企業の社会的責任がこれまで以上に強く問われる時代、環境や人権といった社会問題への取り組みが企業やブランドの価値を大きく左右するようになっています。逆に社会問題への配慮がないブランドは消費者の支持を得られなくなりつつあると言っても過言ではありません。

そんな中、注目を集めているのが「アップサイクル」です。アップサイクルとは売れ残った商品や製造過程で出た余剰品などの廃棄物に、デザインやアイデアによって新たな付加価値を持たせ、新たな商品を創り出すこと。アップサイクルの商品は、一般的に新品よりも価値が下がる「リサイクル品」とは違い、新品のときよりも高価格で売買されることが多いのが特徴です。

日本ではまだ耳慣れない言葉ですが、海外では主にアメリカやヨーロッパの有名企業やブランドが次々にアップサイクル事業に参入、注目を集めています。ここでは主な事例を紹介しましょう。

アップサイクルの事例

事例1)パタゴニアの「Re Crafted」

パタゴニアでは顧客が着古した同社製品を回収、修繕して顧客に送り返すサービスを展開していますが、顧客から寄せられる古着の中には、状態や素材の問題で修繕ができないものも少なくありません。そこで同社では修繕不可能な古着を引き取って分解、新たな商品(セーターやジャケット、バッグなど)を作り、アップサイクルブランド「Re Crafted」として販売しています。Re Craftedの商品は一つひとつ、職人によって廃棄物から縫製されるため量産品に比べて割高であるにも関わらず、職人の手仕事ならではの独特の風合いが人気を呼び、ビジネスとしても成功を収めています。

Re Craftedのサイト

事例2)バーバリーの「Re Burberry Edit」

2017年、「偽物から自社のブランド価値を守るため」という理由で毎年数百万ドル相当の毛皮や衣類、アクセサリーなどを焼却処分していたことが明るみに出て、大きな批判を浴びたバーバリー。2018年には焼却処分を止めることを表明し、現在はアップサイクルへの取り組みを始めるなどサステナブルな企業姿勢を前面に打ち出しています。2020年にはデッドストックとなった素材やサステナブルな素材で作るライン「Re Burberry Edit」を発表。不要になった生地を廃棄する代わりに、ファッションを学ぶ学生に無料で提供することによってファッション業界の人材育成に貢献する取り組みも始めています。

Re Burberry Editのサイト

事例3)Brewery Toast の「Toast Ale 」

アップサイクルの動きはファッション業界だけでなくフード業界でも注目を集めています。中でも代表的な事例として知られるのが、ロンドンで生まれた「Brewery Toast」の取り組み。同社はパンを使って作るベルギーの伝統的なビールづくりに発想を得て、レストランで大量廃棄される食べ残しのパンを原材料としたビールの醸造に成功。このビールは食品ロスの削減に賛同する人たちの指示を得て大人気を博し、2019年には食パン85万1388枚分に当たる量のパン(積み上げるとエベレストの約1.2倍の高さ!)を使ってビールを醸造したそうです。

日本でも広がり始めたアップサイクル

一方、日本ではまだアップサイクルという言葉の認知度が低く、一般的に普及しているという状況ではありませんが、いくつかの企業やブランドがすでにアップサイクルの取り組みを開始しています。たとえば人気ファッションブランドのBEAMSが売れ残り商品を一点物アイテムとしてよみがえらせる「BEAMS COUTURE」という取り組みを始めている他、西武百貨店は店舗でイベント告知用に使っていた大型懸垂幕を、クリエイターらとコラボしてトートバックにアップサイクルして販売、話題を呼びました。

これまで単に廃棄していたものが「商品」となるメリットはもちろん、サステナブルな姿勢を打ち出してユーザーからの支持が得られるというメリットも享受できるアップサイクル。若者を中心に「自分が共感できる企業やブランドの製品しか欲しくない・買わない」という考え方の人が増えている中、今後ますます注目を集めそうです。

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