海外旅行予約に異変?年配者はネット、若者は・・・?

 

2018年最も海外旅行に行った世代は・・・?

近年はインバウンドの盛況ぶりばかりが注目されている旅行業界ですが、逆に日本人の海外旅行事情には、どんな傾向が見られるのでしょうか?海外渡航が自由化されて今年で55年、日本人の海外旅行にはどんな変化が起きているのか、JTB総合研究所「海外観光旅行の現状2019」から読み取ってみました。

まず、2018年に日本から海外に旅行に出かけた人の数(実質海外旅行者数)は1,258万人、実質出国率10.1%と、いずれも過去最高を記録し、海外旅行をする人が全体的に増えていることがわかりました。

出典:JTB総合研究所「海外観光旅行の現状2019」

性別・年齢別に見てみると、男性は2018年の平均旅行回数は、全体では前年と同じ1.7回となりましたが、20代、40代、50代男性の平均回数には減少傾向が見られました。一方の女性は全体では前年と同じ1.5回でしたが、20代は1.4回⇒1.5回、40代は1.4回⇒1.6回、50代は1.5回⇒1.6回といずれも前年を上回りました。

では、実際に海外旅行に最も積極的なのは、どの層なのでしょうか?2018年の出国者の年齢を5歳ごとに区切って見てみたところ、前年比で最も増えていたのが20~24歳の女性(前年比115.5%)、出国者数でいうと117万1455人、出国率は40.5%で、同年代の男性(18.4%)の倍以上を記録。20~24歳の若い女性が、海外旅行に最も積極的であることがあきらかになりました。

ただし、若い男性も決して海外旅行に消極的ということではなく、20~24歳の男性の出国者数は56万1,928人(前年比110.3%)と、男性の中では70代以上(111.4%)に次いで2番目に高い伸び率を記録、一時は海外離れが進んだと言われた若い男性にも、積極的に海外旅行に出かける傾向が見られるようになっています。

人気の行き先は?

次に、人気の旅行先にはどのような変化が起きているのかをみていきましょう。同じくJTB総合研究所が行った海外旅行実態調査によると、2018年最も人気の高かった旅行先は東アジア(韓国、台湾、香港・マカオ)で、海外旅行者全体の約28%が東アジアを訪れていたことがわかりました。次いで2番目に多かったのが東南アジア(シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピン)で21.9%、逆にヨーロッパやロシアは13.7%と大きく減少しました。JTB総合研究所は、東南アジア・東アジアの伸びについて「この背景には、日本とアジア各都市を結ぶLCCが普及したこと、“韓流ブーム”の始まりと“日常”への定着、そして“ウェブによる予約の簡便化”などが考えられる」と分析しています。

出典:JTB総合研究所「海外観光旅行の現状2019」

旅行予約方法に老若逆転現象

そして、今回の調査で最も注目を集めたのが、海外旅行の予約方法についての調査結果です。旅行商品の申し込みまでの流れを聞いたところ、「相談から申し込みまですべてネットを利用」と回答した人が約48.2%で最も多かったのですが、年代別の回答を見ると、18~29歳男女は「相談から申し込みまですべて旅行会社の店舗を利用」との回答が「検討から申込みまですべてネットを利用」を上回りました。

一方、女性の40代以上と男性の50代以上は「検討から申込みまですべてネットを利用」が半数を超える結果に。つまり、海外旅行に関しては、年齢が上がるほど商品の検討も購入もネットで完結し、店舗を利用しない傾向が高いことが明らかになったのです。

この理由についてJTB総合研究所では、「旅行経験が豊富な中高年ほどネットを利用し、旅行経験が浅い若い世代ほど店舗で相談やアドバイスを受けてから商品を選ぶ傾向にあるのではないか」と分析しています。また、行き先が初めての国であっても、シニアの場合は海外旅行そのものに慣れているので、ネットでの情報収集のみで事足りるのに対し、若い世代には情報を集めるスキルはあっても海外旅行の経験がない・もしくは乏しいので、店頭でスタッフに背中を押してほしいのではないかという見方もあります。

出典:JTB総合研究所「海外観光旅行の現状2019」

このような「老若逆転現象」は、実は旅行のみならずさまざまな業界で見られるようになっています。例えば、かつては若者をメインターゲットにしていたコンビニエンスストアも、今やシニア客の比率が若者客の比率をしのぐように。同じくかつて若者の憧れだったスポーツカーも、今や中高年の間で人気が高まっています。「若い世代が新たな流行を生み出し、それが上の世代に広がっていく…」というトレンド伝播のパターンは今や過去のものになりつつあるのかもしれません。少なくとも、「若者はネットが得意、中高年はネットが苦手」という思い込みは、1日も早く捨てることが、マーケティングの成否を分けることは間違いなさそうです。

Criteoでも、旅行業界に関する興味深いインサイトを紹介しています。最近では「エコ」にこだわる若者の旅行についてのリポートも公開しています。どうぞ参考になさってください。