2022年はどんな色が流行る?~トレンドカラーに見る消費者心理

更新日 2021年11月30日

ファッション業界、2022年のトレンドはブライトカラー

世相を映すと言われる、トレンドカラー。通説では、景気が良くなると明るい色のアイテムが、悪くなると暗い色のアイテムが売れると言われています。たとえばファッションの場合、景気が悪くなると、華やかな色で印象に残りやすいアイテムよりも着回しがしやすく、どんな場面でも使い回せる「無難な色」のアイテムが好まれるとされています。確かに、好景気に沸いたバブル時代に流行した「ボディコン」には、今ではあまり見かけないビビッドなピンクやイエローが多用されていましたよね。アイメイクやリップ、ネイルのカラーも今よりもずっと鮮やかでした。一方、バブル崩壊後には黒や白などの定番カラーで楽しむフレンチカジュアルが流行。メイクもベージュ系のリップなど落ち着いた色彩のものが主流となりました。

ここ最近はコロナ禍の影響で在宅ワークが増えたこと、会食など華やかな行事への出席の機会が減ったことを背景に、スーツやドレスなどよりも、シャツやパンツなどの単品アイテムをコーディネートして着用する傾向に。結果として、インパクトの強い色よりも、組み合わせやすい無難な色のアイテムを着ている人が多いようです。また。ファッションのユニセックス化に伴って、性別に関係なく着られるアイテムを提供するブランドも増えており、ここでもベージュや白、黒、ベージュなどのアースカラーが多用されています。

男女兼用のパーカー(出典:無印良品プレスリリース

では、コロナ禍の収束が期待される2022年には、どんな色が流行ると予想されているのでしょうか?

ファッション誌VOGUEによると2022年春夏のトレンドカラーは「エネルギッシュなブライトカラー」。各ブランドのコレクションでは、グリーンやオレンジなどビビッドなビタミンカラーのドレスやコートなどが披露され、VOGUE誌は「(コロナ禍で)封じてきた外出欲をそそる」と表現しています。感染者数が減少し、街にも活気が戻りつつある日本でも、2022年の春夏シーズンには、久しぶりに華やかなカラーの装いが人気を集めるかもしれません。

自動車のカラートレンドは「何色だかよくわからない色」

一方、自動車業界のトレンドカラーにも興味深い変化が起きています。

ドイツの化学メーカーBASFが発表した2021年10月、2021-22年版の自動車カラートレンド予測によると、日本を含むアジア太平洋地域のキーカラーは「MOBIUS(メビウス)」。MOBIUSは「ライトブルーと暖かみのあるブラウンの要素を合わせ持ち、見る角度によって変化する」という色で、明確に表現するのが難しいカラー。BASFでは、「春のエキサイティングな色合いと、前向きな希望を連想させる明るくクリーンな色で溢れています」と紹介しています。

アジア太平洋地域のキーカラー「MOBIUS」/出典:BASFプレスリリース

中国のキーカラーは「KNOWING IGNORANCE(ノーイング・イグノランス/無知であることを知る)」と名付けられた黒に近い色ですが、こちらも見る角度や部位によってグリーンからブラウンのようにも見える、ちょっと捉えどころのない色。

中国のキーカラー「KNOWING IGNORANCE」/出典:BASFプレスリリース

BASFでは、MOBIUSやKNOWING IGNORANCEのように「相反する要素を併せ持つような中間色」のラインアップが自動車やファッションにも多用されるようになっており、コロナを経た世の中の変化が表れていると分析しています。つまり、コロナによって「均一でなくてはならないという発想ではない、中間的な考え方」をする人が増え、生活や働き方に自由度や柔軟性が上がっていることが、「見る角度によって変わる色」を好む傾向の高まりに繋がっているということ。世界的に自動車の色は「白」「黒」「グレー」「シルバー」の4色が8割以上を占めると言われていますが、今後は、「何色なのか一概には言い切れない色の車」がますます増えていくかもしれません。

購買意欲を高める色は?

このように景況や人々の心理を映し出す「色」は、マーケティング業界では消費者の購買意欲に大きな影響を及ぼす重要な要素でもあり、色による購買意欲への影響を活かした「カラーマーケティング」が行われています。

最も購買意欲を刺激するといわれるのは、言わずと知れた「赤」。セールのチラシや割引札に赤が使われたり、ECサイトで「カートに入れる」「購入する」のボタンに赤が多用されるのは、このためです。一方、「青」をマーケティング戦略に取り入れる企業やブランドも少なくありません。赤が値段の安さを連想させる色であるのに対し、清潔感や爽やかさを感じさせる青は、企業やブランドの信頼性を前面に打ち出したい場合に使われることが多いようです。

ちなみにCriteoのコーポレートカラーで、ロゴにも使われているオレンジは、エネルギーと開放感をもたらしてくれる色で、気持ちをポジティブにしてくれる色でもあります。

2年超におよぶコロナ禍を経て、トレンドカラーに明るさが戻りつつある2022年。今年は「色」にこだわったデジタルマーケティング戦略を展開してみるのも良いかもしれません。