1日の取扱高6兆円超! 史上空前の盛り上がりを見せた2018年「独身の日」

■きっかけはアリババが仕掛けたECサイトのセール

11月のショッピングイベントと言えば、アメリカのブラックフライデーが有名ですが、ここ数年、世界的に注目を集めているのが11月11日に中国で行われるイベント「独身の日」(光棍節、別名W11)。1が4つ並ぶ日付が独身者(彼氏・彼女がいない人)にぴったり…ということで、1990年代に独身者が集まってパーティを開いたのが始まりといわれていて、イベントの歴史はまだ浅いものの、今や中国の国民的行事として、すっかり定着しています。

そのきっかけを作ったのが、2009年に中国最大手のEC企業アリババが仕掛けた「独身の日セール」でした。「彼氏や彼女がいなくても大丈夫、自分で自分にプレゼントを買って、独身の日を祝おう!デートできない人は、ネットショッピングで楽しもう!」という触れ込みで始まったこのセールは、大成功を納め、他の企業も次々に参入。年々その規模は拡大し、独身の人が自分自身にプレゼントを購入するだけではなく、独身の人同士がプレゼントを贈り合ったり、独身の友人や家族にプレゼントを贈ったりする人が急増。また、日本をはじめ海外の企業も続々とセールに参入したほか、中国各地で独身の日にちなんだイベントも盛んに行われるようになりました。

その結果、独身の日セールの売上は年々うなぎ上りとなり、2009年に0.52億元だった売上が2017年には約1682億元(2兆8,600億円)に!単なるECサイトのセールを超えた、まさに「国民的ショッピングカーニバル」へと成長を遂げたのです。

■大手ECサイトの1年分を、たった1日で!

そしてアリババが独身の日セールを始めてから、ちょうど10年目の2018年も、独身の日は空前の盛り上がりを見せました。11月11日午前0時から始まったアリババグループの独身の日セールは、開始からわずか2分余りで取扱高100億元(約1,600億円)を突破!11日1日の取扱額は、過去最高となる2,135憶元(約3兆4,160億円)を記録しました。これは日本最大手のEC企業・楽天の2017年度の国内EC流通総額(3兆3912億円)を上回る金額です。楽天の1年分を1日で売ってしまったアリババの独身の日セール、すごすぎますね…。ちなみに、アリババグループと中国直販EC最大手「京東集団」との2社合計の取扱高は3732億元(日本円で5兆9712億円、1元16円換算)に。伸び率は前年実績比26.3%増を記録しています。

■好調の理由は、実店舗の活用と海外ブランドの参入

アリババでは、独身の日セールの取引が今年も好調だった理由として、実店舗の活用を挙げています。アリババでは現在、オンラインとオフラインの融合をめざすO2O戦略「ニューリテール」(新小売)を展開しており、今回の独身の日セールにあたっても、グループ内の生鮮スーパー「盒馬鮮生」(ファーマーションシェン)はじめ実店舗で多彩なプロモーションやイベントを展開し、実店舗からオンラインへの誘導に繋げました。

さらに、独身の日セールの盛り上がりに一役買ったのが、海外企業の参入です。アリババによると今年の独身の日セールには国内外から18万のブランドが参入、消費者の40%以上が国際ブランドから商品を購入し、取扱高が1億元を超えたブランドが200以上もあったとのことです。

10年目を迎えて、ますますヒートアップした今年の「独身の日商戦」。前年からの取扱高の伸びを(アリババと京東集団の合計で+26%増)を見る限り、来年以降もますますの盛り上がりが期待できそうです。実際に参入するかどうかは別として、ECサイトにおけるキャンペーンのトレンドや売れ筋商品の動向を見るだけでも、独身の日セールは、マーケターにとっては格好の教材。来年もその動向から目が離せそうにありません!