プログラマティック広告の基本と課題

 

そもそもプログラマティック広告とは?

最近、日本でもよく耳にするようになった『プログラマティック広告』。今回は改めて、プログラマティック広告とは何なのか、どのような課題や可能性があるのかについてみていきましょう。

まず、プログラマティック広告とは、広告そのものを指すのではなく、「インターネット広告における広告枠自動買付のためのプロセスの総称」です。このため、プログラマティック広告を「プログラマティック・バイイング(自動買付)」と表現することもありますが、ここではプログラマティック広告という表現を使います。

プログラマティック広告が登場したのは、2010年頃のこと。もともと予約型の取引形態から始まったインターネットのディスプレイ広告は、媒体の増加に伴って取引が煩雑になり、その煩雑さを回避するためにアドネットワークを介した取引(いわゆるバルク買い)に変化していきました。すると、アドネットワークが買い付けない(一等地ではない)いわゆる余剰在庫の広告枠が発生。これをマネタイズしたいという要望から、余剰在庫の広告枠を広告主がオークション形式で買い付ける仕組み「Real Time Bidding」が登場しました。

ところが、オークションを介した広告枠の売買は、ユーザーがWebページを表示する度に瞬時に行われるので、当然ながら人力では制御できません。そこで、広告主が事前に条件(予算や入札枠の上限など)を設定して、自動売買ができる仕組みが作られるようになりました。この仕組みのことを、「プログラマティック広告」と呼んでいるのです。

ブランドセイフティやアドフラウド。プログラマティック広告の課題とは?

媒体側のみならず、広告主側にもメリットが大きいプログラマティック広告は、その後、またたく間に普及し、eMarketerがおこなった調査によれば、米国ではすでにディスプレイ広告費全体の80%以上をプログラマティック広告が占めており、2020年には全体の86.3%をプログラマティック広告費が占めるようになると予想されています。

しかし、プログラマティック広告にはいくつか問題が指摘されています。その1つが、ブランドセイフティの問題です。

プログラマティック広告の登場によって、Webページの質が悪くても、オーディエンスデータの精度さえ高ければ、広告主に高く売れるようになったことが原因です。プログラマティック広告を悪用すれば、質の低い媒体をたくさん作って、広告枠をたくさん用意しておけば儲かる仕組みができあがってしまうということです。

そこで最近、導入が進んでいるのは、広告が広告主の意図通りに配信されているかどうかを確認する仕組み「アドベリフィケーション」です。アドベリフィケーションでは、主に以下の点をチェックすることを目的としています。

  • ブランドイメージが損なわれていないか
  • 広告がちゃんとユーザーに見られているか
  • アドフラウド(不正な広告表示)がないか
  • アドクラッター(1ページに大量に広告枠を配置する不正)がないか

プログラマティック広告の未来

このように課題も多いプログラマティック広告ではありますが、前述のとおり、その市場規模は拡大を続けています。最近では、通信システムの発達やIoTの普及にともなって、テレビや屋外/交通広告(OOH)など、デジタル広告に分類されない媒体においても、プログラマティック化が進んでいます。

電通イージスネットワークによる「世界の広告費成長率予測(2018~2020)」の「媒体別成長率予測(全世界)」によれば、OOHの成長率は、2018年と2019年ともに4%以上を記録、2020年に5Gの商用利用が始まれば、さらに成長が加速するのではないかとみられており、さらに今後はインターネット広告とテレビ、OOHとの融合や、連携も進むものと考えられます。このようなプログラマティック広告の進化は、多くの広告主にとって広告の可能性を広げるものであると同時に、上にあげたようなリスクの拡大にもつながります。新しいテクノロジーを上手く活用しつつも、「ターゲットに最適な内容を、最適な場所・最適なタイミングで提示する」という広告本来の目的を見失わないようにしたいものです。