「若者のカード離れ」は本当?若者たちのクレジットカード事情

更新日 2022年12月01日

成人年齢の引き下げに伴い、カードやローンの利用可能年齢も引き下げ

2022年4月1日から成人年齢が、20歳⇒18歳に引き下げられました。これに伴い、以前は20歳にならないとできなかったことの一部が、18歳、19歳にもできるようになりました。

中でも、注目を集めたのが、「本人名義のクレジットカード」が作れるようになったこと。これまで、20歳未満の人がクレジットカードを作る際には、保護者の同意が必須でしたが、22年4月1日以降は親の同意がなくてもクレジットカードを作って利用することができるようになりました。

最近はアプリなどキャッシュレスな決済方法が多様化していること、またBNPL(Buy Now Pay Later)などクレジットカードを使わない後払い決済サービスが相次いで登場していることもあり、米国などでは「若者のカード離れが進んでいる」と報じられています。

では、日本の若者はどうなのでしょうか?

大学生の6割、新社会人の9割がクレジットカードを保有

日本クレジット協会が2020年に発表した「大学生に対するクレジットカードに関するアンケート」の結果によると、大学生のクレジットカード保有率は61.1%と、前回の調査(2017年、54%)から7%も伸びています。さらに同協会が社会人1年目~5年目の若者を対象に行った調査では、全体の93.2%が「自分名義のクレジットカードを持っている」と回答、社会人になるとほとんどの人が自己名義のクレジットカードを持っていることがわかりました。

そして、クレジットカードを持っている目的について聞いたところ、以下のような結果に。

1位 インターネットショッピング等で決済が簡単にできるから 36.6%
2位 現金の持ち合わせがなくても買い物ができるから 30.1%
3位 カード会社のポイント制度や割引制度など、特典があるから 27.4%

クレジットカードの原点である「現金を持っていなくても買い物ができること」以外に、オンラインでスムーズにショッピングを楽しむために、そしてカード会社のポイントを集める「ポイ活」目当てに、クレジットカードを作る人が多いことがわかります。

クレジット利用の8割超がオンラインで

また、同調査でクレジットカードをどんな場所・お店で利用するのかを聞いたところ、「インターネット(通販、ショッピング、音楽・動画・ゲーム等のオンラインコンテンツなど)」が81.5%で、ダントツの1位に。次いで「スーパーマーケット、百貨店、コンビニ等の販売店(食品・日用品など)」が60.3%、量販店(家具・家電など)が54.1%という結果に。これらの調査結果からは、9割を超える若者がクレジットカードを保有し、日用品から家具や家電といった高額の買い物迄、まんべんなく使っていることを伺うことができ、少なくとも日本では「若者のカード離れ」は、まだ本格的な傾向と言えるほどには進んでいないものと言えそうです。

「学生の利用枠に制限」が9割

とはいえ、収入の少ない・安定しない若者のクレジット利用には、それなりのリスクも伴います。未成年には「未成年者取消権」が与えられており、親の同意を得ずに家族名義のクレジットカードで買い物をしたりローン契約したりした場合、本人または親がその契約を取り消すことが認められていました。しかし、成人年齢の引き下げにより、18歳と19歳には未成年者取消権が認められなくなりました。つまり、保護者が知らないところで、買い物や契約をしても、これを簡単には取り消すことができなくなったということです。仮にクレジットカードを使い過ぎて遅延や不払いを起こしてしまった場合、利用者が18歳や19歳の学生であっても、その信用情報に傷がつき、将来、ローンの審査に通りにくくなるなどのリスクが生じてしまいます。

こういったリスクを下げるために、多くのクレジット会社では18歳、19歳や大学生の利用に関して、一定の制限を設けています。日本クレジット協会の調査では、同協会に加盟するクレジットカード会社や信販会社で20歳未満の顧客を契約の対象としている約200社のうち93%が「学生については利用限度額を20歳以上と比べて低く設定する」と回答。学生以外ではなく就労して定期収入がある人についても全体の76%が限度額を20歳以上と比べて低く設定するとしています。それでも「ゲームで課金していたら高額の請求が来た」「お得なエステのコースを受けようとしたのに、高額なプランを進められて契約してしまった」など。若者のクレジットカード関連のトラブルが相次いで報告されています。

18歳未満の若者にクレジットカードの適正利用についての啓発や教育も進められていますが、トラブルを避けるための売り手側のルールの整備が、これからますます強く求められるようになりそうです。