Criteo Apero Vol.2 JTB×Criteo 旅行業界におけるCriteo Acquisition活用例

Criteoでは2018年3月14日、第1回Criteo Aperoを東京オフィスにて開催しました。

AperoとはAperitif(アペリティフ)の略で、簡単なおつまみと一緒に軽くお酒を飲む、フランス人が大好きな習慣のこと。Criteo Aperoは、大切なお客様と軽い食事と飲み物を楽しみながらコミュニケーションを深めたり、情報交換をしたり、あるいはCriteoの製品に対する率直なご意見をうかがう機会として企画したものです。

第1回の2人目のゲストにはi.JTBの三好敬之さんを迎え、Criteo導入の成果などについて教えていただきました。

■非リテール向けに開発したウェブカーバーを試験導入

Criteo: 新規顧客のコンバージョンを引き出し、顧客獲得キャンペーンのROI最大化に貢献するCriteo Customer Acquisitionは、本来、リテールのお客様向けに開発したものですが、この度、リテール以外のお客様にもお使いいただける特別バージョンとして「ウェブカーバー」を開発いたしました。

ウェブカーバーは、日本ではまだ一般には販売していないのですが、i.JTB(注:i.JTBは2018年4月にJTBへと統合されました。以下、JTBと表記)さんには、2018年の1月と2~3月に展開したキャンペーンで試験的に導入していただきました。三好様、まずはこのキャンペーンの概要についてご紹介ください。

三好 敬之氏(以下、三好):私たちは、JTBグループの中で、ウェブの運営を通じて旅行商品を販売しています。運営しているサイトは、主にJTBホームページ、るるぶトラベル、そして訪日外国人をターゲットにしたJAPANiCAN.com の3つで、今回、ウェブカーバーを実施したのは、JTBホームページでの福春セール(2018年1月)とるるぶトラベルホームページのタイムセール(同年2~3月)です。

Criteo:キャンペーンへのウェブカーバー導入を決めた理由は何ですか?

三好:私たち広告チームのミッションは、まず1つには広告宣伝費を効率的に使って販売を促進し、利益の最大化に貢献すること。そして、もう1つが旅行業界の中でのシェアの拡大です。しかし、現状では残念ながら、シェアの拡大と言う観点では、そのミッションを果たし切れていません。

実際、ネット上で、私たちJTBを指名した検索回数は右肩下がりで下がっており、検索回数で言うと2006年に楽天トラベル・じゃらんなど国内OTA勢に抜かれて以来、縮小の一途をたどっています。近年はトリバゴをはじめとしたグローバルなメタサイトも日本に進出してきているので、競争はますます激しくなっています。この状況を打開するには、一人でも多くのお客様に認知していただき、シェアを回復していくしかありません。

そのためには、顧客になってくれる確率が高い層に着実に届く効率的なアプローチが必要です。では、どうすればいいのだろうか?と検討していたときに、ちょうどご提案をいただいたのが、ウェブカーバーだったのです。Criteoさんのエンジンと弊社のユーザーリストを組み合わせることによって、ネットの「大海原」の中でも、ある程度的を絞って、効率的なアプローチができるのではないかと考え、ウェブカーバーの導入に踏み切りました。

■ページ内の広告枠を「ジャック」、大手媒体の4倍のクリック率を達成

Criteo: 通常、JTBさんでは既存ユーザのみに広告を配信していましたが、ウェブカーバーでは、Criteoが保有しているクッキーデータを最大限に活用して広告を配信、かつ各面をジャックしました。つまり、1枚のウェブページの中でも、上の方の枠にJTBの広告が表示されていたら、下の方の枠には他社の広告が表示されるのが一般的ですが、ウェブカーバーはページ内の枠すべてにJTBの広告を表示してページごとジャックしてしまうのです。これによって、JTBの認知度を上げ、ブランディングの最大化を目指しました。当然、それらの広告をクリックすると、現在展開中のキャンペーンページに飛ぶようになっています。

三好:新規顧客と既存顧客、どちらに重点を置くかは、ある程度調整ができるものなのですか?

