スマートスピーカーの普及拡大はどんなチャンスをもたらすのか?

 

所有率は前年比50%増!

2018年のデジタル消費において最も注目すべきトレンドの1つが、スマートスピーカーの普及拡大でした。 日本ではスマートスピーカーを所有している人はまだそう多くはないものの、「Alexa,キッチンペーパー注文して!」、「OK,Google、電気つけて!」といった呼びかけにすぐさま反応する各社のコマーシャルは非常にインパクトが大きかったので、スマートスピーカーについて「持ってないけど、知っている」「まだ持っていないけど、興味はある」という人も多いのではないでしょうか?

実際、2018年にアクセンチュアが日本を含む世界19カ国の2万1,000人を対象に行ったオンライン調査「2018 Accenture Digital Consumer Survey」では、調査対象となったすべての国において、スマートスピーカーの所有率は、母国語でのサービスの有無にかかわらず前年比50%超という大幅な伸びを見せていること、また購入予定の人も含めた場合、スマートスピーカーの所有率は中国、インド、アメリカ、ブラジル、メキシコの5カ国で、2018年末までにオンライン人口の3分の1にまで達する見通しであることが明らかになりました。また、同調査ではスマートスピーカーのユーザの使用頻度は75%、満足度は94%と非常に高いことも明らかになったことから、アクセンチュアでは「スマートスピーカーは既に多くの国で『キャズム※』に達しており、今後日本でも急速な普及の拡大が予想される」と分析しています。

(※市場が初期からメインストリームへ移行するのを阻害する溝)

 

視覚に訴えるマーケティングから聴覚に訴えるマーケティングへ

同調査では、もう1つ非常に興味深い調査結果が明らかになりました。それは、スマートスピーカーユーザーのうち、スマートスピーカーを使うようになってから「スマートフォンの使用頻度が減った」と答えた人が、全体の3分の2に上ったことです。詳細を見てみると、「エンターテインメントサービスでのスマートフォンの使用頻度が減少」と答えた人が全体の64%、「オンライン・ショッピングでのスマートフォンの使用頻度が減少」と答えた人が全体の58%、「検索でのスマートフォンの使用頻度が減少」と答えた人が全体の56%に上っています。おそらく、多くのユーザは外出先ではこれまでどおりスマートフォンやパソコンを使ってエンターテインメントサービスやオンライン・ショッピングを行っていることでしょう、しかし、スマートスピーカーを設置している自宅やオフィスにおいては、これまでスマートフォンを使っていた場面で、スマートフォンの代わりにスマートスピーカーを使用するようになりつつあるようです。そう、私達のコンピュータへの指示命令手段は、従来の「手」から「音声」へと、今まさに大きく変化しつつあるのです。それは、視覚に訴えるマーケティングから聴覚に訴えるマーケティングへのシフトチェンジへの必要性が高まっていることをも意味します。

こういった変化を受けて注目を集めているのが「音声 広告(オーディオ・アド)」です。日本国内でもすでにスマートスピーカーでの音声広告の配信ネットワーク構築に関する実証実験が始まっていますし、AmazonのAlexaが広告事業をスタートすることも報じられています。今後、スマートスピーカーが普及していくに従って、デジタル広告のあり方はその根本から変化していくことになるでしょう。聴覚に訴える広告、たとえば対象となるユーザが選んだ声優やタレントの声で商品のレコメンドをする広告などが現実のものになってくれば、新たなプロモーションの機会やビジネスチャンスが生まれることは間違いありません。

アクセンチュアでは、スマートスピーカーの今後について「デバイスの普及自体は難しいことではない。重要なのは消費者とデバイスのエンゲージメントを維持することです。そのためには、デジタルとリアルの体験を真に統合するアプリ開発が成功のカギとなる」と分析しています。今後、スマートスピーカー上でどのようなアプリが求められていくのか、またどのような広告が効果的か、スマートスピーカーを巡る動向から今年も目を離せそうにありません。