事務DX加速&地方移住が注目ワードに。 テレワーク普及で変わる求人トレンド

2020年、新型コロナウイルスの影響で、日本でも一気に普及したテレワーク。中には「緊急事態宣言以降、ずっとテレワーク中」という方もいるかもしれません。日本最大のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を運営する株式会社クラウドワークスが2020年10月~11月に行った調査でも、テレワーク経験者のうち回答時点でテレワークを継続している人は55%、回答時点でテレワークが解除され、原則出社の勤務形態へ戻った割合が45%と、テレワークを継続している人がまだ半数以上いることがわかりました。

出典:株式会社クラウドワークス プレスリリース

テレワークでも業務によっては滞りなく進んでいること、そして何より新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しが見えないこともあって、テレワークはこのまま新しい働き方の1つとして、社会に定着していくことになりそうです。

事務領域のテレワーク求人が前年比274%増

出典:株式会社クラウドワークス プレスリリース

そしてテレワークの普及は、求人のトレンドにも少なからず影響を及ぼし始めています。同じくクラウドワークスが行った調査によると、2020年はクラウドワークスにおける事務領域の業務への発注数が大きく伸び、11月には前年比274%増を記録しました。

この理由についてクラウドワークスでは、テレワーク中に事務的な業務をDX(デジタル、オンライン)対応で行った社員が増えたことにあると分析しています。

実際、同社の調査ではテレワーク経験のある会社員の99%が、社内のいずれかの事務業務をDX対応しており、中でも「請求業務」「受注業務」「社内稟議」などの書類作成を必要とする業務は4割以上がDX対応したことがわかっています。その結果、事務のペーパーレス化も進んだこと、そして社員自身がDXで事務を経験したことにより、外部委託を含めたより効率的な事務の進め方について検討しやすくなったことが、事務の外注化に拍車をかけたものとみられています。

企業内の「テレワーク可能案件」も大幅増!

出典:株式会社クラウドワークス プレスリリース

テレワークの普及は、企業側の意識にも大きな変化を起こしています。企業とフリーランスのマッチングを支援するエージェントサービス「クラウドテック」の調査によると、2020年6月を境に、クラウドテックに寄せられる求人案件のうち、「テレワーク」と「常駐」が占める割合が逆転、2020年11月には全体の実に83.7%が「テレワーク」可能な案件になっています。

この結果についてクラウドワークスでは、企業自身にテレワークが浸透・一般化したことにより、人材採用時に無意識にあった「正社員が毎日出社すると、優秀な成果が得られる」という固定観念が柔軟化したことが背景にあり、その結果として「企業の外部人材採用におけるテレワーク導入へのハードルが下がり、テレワーク可能であることが案件において競争優位性を持つことを、企業が認識・実践した」と分析しています。

2021年はフリーランスの移住が進む?

こうした企業側の変化を受けて、フリーランスの生活様式にも変化が表れ始めています。クラウドワークスの調査によると、

同社に登録するフリーランスの在住地別の構成比率を2019年と比較すると、地域別では関東が唯一減少し、他地域では増加していることが分かりました。さらに都道府県別構成比率では、東京在住の登録フリーランスは前年比-2.3%と全都道府県中最も大きく減少しており、いわゆる「東京一極集中」に変化が起こっていることが窺えます。「テレワークでできる求人が増え、その仕事で生活ができれば、高額な家賃を支払って東京に住み続ける理由がない」との判断で、地方への移住を実行するフリーランスは、今後ますます増えるものと考えられます。

「会社に行かなければ働けない」「東京でなければ働けない」という固定概念の形骸化は、これから不動産市場や求人市場にどのような影響を及ぼしていくのか、注目されます。