携帯料金競争が激化?改正電気通信事業法の概要とは

 

2019年5月、改正電気通信事業法が参議院本会議で全員一致で成立、2019年秋にも施行されることになりました。もはや私たちの日常生活に不可欠なツールとなっている携帯電話の料金について定める電気通信事業法。今回は主にどのような改正が行われ、その結果、私たちの生活にどのような影響が予想されているのでしょうか?

「セット割」禁止へ。通信料金と端末代金が完全分離へ

今回の改正の目玉は、なんといっても、これまで主流だった通信契約と端末購入をセットで販売する手法、いわゆる「セット割」を禁止する「完全分離」が義務付けられたこと、そして契約時に一定期間の料金を割り引く代わりに、著しく高額な違約金を課す囲い込み手法の禁止が盛り込まれたことです。これによって、端末購入を伴う通信料金の割引が禁止され、携帯各社は端末購入者に端末購入補助サービス(docomoの「月々サポート」、KDDIの「毎月割」、ソフトバンクの「月月割」など)の提供ができなくなります。

「セット割」等の従来の携帯電話の販売手法については、「新しい機種を頻繁に購入する人は割引が受けられるが、同じ端末を長く使う人の料金は割高になる」、「利用者全員の通信料金が特定の利用者のための割引の原資になる仕組みは不公平だ」といった指摘が相次ぎ、今回の改正はその解消を目指したものです。

また、今回の改正では携帯端末の販売代理店について総務省への届け出を義務化する制度の導入も盛り込まれました。これまで販売代理店への指導は携帯会社各社の自己管理に委ねられていたため、行政はその営業実態について十分に把握できませんでしたが、今回の届出制の導入で、不適切な販売手法が行われた場合の是正が行いやすくなりました。

料金競争で顧客の囲い込みがさらに激しく

改正法の施行は2019年秋に予定されていますが、すでに携帯各社では法改正の内容を意識した新プランを次々に発表しています。秋には楽天も携帯電話事業への算入を予定しており、今後、各社の間で料金競争、低料金プランによる顧客の囲い込み競争が激化しそうです。

今回の改正によって、ユーザは従来よりも公平な料金体系で携帯電話を購入・利用できるだけでなく、純粋に端末の機能を比較検討した上で、自分に最適な携帯電話を選ぶことができるというメリットを享受できるようになります。

しかし、今回の法改正による懸念事項も一部で指摘されています。最も大きな懸念が、2020年以降に本格的な商用サービス利用開始が見込まれている5G普及への影響です。大容量データをこれまでにない速さで送受信できる5Gならではのサービスを利用するには、5G対応の新型端末に買い替える必要がありますが、「完全分離」制度の導入によりユーザの端末買い替え意欲がしぼめば、5G普及が鈍化してしまい、結果として5G関連ビジネスの発展についても海外諸国に遅れをとってしまうのではないかという懸念の声が上がっているのです。一部では、「完全分離」により、初期費用に割高感が出ることは否めないため、「スマホ販売台数は、改正法施行直後は、約3割程度落ち込むのではないか」という声も聞かれます。

携帯電話業界は携帯会社から部品・アクセサリメーカー、工事会社から販売代理店まで実に裾野が広い業界であり、巨大なサプライチェーンが存在しています。今回の法改正が、そこにどのような影響を与えるのか、注意深く見守っていく必要がありそうです。