かつては、コンテンツとコマースの役割がはっきり分かれていました。
ところが今、両社の境界線は急速にあいまいになっています。
オンライン消費者は、1つの場所に留まらず、SNS、オープンウェブのメディア、ECプラットフォームを行き来しながら情報を集め、自分が納得したタイミングで購入を決めています。
この新しい購買行動は一見複雑に見えるかもしれません。ですが、ブランドやリテーラー、パブリッシャーにとっては大きなチャンスでもあります。従来のウェブやアプリといった枠を超えて、購買の意思決定が行われる瞬間に関われる機会が増えているからです。
実際、コマースコンテンツへの投資は着実に拡大しています。インフルエンサー・マーケティング単独でも2018年から2023年までに20%成長し、2023年は260億ドル規模に到達しました。こうした伸びは、魅力的なショッピング体験を提供することでオーディエンスとの接点を強めたいと思っているブランドにとって、コマースコンテンツが欠かせない存在になっていることを示しています。
コマースコンテンツとは?
コマースコンテンツとは、パブリッシャーがブランドと連携して制作する編集コンテンツのことを指します。消費者が商品を探したり、理解したり、比べたりする際に役立つ情報を、記事や動画などの形で届けます。
パブリッシャーは読者に役立つ情報を届けながらエンゲージメントを高められ、ブランドは信頼できる文脈の中で商品を自然に紹介できます。まさに双方にとってウィンウィンのアプローチです。この手法なら、ブランドは商品の発見から購入までの道のりのあらゆる段階で消費者にリーチできます。さらに、パブリッシャー側も、コマースコンテンツによりSEOが向上し、アフィリエイトリンクやその他の収益化ツールを通して収益の拡大につなげられます。
消費者はページを閲覧しているその場で信憑性の高い商品のインサイトを取得でき、気になったらワンクリックで購入へ進めます。オンラインでの購買が当たり前になるなか、コマースコンテンツは膨大な選択肢の中から商品を見つけやすくし、納得のいく購入判断を支援します。
コマースコンテンツは、主に次のような形式で展開されます。
- バイヤーズガイド:人気の商品や専門家のおすすめを提示することで、カテゴリー内での商品選びをサポートします。特に商品を見つけてから比較検討する段階で効果的です。
- 商品のレビュー:商品のメリット・デメリットや使いどころを詳しく紹介します。購入直前の判断材料になります。
- 商品比較:複数商品の機能や特徴を横並びで整理し、検討フェーズから購入直前まで、より納得感のある意思決定を支援します。
- まとめ記事:専門家のレビューや編集部の視点で商品をキュレーションし、商品選びの手間を減らします。発見フェーズに向いています。
- セール通知:さまざまな商品の割引やセール、プロモーションに関する最新情報をタイミングよく通知し、消費者がより有利に購入できるよう促します。
- インフルエンサー・マーケティング:インフルエンサーとの協業により、SNSや記事・ブログなどの媒体で商品の情報を発信し、商品の認知と検討を促進します。
なぜ今、パブリッシャーとブランドにコマースコンテンツが必要なのか
コマースコンテンツは、パブリッシャーの事業構造を変えつつあります。その動きはデータにも表れています。
- コマースコンテンツ戦略を導入したデジタルパブリッシャーは、収益が30%増加したと報告されています(出典)。
- すでに米国のパブリッシャー収益の3分の1以上がコマースコンテンツにより生み出されています(出典)。
- インフルエンサー・マーケティングは2023年に前年比で20.6%増加し、119.1億ドル規模に達しています(出典)。
これらのデータから、コマースコンテンツ戦略を採用することは、収益拡大やエンゲージメント向上にとどまらず、パブリッシャーにとって新たな収益機会になり得ることが分かります。実際、アフィリエイト・マーケティングでもコマースコンテンツの存在感は高まっており、パブリッシャー収益の10〜20%を占めるとされています。
コマースコンテンツはブランドやリテーラーにも同様のメリットをもたらします。
アフィリエイトリンク経由でECサイトへ誘導した際のクリック率(CTR)は、コンテンツの種類によって大きく変わります。例えば、ランキングや商品比較など、検討中の消費者に判断材料を提供する質の高いコンテンツでは、CTRが15%に達するケースがあります。さらに、購入直前に読まれる詳細レビューのようなコンテンツでは、パブリッシャーのアフィリエイトリンクからECサイトへのCTRが30%超になることもあります。
コマースコンテンツ戦略の立て方
コマースコンテンツで成功するには、一定の投資(時間・制作体制)が必要です。ただし、きちんと設計すれば確実に回収できるのがコマースコンテンツの魅力です。
パブリッシャーは、オーディエンスへの理解と編集力を武器に、購買までのプロセスを円滑にする信頼性が高いコンテンツを制作できます。ブランドやリテーラーは、画像や商品情報など、読み手にとって分かりやすく価値のある内容にするための素材を提供できます。
パブリッシャーとリテーラーが連携すれば、編集方針に沿ったバイヤーズガイドやレビュー、スポンサード・コンテンツを制作し、戦略的なリテールパートナーのGMV(流通取引総額)の拡大や新規顧客の獲得に貢献できます。また、ショッピング機能を備えた広告やアフィリエイトリンク、インフルエンサーとのパートナーシップなどを組み合わせることで、関係者それぞれにメリットが広がるコマースコンテンツの仕組みを築けます。
「様子見」のコスト
SNSがコマース業界を席巻しているように見えても、パブリッシャーには決定的な強みがあります。それは信頼です。
パブリッシャーは、購買のプロセスの中で、読者にとって価値が高く信頼できる情報を届けられます。自社ならではの提供価値を改めて整理したうえで、基本的なコマースコンテンツ戦略を早めに取り入れていけば、成長市場の中で存在感を高め、収益機会を広げることができます。
コマースコンテンツは、パブリッシャーにとって、収益化を強化し、有意義な消費者とのつながりを築くための大きなチャンスです。適切なアプローチと、Commerce Grid のようなソリューションを活用することによって、新たな収益源を開き、デジタル・マーケットプレイスに適応することができます。
今こそコマースコンテンツ戦略に着手するタイミングです。将来のオンライン・ショッピングにおける足場を確保しましょう。




