春夏の旅行トレンド:コスパ意識が高い旅行者による旅行業界の再編

2025年6月25日更新

経済的な不確実性が続き、世界中のニュースが緊張感に包まれる中でも、1つ確かなことがあります。それは、旅行の需要は依然として強いということ。ただし、旅行の方法と人々が期待することは目まぐるしく変化しています。

Criteoが発表した「Spring Travel Pulse 2025」(全世界版:英語のみ*)によると、旅行者はコスパ意識が高まり、創造性や柔軟性をもって賢く計画を立てることで不安定な経済状況を切り抜けていることが明らかになりました。本レポートは世界14,000人以上の旅行者を対象に実施した調査への回答で構成され、数百もの大手旅行ブランド(OTA、航空会社、ホテルチェーンなど)から得た豊富なデータを用い、マーケターが戦略を最適化する上で必要なインサイトを備えています。

ここでは、この調査で明らかになった旅行トレンドの一部をご紹介します。貴社の旅行キャンペーンにお役立てください。  ※日本版はこちらからご覧ください

「コスト意識が高い = 旅行に行かない」ではない

物価の高騰により旅行の方法は変わりつつあります。実際に、世界の旅行者の45%が費用の上昇が旅行の計画に影響を与えていると回答しています。

出典:Criteo による調査 – 消費者の旅行嗜好(2025年3月、対象:全世界、回答者数:7,558人)。

しかし、旅行したい気持ちに変わりはありません。旅行者の半分が旅行をライフスタイルに欠かせないものとして認識しており、特にイギリス、ドイツ、日本では物価上昇のなかでも旅行熱が強く残っています。

また、世界全体でも、旅行者の3分の2が昨年に比べて旅行にかける費用は変わらないか増加したと答えており、冒険心が衰えていないことを示しています。

出典:Criteo の調査 – 消費者の旅行嗜好(2025年3月、対象:全世界、回答者数:7,558人)。

ポイント:旅行はつながり、意義、そして人生の休息を提供するものであり、日常から離れるための必要不可欠な方法と位置づけられます。

旅行が小売を引き離す

春になると、世界中で旅行に対する需要は小売に対する需要を上回ります。2024年5月下旬から9月初旬にかけて、旅行予約は小売の売上を平均6ポイント上回りました。

旅行ブームの様相は各地で異なります。南北アメリカでは4月から9月を通じて勢いが衰えず、旅行予約が小売を17ポイント上回りました。ヨーロッパ、中東、アフリカ地域では季節ごとに好調な伸びが見られ、旅行予約が小売を8ポイント以上上回りました。一方、ピークが遅れてやってくるアジア太平洋地域では、7月から10月にかけて、旅行予約が小売を12ポイント以上引き離していました。

出典:Criteo のオーガニックデータ。週次小売売上高、旅行予約件数(2024年3月3日~28日)。2024年3月3日~11月3日に安定したデータをもつ世界の小売業者および旅行代理店。業種別に独立しており、相対的な売上や量を示すものではありません。

ポイント:旅行が注目を集める最適なタイミングでキャンペーンが展開できるよう、準備を整えておきましょう。季節ごとのペース配分を優先し、4月から6月には顧客獲得を集中させ、アジア太平洋地域のように需要が後から高まる市場では、9月以降まで予算を延長しましょう。

予約までの道のりは想像以上に長い

旅行者は気まぐれで旅行を予約するわけではありません。2025年3月下旬の航空券予約では、最初の検索から購入までに平均で9日費やされていました。ホテルの予約はさらに長く、平均で12日費やされました。

しかし、重要なのは時間だけはありません。タッチポイントも重要です。旅行者は予約前に4つの航空便と、21軒のホテルを検討します。ホテルの選択肢は航空便よりも5倍あるため、ホテル予約の経路は特に混雑し、競争も激しくなります。選択肢が増え、検討条件が増え、検討プロセスが複雑化するなかで、ファネル内の一瞬一瞬が重要です。

ポイント:ダイナミック・クリエイティブやリターゲティング、パーソナライズされたメッセージなどのミッドファネル戦略を駆使して、予約までの全プロセスを通して存在感を表しましょう。消費者がオプションを検討している間に常に思い浮かべてもらえることが重要です。

旅行計画のカギを握る各国のニュース

計画において、旅行者はこれまで以上に様々な情報を集めるようになりました。これはホテルの候補を探すためだけではありません。

現在地政学を考慮する旅行者は世界全体の26%にすぎませんが、その懸念は急速に高まっています。特に韓国(+24pp)およびフランスとドイツ(+17pp)でこの傾向が顕著に表れ、前年比で12ポイント上昇し、旅行計画の検討事項として今最も急拡大しています。

出典:Criteo の調査 – 消費者の旅行嗜好(2025年3月と2024年3月の比較、対象:全世界、回答者数:14,313人)

友達や家族の口コミ以外にも、様々なメディアが旅行者の決定を左右しています。世界的に見ると、旅行予約サイトやテレビ、旅行ブログなどが特に参考にされています。

しかし深掘りしてみると、その様相は地域によって大きく異なります。日本では依然として印刷物が重視され、韓国ではインフルエンサーのコンテンツが人気を集める一方、アメリカやイギリスではポッドキャストや周囲の人からの口コミが意思決定を左右しています。

出典:Criteo の調査 – 消費者の旅行嗜好(2025年3月、対象:全世界、回答者数:7,558人)。

ポイント:ただ広告が表示されるだけでは意味がありません。適切なフィードで存在感を示しましょう。地域に合わせてコンテンツを最適化し、従来の手法とデジタル配信を組み合わせつつ、消費者が旅行計画を行うあらゆる場面でキャンペーンが目に付くよう、データを駆使しましょう。

旅行者はさらに賢く節約できるように

消費者は旅行をあきらめることなく、限られた予算で最大限に楽しむためにいろいろな工夫をしています。世界全体では、42%がかなり前もって予約をし、38%がピークシーズンを外して旅行することで旅費を節約しています。

旅行者の節約方法は地域によって大きく異なります。アメリカやイギリスではシンプルで費用をおさえられる宿泊施設が人気。ドイツではより手頃な目的地を選ぶ傾向があります。日本では短期間の旅行に注目が集まり、韓国では低予算の体験型アクティビティが人気です。

出典:Criteo の調査 – 消費者の旅行嗜好(2025年3月、対象:全世界、回答者数:7,558人)。

ポイント:特典やメッセージを地域特有の節約行動と合わせることで、コスパ重視の旅行者を囲い込みやすくなります。

旅行者の状況に合わせたアプローチを

消費者は旅行をやめたわけではありません。いつ、どこで、どのように予約するかをより賢く見極めるようになったのです。予算の変動とニーズの変化が大きな影響を及ぼすこの状況下では、柔軟で、地域に根ざしたアプローチを採用し、価値を重視するマーケターが、より多くの需要を獲得できるでしょう。

「Spring Travel Pulse 2025」(全世界版:英語のみ*)で多くの旅行トレンドとインサイトを発見し、より効果の高いキャンペーンの設計にお役立てください。  ※日本版はこちらからご覧ください

Elizabeth Kim

Elizabethは、 マーケティング分野のライターで、文化、テクノロジー、コマースが、どのように新しい方法で消費者の行動を常に形作っているかを見出すことに熱心に取り組んでいます。 ...

グローバルコンテンツ ストラテジスト