どうなる?アフターコロナのウエディング事情

更新日 2023年08月08日

いよいよ2023年5月8日、新型コロナウイルスの感染法上の分類が季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられます。行動制限もなくなることから、これまで3年間もの間、自粛・中止されていた様々なイベントや行事が、5月以降は次々に再開されていくものとみられており、多くの業界が業績回復に向けた取り組みを始めています。 

ウエディング業界もその一つ。2023年に入ってからは、コロナ禍で激減していた披露宴やウエディングパーティを開くカップルが増え、業界全体が堅調に回復しつつあります。しかし、他の生活様式と同様、コロナ禍を経たことで若者たちの結婚観やウエディング関連イベントについての意識には、一定の変化が出てきているようです。今回は各種調査結果をもとに、アフターコロナのウエディング事情にはどのような傾向が見られるのかを探ってみました。 

トレンド1:入籍から挙式までの期間が長期化 

リクルートがおこなった「結婚トレンド調査2022」によると、2022年に挙式したカップルの「入籍から挙式実施までの期間の平均は、コロナ禍前よりも長くなった昨年の調査をさらに上回り、調査開始以来最長の9.5カ月間。コロナの感染拡大が落ち着くまで挙式を見送っていたカップルが多いことがわかります。挙式の時期を慎重に検討する傾向は継続しており、コロナ禍における結婚式の実施を迷った割合は2021年の調査からは6.8ポイント減少したものの、いまだ8割以上と高い状態が続いています。また、招待・参加人数を縮小して実施した人は、縮小せずに実施した人よりも「迷った」割合が14.5ポイント高いことからも、まだまだ大人数での挙式・披露宴の開催に慎重なカップルが多いことが見て取れます。  

トレンド2:ゲスト一人当たりにかける費用が過去最高に 

感染拡大予防のため少人数で規模を縮小したため、コロナ禍では挙式・披露宴・ウエディングパーティなどにかける費用の総額が大きく落ち込みましたが、2022年には微増に転じ、平均約303万8000円で前年を11万5000円上回りました。その理由は単に「規模を縮小せず大人数で開催するカップルが増えたからでは?」と思われがちですが、実はゲストの数自体は平均43.2人で前年比+0.4人しか増えていません。そう、総費用増加の理由は単にゲストの頭数が増えたからというわけではないようです。そうなると他に考えられる理由は、ゲスト一人当たりにかける費用があがっていること。実際、リクルートの調査によると2022年に挙式したカップルが招待客一人当たりの料理にかけた費用〔飲み物を除く〕の平均は1万6,700円で、ここ数年増え続けています。一人当たりのギフト費用の平均も2022年は6,900円で2年連続増加。これらの2つの項目について全国値推計を開始した2009年以来最高を記録しています。コロナへの懸念が小さくなる中にあっても、大規模で派手な結婚式ではなく、本当に来てほしい人を厳選して招待し、来てくれたゲストを丁寧にもてなしたいというカップルが増えているのがわかります。 

トレンド3:カップルの自己負担、親からの援助共にUP 

結婚式にかかる費用が回復傾向にある中、カップルの自己負担額も増加傾向に。2022年に挙式したカップルが受け取ったご祝儀の総額は平均180.4万円で、コロナ禍で大きく落ち込んだ昨年の調査から3.6万円回復していますが、自己負担額の平均は147万3000円で前年比3万6,000円という結果に。ちなみに、親族からの援助を受けたカップルの割合は71.9%で、前年より2.5%増加。金額も平均162万7,000円と、前年を6万7,000円も上回りました。物価高で新生活にかかるコストが上昇する中、この傾向は今年も続くのではないかと思われます。 

トレンド4:変化する「オンライン」の意義 

コロナ禍は結婚式そのものだけでなく、その準備の進め方にも大きな変化をもたらしました。コロナ前は式場に直接出向いて担当者と打ち合わせを重ねる・・・・というのがお決まりのスタイルでしたが、コロナによってそれが不可能に。苦肉の策としてZOOMなどのオンライン会議システムを使って打ち合わせをする方法が一般的になりました。しかし、コロナが収束してまた対面の打ち合わせが一気に復活しているかというと、決してそうではないようです。リクルートの調査では、会場を決めた後の段階でのオンライン打ち合わせに「対応していた」会場の割合は全体の56.4%で、昨年の調査から12.3ポイント増加。また、会場を決めた後の段階でのオンライン打ち合わせを「利用した」カップルの割合は44.0%で、こちらも昨年の調査から5.5ポイント増加していますオンライン打ち合わせを利用した理由を聞いたところ、「実際に足を運ぶ時間をとられないから」が昨年の調査から10.0ポイントも増加。一方、「感染症などでも安全に利用できるから」は12.9ポイント減少し、上位2位が逆転する結果となりました。もともと感染症対策として使われていたオンラインですが、今は打ち合わせの時間や手間を省くためのサービスとして必要とされるようになっているようです。 

トレンド5:結婚式は絆を強める場 

では、こうしてお金と労力、時間をかけて行った挙式について、カップルの皆さんはどう思っているのでしょうか?同調査によると、「人生の節目である結婚に際して、結婚式を行って良かったと思う」と回答したカップルは全体の98.2%と、前年を0.6ポイント上回りました。「結婚式は列席者に感謝の気持ちを伝える場だ」と「結婚式を通して、列席者から二人が応援されていると感じた」との回答も9割を超え、年々増加傾向にあります。また、結婚式をしたことで「自分自身やこれまでの人生が好きになった」との回答も8割を超えており、こちらも年々増加傾向にあります。今どきのカップルにとっての結婚式は、もはや単に結婚を披露する場ではなく、はたまた2人の愛を誓う場というだけでもなく、親しい人たちとの絆を実感したり自分の人生を肯定したりするための場となっているのかもしれません。 

 日本で最も結婚式が多いのは、気候が安定する秋(10月と11月)。コロナ禍による影響がこのまま順調に少なくなっていけば、ウエディング関連の需要はますます高まっていくものとみられます。「自粛」を知ったカップルたちが、これからの本格的なアフターコロナの世界でどんなウエディングトレンドを作っていくのか、要注目です。  

出典:ゼクシィ「結婚トレンド調査2022」