2018年03月12日
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ネット広告の歴史~「ダイナミックリターゲティング」誕生まで

 

ネット広告の歴史を振り返りつつ、「ダイナミックリターゲティング」誕生の背景を探るシリーズ、第2回はリスティング広告の登場によって起きた広告の変化について振り返ってみましょう。

 

  • 純広告の衰退とアドネットワークの台頭

2000年代中盤にはネット広告の中心的存在となったリスティング広告ですが、浸透するにつれて広告主・メディア双方において問題が指摘されるようになってきました。1番の問題は、ユーザにとって「検索」は手段に過ぎないということです。皆さんも、ご自分がネット検索をするときのことを、思い浮かべてみて下さい。例えば、デジカメを買いたいとき、皆さんが比較サイトやECサイトを閲覧するのは、デジカメの価格や在庫、性能を調べるのが目的ですよね?検索はあくまでも、その目的にたどり着くための手段にすぎません。つまり、ユーザは検索にあまり多くの時間を割かないので、広告を閲覧する時間も短いのです。

そこで、ユーザがより長く滞在し、かつ多く閲覧するページでの広告が再び注目を集めるようになりました。従来、ここは純広告と呼ばれる一般的なバナー広告や、サイトページのコンテンツに連動したコンテンツマッチと呼ばれる広告が掲載されていたエリアです。2000年代後半、このエリアが新たなタイプの広告に取って代わられるという変化が起きました。その変化を起こしたのが、アドネットワークの潮流です。

アドネットワークとは、広告媒体のWebサイトを多数集めて「広告配信ネットワーク」を形成し、多数のWebサイト上で広告を配信する手法のこと。複数のWebサイトを媒体とすることによって、多くのトラフィック量を確保することができ、広告主には大きなメリットがあります。媒体側から見ても、アドネットワーク事業者に受注、掲載の手続き等を任せることができるメリットがあります。

 

  • オーディエンスターゲティングとアドテクの誕生

しかし、アドネットワークには、ブランディング的に不適切なサイトや自社のターゲットとは全く関係のないサイトに広告が掲載されてしまうなど、品質や効果の面でいくつかの問題がありました。

そこで誕生したのが、オーディエンスターゲティングです。オーディエンスターゲティングは、広告配信面でのターゲティング(例えば旅行関連のサイトやコンテンツに広告を配信する)ではなく、どのようなサイトでどのような商品を買ったユーザなのかという「オーディエンスデータ」をもとに行うターゲティングのこと。これが活用されることによって、広告主は好ましいユーザを指定し、媒体はどのようなユーザなのかを提供、さらにそれぞれ買値と売値を指定するという新しいマーケットが誕生したのです。さらに、この買値と売値の取引をリアルタイムで成立させる株式市場のような仕組み「RTB=リアルタイムビッティング)が誕生。これが俗にいう「アドテク」が産声を上げた瞬間でした。

ちなみに、株式市場と言えば、このアドテク誕生に大きな影響を与えたとされているのが、リーマンショックです。2008年暮れに起きたリーマンショックで職を失った優秀な金融工学エンジニアが広告業界に流れ、株式市場で運用されていたオークションシステムを広告業界で再現したと言われています。もしこれが事実なら、リーマンショックは思わぬところで、広告業界に大きな前進をもたらしたことになりますね。

次回は、ダイナミックリターゲティング誕生の経緯を振り返ります。