Criteo:はい。手動ですが調整はできます。今回のJTBさんの場合は、新規顧客獲得が1番の目的でしたので、新規:既存=8:2の割合で広告を配信しました。

三好:結果は上々でした。JTBホームページでの福春セールでは、既存ユーザを除外して「福袋」とか「初売り」とかいうキーワードに反応しやすそうな人、競合他社に興味のあるユーザなどに絞り込んで配信した大手媒体と比べて新規ユーザの獲得数は約5倍にも上りました。非常に多くの新規ユーザにサイトを訪れていただくことができたのです。広告をクリックした人の中に占める新規ユーザの割合も大手媒体に比べて130%+でしたから、Criteoのほうがアプローチの精度が高いということは確かだと思います。

そして、ウェブカーバーの最大の特徴としては、CPCが非常に安いことが挙げられます。絞り込みの条件が異なるので一概には言えませんが、大手媒体に比べてもCPCが4割くらい安いのです。結果として、非常に安価に新たなユーザを呼び込むことができました。

また、ページごと「ジャックする」という手法については、もしもジャックされたページが何度も何度も同じ人に表示されてしまうと、煩わしく思われてしまって、逆効果なのではないかという意見がありました。そこでCriteoさんに確認したところ、1人に表示する回数もコントロールできるということでしたので、今回のキャンペーンでは1人に3~5回のみ表示させるようにしてもらいました。もちろん、クリエイティブの差によるものも大きいのかもしれませんが、結果としてクリック率は、大手媒体と比較すると、4倍も高いクリック率となりました。

■課題はアッパーファネルへのアプローチ

Criteo:総合的にご満足いただけたということでしょうか。

三好:そうです。ただ、率直に申し上げますと、長所もありますが短所もあると思います。

まず、1つめの長所は、新規ユーザ率が非常に高いこと。2つめは、安価なCPCで新規ユーザを呼び込めることです。

一方、短所は費用規模が大きいこと。最低入札価格で入札したとしても、かなり大きな費用がかかってしまいます。そのため、規模の大きい短期間のセールに大量の新規顧客を誘導するには向いていると思います。、一方、長期間継続する施策でウェブカーバーを導入するとなると、費用の観点からなかなか難しいのではないかと思います。

また、費用対効果はどうかというと、正直言ってこれはまだわかりません。1月と2月に獲得した新規ユーザが将来的にどのくらいの売上をもたらしてくれるのかは、これから少し時間をあけて検証していく必要があります。新規顧客のサイト訪問がすぐにコンバージョンに繋がるわけではないので、60日~90日間で判断したほうがいいのかもしれません。それと、新規顧客の定着率を数字として評価するのは非常に難しいですよね。弊社の場合、ポイント系媒体に広告を掲載して大量にユーザーを誘導するケースがあるのですが、そういう媒体と比較して検証をすべきなのか、今は、どことどう比較して、どの数値を見ればいいのかの基準がないので、その基準作りの議論をしていかねばならないと考えています。

いずれにせよ、実感しているのはクッキーベースの時代は終わりを迎えつつあるということ。これからは、ユーザーベースの時代ですね。それにあわせて、ディスプレイ広告の位置付けも変わってくると思います。従来のラストタッチであたる部分も残るとは思いますが、テクノロジーの進化によってアッパーファネルへのアプローチも可能になっていますので、これも有効活用していかねばなりません。その際に、Criteoのエンジンと自社のデータをどう掛け合わせるのが一番よいのか、Audience MatchやCustomer Acquisitionをどう活用すればいいのか、これからCriteoさんにお知恵を借りながら考えていきたいと思っております。

Criteo:三好様、貴重なご意見、ありがとうございました。アッパーファネルへのアプローチについて、ぜひ意見交換をさせていただけたらと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

Criteoでは、今後もCriteo Aperoを開催し、お客様との交流を図ると共に、Criteoの製品やサービスへのご意見をうかがい、更なる品質向上に努めて参ります。