚がすぐに完売するなど大きな話題を呼びました。ユニクロはドライ機能や消臭機能に優れた自社の人気製品「エアリズム」と同じ素材で作った「エアリズムマスク」を販売。暑い日にマスクをつける不快感や熱中症への懸念が解消されるのでは?との期待から爆発的に売れ、今も品薄状態が続いています。

マスクの定着による恩恵を受けているのは、メーカーだけではありません。日本各地に伝わる伝統工芸(和紙や織物)を使ったマスクも注目を集めています。たとえば美濃和紙(岐阜)や西陣織(京都)、今治タオル(愛媛)といった伝統工芸の技がマスクとして利用されたことによって知名度を上げ、結果として既存顧客とは異なる客層にその存在感をアピールする機会を手に入れたのです。これらのマスクの販売価格は数百円~数千円程度。「伝統工芸は高価で日常使いしづらい」という印象を払拭し、若年層からも支持を集めています。

関連商品もヒット。キーワードは清涼感

こうしたマスク人気に便乗する形で、マスク用のスプレーやアクセサリーも次々に発売されています。中でも思わぬ大ヒットとなったのが「ハッカ油」。主に北海道で製造されているハッカ油(ペパーミントオイル)をマスクにスプレーすると清涼感が増すことがインターネットなどで話題を呼び、メーカーに注文が殺到。品薄状態が続き、こちらもフリマアプリ等で高値転売される事態に至っています。

東京都内をはじめ、全国で先月末から連日最多の感染者が出るなど、新型コロナウイルス感染症の終息の兆しが見えないまま始まった今年の夏。マスクに清涼感や快適さを求める声が高まる中、各社が凌ぎを削るマスクはもちろん、その関連製品から、今後も思わぬヒット商品が生まれるかもしれません。