カスタマーエクスペリエンス向上には何が必要か?

 

デジタルマーケティング業界で「カスタマーエクスペリエンス」(以下、CX)向上の必要性が、さかんに指摘されています。しかし、各自にとってのCXの本来の意義が十分に理解・議論・共有されないまま、CX向上に取り組み、空回りしてしまっている企業やブランドも散見されるのが現状です。今回のブログでは、そもそもCXとは何なのか、なぜそんなに重要なのかをおさらいすることによって、企業やブランドが取り組むべき「CXの向上」について再考してみたいと思います。

そもそもCXとは?

インターネットショッピングが普及する以前は、企業と顧客のほぼ唯一の接点は「購入」でした。その前後の顧客との接点について重視している企業やブランドは少なく、せいぜい季節ごとにカタログを送付するか、誕生月に割引オファー付きのバースデーカードを郵送する程度で済ませていたケースがほとんどだったのではないでしょうか。

しかし、今や顧客との接点は「購入」だけではありません。もちろん「購入」が重要な接点であることは今も変わりませんが、インターネットショッピングが一般的となった今、商品を購入する前後の過程においても複数の接点(たとえば広告やホームページの閲覧、問い合わせ、商品の郵送と受け取り、商品レビューの書き込みなど)が生じ、これらの接点が「購買」の決断や、企業・ブランドに対する印象・評価を左右するケースも珍しくありません。

加えて、今や企業やブランド側が一方的に発信する時代は終わり、個々の消費者がブログやSNSで自由に情報を発信する時代。商品やサービスの感想、あるいは企業やブランドから受けたイメージ口コミとしてネット上に発信され、それが商品やサービスはもちろん、企業やブランドの価値自体を左右する可能性があります。

このため、購入だけでなく購入に至るまでの過程や購入後のやりとりなども含めた顧客の体験全体を、いかに満足度の高いものにできるかが、購入の決め手として、また企業やブランドの価値の1つとして重要視されるようになりました。つまり、企業・ブランド側は、「商品の検討段階から購入を経て、購入後に至るまでの間の顧客の一連の体験とその体験に伴う消費者の感情や印象のすべて」を、CX(顧客体験)として捉える必要があるということです。

期待を超える驚きや喜びを~CX向上には何が必要か?

では、CXを向上するためには、何をすればよいのでしょうか?よく誤解されているように、単に割引クーポンを提供したりメルマガ会員限定キャンペーンを行ったりするだけでは、決して十分ではありません。CXを向上させるためには、顧客の期待に確実に応えること、そして期待を超えた驚きや感動を与える必要があります。こういった感動を味わった顧客はかなり高い確立でリピーターやロイヤルカスタマーになってくれるでしょう。また、情報発信力の高い顧客ならSNSなどでその感動をシェアし、商品やサービスの良さ、企業やブランドの魅力を多くの人に伝えてくれるはずです。

ここで注意しなくてはならないのは、「期待を超える驚きや感動」は顧客によって異なるということです。一言に顧客といっても千差万別。興味・関心の方向性が異なるのはもちろん、欲しい物も欲しいタイミングもさまざまです。一人ひとりに優れたCXを提供するには、顧客一人ひとりを知る必要があるのです。

そこで重要になってくるのが、「データの活用」です。インターネットの普及で消費者がかつてないほど大きな発言力・発信力を得たのと同時に、企業やブランドはかつて持ったことのないほど膨大な量の顧客データを手に入れました。このおかげで、これまでおぼろげにしかわからなかった顧客層や顧客の購買行動のパターンが、かなり明確にわかるようになったのです。その上で、一人ひとりに最適なタイミングで最適な方法のアプローチができるようになりました。つまり、画一的なアプローチではなくパーソナライズしたアプローチができるようになったのです。たとえば、ネット上に表示される広告一つとっても、それを観ている顧客が好みそうな商品、以前ネットショップで閲覧していた商品、以前購入したブランドの新商品など、関連性の高い商品を選んでレコメンドできるようになりました。

また、購入前後の接点でリーチした消費者のデータをも収集・分析することも可能に。これによって、将来顧客になるかもしれない潜在顧客や見込み顧客を特定し、アプローチすることもできるようになったのです。

大切なのは、「データの先にいる顧客」への配慮を忘れないこと

こうして手に入れたデータは、大きな価値を企業やブランドのみならず、消費者にも様々な恩恵をもたらしました。例えばデータに基づいてパーソナライズされた広告を見ることによって、消費者は以前閲覧したきり忘れていた商品をリマインドしてもらったり、好みの新商品をレコメンドしてもらったりできるようになったのです。中には実店舗の店頭で、以前オンラインショップで買ったスカートに合うトップスを提案されて嬉しかった!というような経験を持つ人もいるでしょう。

しかし、何ごとも過ぎたるは及ばざるがごとし。最近では、データを使った過剰なマーケティング施策が逆にCXを低下させるケースが増えています。コンバージョンを少しでも向上させようと、同じユーザーに何度も同じ広告を表示してしまったり、1日に何度も販促のメールを送ってしまったりする例が後を絶ちません。しかし、ネットにアクセスする度に何度も同じ広告が表示されたり、1日に何通もメルマガや販促メールが送られてくる不快さは、想像に難くありません。CX向上のための施策であるはずなのに、CXの低下を招いているとしたら、まさに本末転倒。すでにCX向上に取り組んでいる企業やブランドは、このような逆効果を生んでいないか、改めて自社の施策を見直す必要があるでしょう。

CX向上のための施策を始める場合は、自社の顧客にとっての「期待を超える驚きや喜び」は何かを考えるところから始めることが大切です。データ解析はもちろん重要ですが、目に見えないからといって、データは決して無機質なものではなく、データの向こうには顧客とその生活が息づいていることを決して忘れないように。データの分析は、実は顧客との対話でもあるという意識を持つことを忘れないようにしたいものです。

顧客に寄り添う適確なデータ解析と、それに基づく優れたCX向上施策について知りたい方は、Criteoまでお気軽にご相談ください。