Googleショッピングで売上を増大させる小売業

「この1年は「ブリックアンドモルタル」の小売業者にとって最も困難な時期の1つとして思い出されるだろう…我々は必死になって戦っている」と、SearsのCEO、Edward Lampertは最近、率直な語り口の自社ブログに投稿しました。 この予測は当たるでしょうか。 ブリックアンドモルタルの現状を見て、将来の予測を立ててみましょう。 

ブリックアンドモルタルの現在: 多数の店舗が閉鎖

今日の店舗閉鎖率はかつてないほど高く、2017年の小売店の倒産数はすでに2016年の倒産総数を超えています。 さらに、新聞の見出しは悲観的なものばかり続き、 「米国のデパート、さらに苦境に陥る」(『Financial Times』紙)の見出しに続く記事では、Macy、Kohl、Dillardの苦境が紹介され、「デパートの売上急落」(『Wall Street Journal』紙)の見出しに続く記事では、NordstromとHudson’s Bay(Saks Fifth AvenueとLord and Taylor)の苦闘が紹介されています。

しかしながら、米国の有名な一部の小売業が破滅のシナリオ、増大する一時解雇、閉鎖などといった問題を抱える中、希望の光もさしており、楽観的になってもいいような話もあります。

H&M、Zara、Primarkなど、2、3の欧州の小売業者は事実、規模を拡大しており、強力なサプライチェーンを利用してファストファッションを届け、適正規模の小型店の主要売り場を空にしています。 買物客に受けるポップアップ広告、店舗内ショップ、マーケットは早くも新しい戦術ではなくなりつつあり、小売業者が持つ防護手段の重要な部分を占めようとしています。 

Googleショッピングに参入する: 過剰在庫の救世主

これは、あまり表には出ないことですが、重要なことかもしれません。そう、苦境に陥っている小売業者はGoogleショッピングを利用することで、売れ残りの古い在庫が占めるあまりにも大きい既存の面積をどうするかという難問に対処でき、今後の適正在庫規模が計画しやすくなります。 それに加えて、新しいショッピングの傾向の一部を利用することができます。

従来型小売業の考え方に固執することをやめて、オンラインでの体験とオフラインでの体験の両方の一番いいところを取り入れることが絶対に必要だという意見は、前々から言われていることですが、Googleショッピングを利用すると、悲痛な見出しの原因となる、オフラインでの従来の高くつく当て推量を激減させることができます。

意外なことではありませんが、Google独自の調査結果はその方向性を示しています。 第1に、スマートフォンユーザーの90%は、購入に至るまでの最初の段階では、どのブランドのアイテムを購入するかをまだ決めていません。 第2に、製品検索の40%が、ブランドを指定していません。

プロダクトリスティング広告およびショーケースショッピング広告 買物客の目の前に製品を展示

この2、3年、テクノロジー企業の代表格であるGoogleは、Googleショッピング内で複数の戦略を導入することで、小売業者が予測検索を使って在庫を管理できるようにしました。その手始めとして、非常にわかりやすい プロダクトリスティング広告が開始され、現在ではGoogle画像検索に表示されるので、製品を探す消費者の90%をターゲットに取り込むことができます。

ショーケースショッピング広告は、ブランドを指定せずに検索する消費者の40%に届けることができます。 「夏休み バーベキューグリル」など、ブランドを指定しないで検索がかかった場合、小売業者が陳列する該当製品をヒットさせることができます。 ショーケースショッピング広告はプロダクトリスティング広告の一歩先を行く広告方法であり、どの広告主も自動的に製品を表示させることができます。 消費者がショーケース広告自体ではなく、広告主の製品ページを訪問して製品をクリックした場合にだけ、小売業者に手数料が請求されます。

小売業者がデータをうまく入力すればするほど、よい結果が生まれます。 Google Merchant Centerを利用すると、オンラインおよびオフラインの小売業者はいつでも製品を編集してGoogleショッピングで製品を目立たせたり、特別オファーを開始したり、レビューを製品説明に取り込んだりすることができます。 Googleショッピングキャンペーンは、マルチデバイスを設定できるようになりました。

ローカル在庫広告: 買物客を店舗に引き込む

オンラインおよびオフラインのどちらで製品が売れてもかまわないビジネスモデルの小売業者なら、Googleでの販売は文句のつけようがありません。 しかし、実店舗であふれるようにある在庫はどうすればいいのでしょう。 バーベキューグリルシーズンは当然、米国の多くの地域では季節的な行事であり、ブリックアンドモルタルの店舗で在庫を計画できますが、季節を問わない製品はどうでしょうか?

2017年、実店舗では、過去2年の冬に起こった異常な熱波など、突然の需要にはどのように対処しているのでしょうか? あるいは、春の夏用短パンなど、もっと日常的な需要にはスムーズに対応しているのでしょうか?

Googleの3つ目の調査結果によると、実店舗に行かない買物客の25%は、足を運んでもほしいものが在庫になくてがっかりするのが嫌だからという理由で行っていません。

ローカル在庫広告(LIA)は2013年に導入され、地域の買物客は近所の店舗の製品をオンラインで検索して、在庫にアクセスできるようになりました。 店舗内の在庫を更新することは、多くの小売業者にとっていまだ課題のまま残っていますが、Googleのサービスにより、買物客はLIAをクリックして、Googleがホストするページを表示し、店舗の在庫、利用方針、営業時間などを確認できます。 顧客がスマートフォンに製品広告を表示したまま来店するのは、よくある光景です。

とはいえ、在庫はGoogleショッピングのもう1つの大きな課題であり、多くの小売業者がいつの間にか売上を逃しています。 たとえば、あるアイテムの色を1色しか取り上げない場合、その色を探している買物客しか広告に辿り着きません。 売上を上げるには、そのアイテムの各色の広告を個別に作成する必要があります。 それに加えて、小売業者に必要な情報を提供するGoogle指標の機能には限界があるため、小売業者にとって予算を正確に出し、支出を最大限に活かすことがますます難しくなっています。

こうした課題を抱えていても、小売業界を取り巻く激しい変化に従来型の小売業者が対応するには、それ相応に態度を変えることが求められます。

このような従来型の小売業者に求められる最も困難な意識改革の1つには、予測検索とモバイルをフルに取り入れるということがあります。将来どのような形や規模になろうとも、これら両方をオムニチャンネルアプローチの販売ツールと見なし、顧客を実店舗に引き寄せる磁石として考えるのです。