「サブスクリプションモデル」成功の秘訣とは?

サブスクリプションモデルとは?

少し前、日本の人気ラーメンチェーンが、ラーメンを1日1杯、月額8,600円の定額で食べられるプランを発表し、話題を集めました。

このビジネスモデルは、「サブスクリプションモデル」と言われるもので、もともとは「モノを買うのではなく、モノやサービスを利用する契約を結び、その利用期間に応じて料金を支払う方式」を指します。先のラーメン店の例で言えば、ラーメン1杯いくらで買うのではなく、1ヶ月間定額でラーメンを食べる権利に対して料金を支払う、ということになります。

サブスクリプションモデルの原型は雑誌の年間購読と言われていますが、今では飲食のほか、自動車(一定期間、定額で乗り放題)やアパレル(月額料金でコーディネート一式が借りられる)など、幅広い業界でこのモデルを採用する例が増えています。

また、デジタル市場での導入も進み、ケータイのパケ放題、Apple MusicやNetflixといった定額制の音楽・動画配信サービス、Amazonプライムなども、サブスクリプションモデルを採用しています。最近では、Appleがサブスクリプションモデルでの映像配信事業への参入を発表し、話題を呼びました。

サブスクリプションモデルのメリットは?

店舗・企業側にとってのサブスクリプションモデルのメリットは、成功すれば季節や天候等に左右されず、収益が安定すること。また、顧客が頻繁に店舗やサイトを訪問するようになるため、顧客ロイヤルティが醸成しやすくなることも大きなメリットといえるでしょう。

最近では「いくら定額でお得でも、毎日同じ味や店だと飽きてしまう」という消費者の声を受け、加盟する複数の店舗で飲食できる定額制サービスも登場しています。このサービスには、「自前でサブスクリプションモデルを始めたいが、自信がない」という店舗にとっては、低リスクでサブスクリプションモデルを導入できるというメリットがあり、利用者側にとっては「いろいろな店の味を楽しめる」というメリットがあります。また、もともとA店が好きで定額制サービスを利用し始めた顧客が、サービスに加盟しているB店やC店を利用するようになるので、加盟店舗にとっては、新規顧客獲得のチャンスが得られるというメリットもあります。

サブスクリプションモデル成功のカギは?

このようにメリットの多いサブスクリプションモデルですが、もちろん、必ず成功するとは限りません。まず、うまく利用者を集め、継続的に利用してもらえなければ、収益を上げることは不可能です。では、新規利用者を獲得し、継続的な利用へと導くには、どうすればよいのでしょうか?成功の鍵となるポイントを以下にまとめてみました。

1)気軽に試せるプランを用意する

サブスクリプションは、もともとその店舗や商品が好きなファンには利用しやすいサービスですが、その店舗や商品をよくしらない人にとっては、ハードルが高いものです。「よく知らないけど、ちょっと試してみたい」という人のために気軽に試せるお試しプラン(1ヶ月ではなく1週間に絞って料金を抑えたものなど)を提示する、上手に使いこなしている人の例をわかりやすく提示してお得感をアピールする、といった工夫が必要でしょう。

2)長期利用者を優遇する

長期的にサブスクリプションサービスを続けてくれている顧客を大切にしましょう。その顧客は毎月定額を支払ってくれるだけでなく、SNSや口頭で店や商品・サービスの宣伝をしてくれる、優れた「営業マン」でもあるのです。利用期間が長くなるほど利用料金を安くする、長期利用者限定のお得なサービスを用意するなどして、長期利用者を優遇し、ロイヤルティを醸成しましょう。

3)お得感だけで勝負しない

いくら月額制でお得でも、商品の品質や店の雰囲気がよくなければ、顧客の満足度は下がってしまい、継続利用にはつながりません。コーヒーショップの場合なら、単に「コーヒーが毎日飲める」のではなく、「美味しいコーヒーが毎日飲める」ことが大切です。

4)使い勝手を良くする

せっかくサブスクリプションモデルを導入しても、使い勝手が悪ければ、利用者の足は遠のいてしまいます。ユーザ登録が簡単であること、店舗でスマートに利用できること(スマホの画面のタップなどで利用手続きが完結するなど)が大切です。

5)常に改善を心がける

消費者のニーズは常に変化を続け、マーケットには次々に新たなサービスが生まれます。導入時は最適に思われたサービスが時間とともに陳腐化したり、お得感が失われたりしてしまうこともあります。常にユーザの生の声に耳を方向け、サービスの改善・刷新を心がけてください。

成功するとメリットが大きいサブスクリプションモデル。まずは、自社の商品やサービスがこのモデルに適しているかどうかを、あらゆる角度から検討してみてください。思っても見なかった商品やサービスとサブスクリプションモデルを組み合わせると、意外な効果が生まれるかもしれません。