ECで買った商品、どう受け取る?「便利さ」+αが求められる時代へ

更新日 2023年11月01日

EC売上高増を支える受け取り方の多様化

コロナ禍を機に急拡大を遂げたEC市場。JADMA(日本通信販売協会)によると2022年度(2022年4月―2023年3月)の通信販売市場の売上高は12兆7,100億円で、24年連続の増加を記録しました。伸び率も昨年の7.8%から10.9%と増加しており、消費者の行動パターンが多様化している中でもEC・通販市場は堅調な成長を続けていることがわかります。

EC市場の拡大の背景にはコロナによる巣ごもり消費の拡大や、スマートフォンやSNSの普及など様々な要因が挙げられますが、特に大きな影響を与えたと考えられているのが、置き配や宅配ボックスの普及など宅配便の受け取り方の多様化です。対面で受け取りたくないとき、家族に荷物の受け取りを知られたくないときなどに、「置き配」や「駅の宅配ボックス」、もしくはBOPIS(Buy Online Pickup In Store=店頭受け取り)するなど、自分の都合の良い方法や時間を選んで受け取る前提で買い物ができるようになったことで、もともと順調だったEC利用の拡大がさらに加速したと考えられています。

置き配の利用率は3年間で2.3倍に

このうち、特にここ数年目立って伸びているのが「置き配」の利用です。郵便受け・宅配ボックスシェアの株式会社ナスタ(本社:東京都港区)が2022年に行った「置き配に関する実態調査」によると、「置き配サービスを利用したことがある」と答えた人は61.3%に上りました。国交省の発表によると、2021年度の宅配物量は49億個を突破。宅配物量が増え続ける中、再配達削減など物流課題の解決策として始まりまった「置き配」ですが、コロナ禍における非対面需要の後押しもあって、2022年の利用率は61.3%と2019年調査から3年連続増加、利用率は2019年の2.3倍に拡大しています。

(cap)株式会社ナスタプレスリリース

ただし、置き配に不安を感じると回答した人も54.6%に上っており、不安を感じる点については「荷物が盗まれる」と回答した人が71.6%と最も多く、次いで「荷物が濡れる」「荷物が汚れる」「荷物を隣人に見られる」「荷物を指定した場所に置いてもらえない」と続きました。

こういった不安を払しょくする設備として人気を集めているのが、「宅配ボックス」です。最近は置き配に備えて宅配ボックスを設置する人が増えており、自宅に宅配ボックスが設置されていると答えた人は39.2%に。住居形態別にみると、「戸建て住宅」への設置率は26.6%、「マンション」への設置率は62.2%、「アパート」への設置率は30.8%という結果でした。マンションへの普及に比べ、戸建てとアパートへの普及はまだ低いのが現状のようです。不動産情報大手「LIFULL HOME’S」が物件を探す際に、「宅配ボックスあり」が「必須」選択された割合を調査したところ、約6割近くが「必須」選択をしていることがわかり、その需要の高さをうかがい知ることができます。

駅やドラッグストアで受け取れる!オープン型宅配ロッカーの利用も増加

「自宅で受け取りたくない」、「対面は嫌だが自宅に宅配ボックスがない」という人に人気なのが、オープン型宅配ロッカーです。オープン型宅配ロッカーは、自宅ではなく駅やドラッグストアなどの公共施設に設置され、この宅配ロッカーに荷物を届けてもらうように手配しておけば、仕事帰りなどに受け取りに行けるというもの。数ある宅配ロッカーの中で最も普及が進んでいるのが、 Packcity Japan(パックシティジャパン)が運営する、オープン型宅配便ロッカーPUDOです。2023年現在、全国に6000か所以上設置されているPUDOはクロネコヤマトや佐川運輸、日本郵便といった複数の宅配業者と連携しており、利用者はPUDOのロッカーで荷物を受け取ったり、発送したりすることができます。

環境面でのメリットも。消費者の意識を変える「置き配」

置き配や宅配ボックスなど、商品受け取り方法の選択肢が多様化した背景には、もっと便利にECショッピングを利用したいという消費者のニーズ、そして2024年問題を前にドライバー不足を解消したいという宅配業者のニーズがありました。しかし、最近もう一つ、二酸化炭素削減を意識して置き配を推進しようという動きが目立っています。

例えば、長野県諏訪市では2022年8月から12月の約4カ月間、住民約80人に置き配バック「OKIPPA」を配布し、再配達と二酸化炭素の排出量を減らすための実証実験を行いました。諏訪市によると、置き配バッグ活用による再配達削減率 84.6%、置き配バッグ活用による二酸化炭素排出削減量 約1,811kgという結果が得られたそうです。さらに注目すべきは、この実証実験に参加したことによって脱炭素社会実現に向けた意識が高まったと答えた割合が72.2%にも上ったこと。「便利さ」だけでなく、環境に優しい取り組みに参画しているという「体験価値」も、消費者にとって大きな魅力となっていたのではないでしょうか。引き続きEC市場の拡大が予測される中で迎える「2024年」は、宅配業者のみならずEC事業者や消費者も巻き込んで「サステナブルな物流」への取り組みが加速する1年になるのかもしれません。