デジタルマーケターなら最近、オムニチャンネルについてよく見聞きしていることでしょう。 しかし、オムニチャンネルとはいったい何なのでしょう。どうしてこんなにも取りざたされているのでしょうか。
まず、言葉を1つずつ分けて説明します。 オムニとはラテン語で「あらゆる」という意味です。 チャンネルは、小売業者と買物客とのインタラクションの手段です。 したがって、オムニチャンネルによって、ブリックアンドモルタルとオンライン店舗の境界が不明瞭になります。 オムニチャンネルを利用する企業は、タブレット、店頭、デスクトップ、Eメール、コールセンター、スマートフォンアプリケーション、そしてスマートTVも含めたすべてのチャンネルに顔を出して、統合されたシームレスな買物体験を顧客に提供しています。
「オムニチャンネル」という言葉を初めて作ったのは、2011年の『Harvard Business Review』誌です。それまで「マルチチャンネル」や「クロスチャンネル」と呼ばれていたものが、「オムニチャンネル」に変わりました。 5年以上経った今、小売業界で最もよく使われる業界用語の1つとなっています。 その理由は3つあります。
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今日のクロスチャンネルのショッピング傾向とリンクしている。
店舗の中でアイテムを見ながら、「オンラインではほかにどんなものがあるだろう」と思ったことはこれまでに何度ありましたか?
2017年のいま、買物の傾向は複雑になっています。 買物客は今やオムニショッパーであり、多様な方法で小売店を利用します。 競合他社の従来型店舗にいながら、携帯端末でアイテムを購入するかもしれないし、 ショッピングモールで靴を見て回った後で、寝る直前になってタブレットで一足購入するかもしれません。 自宅のノートパソコンで製品を調べて一日じっくり検討した後で、ふとした気まぐれから外に出掛け、店に入って製品を手にするということだってあります。
BigCommerce.comの最近の調査によると、6ミレニアム世代の67%、X世代の56%が、オンラインでアイテムを探して購入する方を好んでいます。 また、Forresterによると、小売の売上の1兆5千億ドルがオンラインで始まり、店舗内で終わっています。
買物客は特定のチャンネルや企業に忠実ではなくなっています。多くの買物客はモバイル、タブレット、店舗にこだわりなく、目的のアイテムを購入しています。 小売業者が今日の市場でロイヤリティを獲得するには、これまで以上にカスタマーエクスペリエンスに注力することが求められています。
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ブリックアンドモルタルの救世主である。
オムニチャンネルによって、ブリックアンドモルタルはショールームをデジタル営業に活用したり、出荷センターをオンライン受注に利用したりするなど、革新的な方法でその存在価値を維持しており、先見の明のある小売業者は、楽しくインタラクティブでソーシャルな買い物を体験できるショップというブランド戦略を打ち立てています。 さらに面白いことに、Neiman Marcusでブラウスをネット注文するか、その「マジックミラー」の前でブラウスを試着すると、ブラウスを着た姿の写真が360度にわたって撮影されるので、ほかのワードローブと並べて比較したり、画像をソーシャルメディアで共有してリアルタイムのフィードバックを得たりすることができます。
eコマースを中心に据えている量販店は、オムニチャンネルをバランスよく取り入れている小売業者に比べ、いくつかのマイナス点に直面していることがだんだん明らかになってきています。
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成功するブランド戦略の新しい領域である。
オムニチャンネルが登場したのは、eコマースとほとんど同じくらいの時期です。 しかし、新しい技術と増大する買物客の期待から、オムニチャンネルは常に変化する標的となっています。 世界最大手企業の一部は思い切って大きなリスクを負って(大きな投資を行って)、スムーズなチャンネルの統合と優れたカスタマーエクスペリエンスを開発しています。 ソーシャルメディアでの楽しい共有を促進するバーチャルミラーであるか、長いレジの行列から買物客を解放する技術であるかを問わず、今日の消費者はオムニチャンネルエクスペリエンスをブランド自体の好感度に結び付けています。
毎日、さらに多くのイノベーションが生まれており、成功している企業は、タッチポイントにおいてシームレスに顧客へ満足感を提供し続けるでしょう。 将来、何が待ち受けているのかは誰にもわかりませんが、オムニチャンネルが浸透することは明らかです。
詳しくは、 弊社のインタラクティブな電子書籍『The Smart Marketer’s Guide to Omnichannel』をご覧ください。