サプライ業界の転換期:SSP に問うべき5つの質問

広告代理店は透明性の高い、パフォーマンス重視のサプライパスを求めて SSP パートナーシップを見直す流れに。その理由を解説します。

絶えず変化し続けてきたプログラマティック広告に、新たな変化の兆しが見えます。

今回もたらされる地殻変動級の変化は、多くの企業で予測されていたものの、そのほとんどは対応準備が整っていません。

規制当局がついに垂直統合型アドテクノロジースタックに対する厳密な調査を開始したのに伴い、サプライチェーンも急速に対応を進めています。広告代理店や広告主にとっては、良い未来を創造できる流れでしょう。

アメリカ連邦判事による画期的な判決により、明確になったことがあります。それは、デジタル広告の未来は公平な入札プロセスを基盤に築かれねばならないということ。裁判所は売り手(AdX、GAM)および買い手(DV360、Google Ads)の両者に対する Google のコントロールが、Google に優位性をもたらしていると結論付けました。Google はオークションを運営し、自社入札を行い、全てを非公開にしていたのです。

この判決により、事実上ウォールドガーデンは崩れ、私たち他のプレーヤーにも再び門戸が開かれました。しかし、広告代理店はそのためだけに SSP とのパートナーシップを急いでいるわけではありません。オークションへのアクセス以上のものをもたらし、より公平で、スマートかつパフォーマンス目標に沿ったサプライパスの構築を支援する SSP とのパートナーシップを求めているのです。

何が起きているのか?

公平なオークションや相互運用可能なインフラ、透明性の高いサプライパスに対する本格的な取り組みが見られるのは、ここ10年で初めてのこと。これにより、広告代理店や広告主には、どのように SSP の優先順位を付け、メディア・サプライ・パートナーを評価するかを再考する新たな使命が生まれています。

ここで、すべての SSP が完全に同等の条件ででへッダーオークションに参加することを想像してみましょう。市場のシェアが一晩で逆転するわけではないにしても、この波及効果は計り知れません。オークションでの競争激化や入札を勝ち取る SSP の多様化もさることながら、ここで重要なのは、パブリッシャーや広告主へにより多くの価値が還元されることです。

この転換を機に、プログラマティック広告における経済バランスは変わるのでしょうか? もちろんです。ここからは、その理由を解説しましょう。

広告代理店の発想の転換:統合型管理から透明性のある選択へ

最近の判決が市場を再び開放する可能性はありますが、代理店は単に SSP を追加しているわけではありません。より優れたSSPを追加しているのです。

従来の統合型アドテクノロジー・スタックへの依存は、シンプルながらも透明性や活用力、管理性を犠牲にするものでした。パフォーマンスや信頼性、サプライパス最適化(SPO)が最重要課題である昨今、「Google なら間違いない」という長年の信念が崩れつつあります。

広告代理店は戦略を再構築しています。

統合・集約を美徳と考えるのはやめ、より効果的なメディア予算の運用と、単一のパートナーへの依存の低減を目指し、戦略的な多様性を優先するようになりました。

しかし、これにより私たちが「すべてを接続して結果を見る」状況に戻ることはありません。広告代理店はコマースインサイトや高度なキュレーション、透明性のある経済性、強力なオークション・ダイナミクスなど、他にない強みを持った SSP を吟味するようになったのです。

この転換の一環として、広告代理店は、既存のサプライパスの質が既に最高品質なのか、それとも新たなパートナーの方が顧客のパフォーマンス目標に適しているのかを問うています。

このような背景から、広告代理店は、「より多くのパイプに支出を配分するか」それとも「インテリジェンスと購入意欲データを活用してサプライを強化するか」という2択を迫られています。最近では、後者を選ぶ代理店が増えてきており、自社のインサイトとファーストパーティ・データを活用しながら、独自の価値を反映し顧客の信頼を深める高パフォーマンスのサプライパスをキュレーションしています。

今 SSP に問うべき5つの質問

オークションの力学が転換期を迎え、競争が激しくなった今こそ、SSP との関係性を振り返るべき時です。

以下の5つの質問を投げかけ、貴社のパートナーが規模だけでなく価値を重視していることを確かめましょう。

  1. 基本アクセス以上の差別化要素は?

SSP は単なるインベントリへの窓口ですか? それとも独自のコマースシグナルやキュレーションツール、運用効率など、何か他のメリットを提供していますか? 競争の激しい、パフォーマンス重視の市場において、真の価値を生み出すために従来の仕組みから脱却する方法を尋ねてみましょう。

  1. オークションやパブリッシャーの慣行に対する透明性はどの程度ですか?

MFA に対する懸念やわかりやすい料金体系がカギとなる時代において、透明性は不可欠です。SSP がプレミアム・インベントリへの効率的なアクセスを提供しながら、どのようにオークションを管理し、公平性を保ち、ブランドセーフティを確保しているかを確認しましょう。

  1. インプレッションだけでなく、ビジネス効果を牽引できますか?

パフォーマンス・メディアが求めるのは規模だけではありません。SSP はサイト内外のシグナル(SKU レベルの購買意欲、カートに追加、購入確認)を結び付け、広告費と売上を連動させることはできますか?

  1. ファーストパーティ・データの活用やクリーンルームの連携をどのように支援しますか?

未来に備えた SSP はオーディエンス・データ・エコシステム全体にわたる安全でシームレスな連携を実現しなければなりません。パートナーはクリーンルームのワークフローやキュレーションされた取引の作成、ファーストパーティ・データの活用を障害なく扱えますか?また、自社のインテリジェンスを入札プロセスに適用できますか?

  1. 市場の変化に伴い、どのように進化していきますか?

イノベーションは受動的ではなく能動的であるべきです。新しいフォーマットや高度なパッケージ戦略、リテールメディアとオープンウェブの緊密な連携を通じて、SSP は業界の過去でなく未来に向けて構築すべきです。

サプライサイドの革新

プログラマティック広告の最近の進化により、サプライパートナーも規模を重視する考えから脱却し、関連性や透明性、測定可能な成果を重視することを迫られています。これこそが Criteo Commerce Grid の強みです。よりスマートなサプライ戦略を通して、広告代理店やブランドが購入意図の高い消費者とつながるためのツールとデータを提供します。

こうした取り組みが評価され、Criteo は Frost & Sullivan の「The Frost Radar™」において、世界の主要 SSP トップ10の主要な特徴を報告する「イノベーション指数」でハイパフォーマーに選出されました。

従来のパートナーシップを再評価し、パフォーマンス重視のサプライパスを優先する代理店の皆さん、単にバランスを調整するだけにとどまらず、アップグレードをご検討下さい。

詳しくは Criteo の担当営業にご相談いただくか、こちらからお問い合わせください

ロブ・テイラー

晴れの日が少ないイギリス、ロンドンを拠点に活躍する Criteo のグローバル・コンテンツ・マネージャー、ロブをご紹介します。 アドテック業界に11年携わり、SEM ...

グローバルコンテンツ マネージャー