顧客ロイヤルティ、衝動買い、データ活用について – 日本のオムニショッパーの視点 – パート2

前回のブログでは、小売店舗の時代は終わりを迎えたという誤った考え方や、ショッピングジャーニーの出発点は商品検索であるという誤解について取り上げました。今回はその続きとして、顧客ロイヤルティに関する課題、オンラインでの衝動買い、データ活用に対する買物客の考え方についてみていきたいと思います。世界6か国の買物客を対象に行ったCriteoの調査レポート『オンライン ショッピング 顧客調査 2017』から、最近の小売業界にて、想定と事情に差があることが分かりました。

顧客ロイヤルティは「学習行動」

小売業者が提供するアプリや大手ショッピングサイトの利用が日常生活に定着し、多くの買物客は毎回決まったサイトやチャネルを介し、オンラインで商品を購入をしている状況を見ると、サービスの乗り換えを促すことはなかなか難しいと思われるかもしれません。オムニショッパーはオンライン・オフラインに関係なく自由気ままにショッピングを楽しんでいます。それだけに、特に目新しいものは彼らの行動と選択に大きな影響を及ぼします。たしかに購入パターンはいくつかあるものの、複数のサイトでショッピングすることが習慣化しているのです。

「日本では、57%が『新しいオンライン店舗を見ることが好き』と述べ、37%が『複数のサイトで商品の比較をよく行う』と回答しています」

Criteoオンライン ショッピング 顧客調査 2017

さまざまな商品カテゴリーにおけるショッピングについて尋ねたところ、その回答には顕著な差が見られました。日本の場合、健康・美容関連の商品を探している買物客は家電機器のようなカテゴリーと比較して、最初に訪れたサイトで購入する傾向が強いことがわかりました。これは、それぞれのカテゴリーで商品の慎重な比較・検討が必要な度合いや、低価格の商品ライン、配送業者の選択肢などに関係していると考えられます。複数の店舖で商品を比較・検討することなく高額なハイビジョンテレビを購入する確率よりも、風邪薬1パックを購入す確率のほうがはるかに高いからです。

良質な顧客に最高のおもてなしをしていますか?

こうした買物客によるクロス・チャネル・ショッピングは、小売店舗にとって一体何を意味するのでしょう? それはコンバージョンを高めていくために、小売店舗には一層の努力が求められているということです。高い顧客ロイヤルティを獲得するためには専用のマルチチャネルプログラムが必要で、さらにAmazonのプライムサービスなどにより、買物客の期待値はさらに引き上げられています。返品送料無料サービスや速配サービスなど、顧客が喜ぶサービスも多々あり、顧客が望む特別なメリットを提供することで他社・大手ショッピングサイトとの差別化を図ってはいかがでしょうか? ロイヤルティプログラムはデバイスやチャネルではなく、「買物客」に向けてセールスアプローチを行えるようにするための重要なステップでもあります。そしてハッシュ化されたメールアドレスに追加されるデータによって、オンラインとオフラインのアプローチを強固にそして統合することができます。

衝動買いの傾向は、オンラインでもオフラインでもほとんど変わらない

顧客ロイヤルティは非常に重要かつ有効なものですが、オンライン上で人々に衝動買いを促すことはできるのでしょうか? 結局のところ、オンライン上にはディスプレイや購入意欲を掻き立てるレジの横のラックのようなものはありません。しかし、オムニショッパーは目的の商品だけにしか興味がないわけではありません。彼らの衝動買いの傾向はオンラインでもオフラインでも変わらず、これは慎重な検討を要するカテゴリーの商品にも当てはまります。

「日本の場合、家電機器の購入者の52%と衣服の購入者の72%が『オンラインで時々・頻繁に予定外の買い物をする』と回答しました」

オンライン ショッピング 顧客調査 2017

ここで課題となるのは、買物客が購入予定だった商品を補完するオプションに対する興味の喚起や、単にサイトを閲覧しているだけの人々に対し、新たな商品の紹介することなのです。Criteo Sponsored Productsは、ホームページやカテゴリー閲覧ページでこうした顧客に対し、さりげなく関連性のある商品などを紹介することで、手袋を買うついでにスカーフを、あるいは子どもの新しいおもちゃを買うついでに電池がカートに追加されるように、買物客に対しクロスセルの機会を創出することができます。

オムニショッパーは自分のデータがマーケティングに使用されることを、「懸念しながらも」受け入れつつある

最後は、自分のデータがマーケティングに使用されることに対して顧客はどう思っているのか?という最も複雑なトピックです。私たちは以前、調査対象者に「閲覧したことのある商品の広告が、他のサイトの中で表示されているのを見たことがありますか?」という質問をしたことがあります。パブリッシャーや小売業者が自分の同意なしにデータを使用することについて、かつては世界中の買物客がある程度の懸念を示していました。しかし今、彼らは自分のデータがマーケティングにどのように使用されるかを理解しており、半数以上が価値あるサービスと引き替えならば、自分のデータを使用してもらっても構わないと考えるようになっています。

「相当数の買物客(日本では56%)が『割引を得られるのであればリターゲティング広告は気にならない』と回答しています」

オンライン ショッピング 顧客調査 2017

これに関して、マーケターはどのような点に注意しなければならないのでしょうか? それはすでに購入済みの商品の広告を、彼らに再び見せないことです(27%はイライラすると回答しています)。重要なのは短期的な視点ではなく、長期視点に立って顧客ロイヤルティを醸成していくことです。買物客に関する膨大なデータを継続的、かつ適切に入手するためのパートナーとの連携が、きわめて重要になります。

詳細は、Criteoオンライン ショッピング 顧客調査 2017をダウンロードしてご覧ください