コロナ禍の夏、「帰省したい」は36%!交通機関の予約は回復傾向に

更新日 2023年10月31日

今年もお盆の帰省シーズンが近づいてきました。本来ならお盆休みは家族や旧友に会ったり、お墓参りをしたり・・・と、楽しい休暇となるはずですが、新型コロナウイルスの感染再拡大やそれにともなう緊急事態宣言の延長などを受けて、帰省を取りやめる人も多いようです。株式会社日本マーケティングリサーチ機構が全国の男女約500人を対象に行った調査によると、「今年の夏、帰省したい」と回答した人は、36.24%にとどまることがわかりました。

出典:日本マーケティングリサーチ機構プレスリリース

帰省したい気持ちにブレーキをかけているのは、やはり新型コロナウイルス感染への懸念です。自分自身の感染はもちろん、万が一、帰省先の家族にウイルスを持ち込んでしまったら・・・という不安も大きいもの。同調査で「コロナワクチンをみんなが接種すればお盆休みに安全に帰省できると思いますか。」に対し、「安全に帰省できると思う(30.17%)」「帰省できないと思う(33.21%)」「どちらでもない(36.62%)」と回答。ワクチンを接種しても安心して帰省できないと考えている人が、帰省できると考えている人を上回っていることがわかりました。理由としては、ワクチン接種=コロナに感染しないという保証ではないこと、県外からの帰省客への地元の警戒感を懸念している人が多いことなどが考えられます。

出典:日本マーケティングリサーチ機構プレスリリース

では、同じく緊急事態宣言下だった昨年の夏の帰省シーズン、実際に帰省した人はどのくらいいたのでしょうか?

同調査で昨年帰省できたかどうかを聞いたところ、「帰省出来なかった」が40.61%で、「帰省した」の26.76%を大きく上回りました。1年経ってワクチンの接種が進んでも、結局コロナ禍は収束に至っておらず、旅行はもちろん帰省すら自由にできない状況のままであることを改めて実感させられます。

交通機関のお盆予約は宣言下でも伸び

しかし、昨年とは違う動きも見られます。国内旅行予約の回復です。ANAのお盆期間の国内線予約人数は8月5日現在で前年比4割増加しています。コロナ前の2019年のお盆シーズンに比べると6割減ではあるものの、昨年よりもお盆シーズンの客足は明らかに増えています。同じく、JALの予約数も伸びており、緊急事態宣言の延長が発表された後の1週間で国内線の予約人数が約1万人を超えたことが報じられました。同じく、鉄道の予約数も回復しています。JR東日本によると8月5日現在、お盆時期(8月6日~17日)の新幹線の予約数は前年比63%増、在来線も28%増となっています。同じ緊急事態宣言下であり、感染者数では去年よりも格段に増えているにも関わらず、お盆期間中の予約が増えていることについて交通各社では次のように分析しています。

  • 自らPCR検査をした上で、ワクチン接種を終えた祖父母に会いにいく子どもが増えている
  • ワクチン接種を完了した中高年の旅行需要が増えている
  • ワクチン接種が進み、心理的安心感を持つ人が増えている
  • 以前の緊急事態宣言時に比べて、需要減のインパクトが小さくなっている

もちろん、予約が回復傾向にあるとはいえ、コロナ前の水準への回復は程遠く、特に国際線の予約は対2019年比-90%と厳しい状況が続いていますし、パック旅行やインバウンド需要の回復もまったく先が見えない状況です。秋の行楽シーズン、クリスマスやお正月のホリデーシーズンまでにコロナ禍が終息する見込みも立っておらず、旅行・交通業界にはまだまだ厳しい状況がつづきそうです。来年の夏には、皆が気兼ねなくふるさとに帰省できるようになっていますように、祈らずにはいられません。