変わりゆく実店舗の役割~ショールーミング+Webルーミング

 

EC市場の拡大に伴い、実店舗の役割が大きく変化しつつあります。特にアパレルや日用品を扱う小売業者では、ECでの購入を前提にした店舗づくりを進める例が増え、中には「商品を売らない店舗」も出現して話題を集めています。今回は、この変化の背景にある消費者の「ショールーミング」と「Webルーミング」についておさらいしましょう。

ショールーミング~店舗で見て、オンラインで購入する

ショールーミングとは、実店舗では商品を見つけたり確認したりするだけで購入せず、オンラインで価格の比較をした上で、安く買えるオンラインショップで購入すること。ショールーミングは消費者の間でごく一般的に行われていて、消費者の約46%がショールーミングをしているという調査結果も。店舗の仕様を「売り場」から「ショールーム」として変更するケースが増えているのも頷けます。

例えば、アパレル大手のZARAは2018年夏、試着専用の店舗を期間限定で六本木ヒルズ内に開店し、話題を集めました。この店舗では、客が自身のスマホや店の端末で試着したい商品のバーコードを読み込んで、希望のサイズを指定して試着をリクエスト。すると、店舗スタッフがその商品を試着室に運んできてくれます。試着してみて商品が気に入れば、店内のレジや専用アプリで決済し、商品は後日自宅に配送される仕組みが採用されました。つまり、商品を試着できる実店舗のメリットと商品を自宅まで届けてもらえるオンラインショップングのメリットの両方を享受することができるということ。このサービスは顧客に高く評価され、現在も六本木ヒルズ店で利用することができます。

また、大手ファッションビルのマルイも、ネット通販の簡易型プラットフォームサービスを手掛けるBASEに出資。2018年にはBASEの常設店舗を渋谷店1階に開店するなど、“リアル店舗で見てネットで購入”のショールーム型店舗の展開を加速しています。

Webルーミング~店舗に行く前にWebで調べる人が急増中

上記のとおり、ショールーミングの対象は主にオンラインで決済しやすい商品(アパレルや日用品)です。しかし、それ以外の分野の商品、例えば高額すぎてオンラインでは買いづらい自動車や宝飾品、電化製品などを扱う企業は従来どおり店舗に重点をおいたマーケティングをしていればよいかというと、決してそんなことはありません。実店舗での購入がメインの企業やブランドにもまた、オンラインでのマーケティング施策の強化が欠かせないのです。その理由は、消費者の間でもはや当たり前になっている「Webルーミング」対策のため。Webルーミングとは、事前にWebでお目当ての商品やサービスについて調査・比較した上で、実店舗に行って買い物をする消費行動のことで、今や高額商品を購入する消費者の多くがこれを行うようになっていると言われています。

つまり、いかにオンライン上で商品やサービスの良さを消費者に訴求できるかが、実店舗での購入のカギを握っているということ。「うちの顧客はオンラインでは買わないから、オンラインのマーケティングはほどほどで・・・」という考え方は、もはや通用しない時代、購入の場がオンラインであれオフラインであれ、オンラインマーケティング施策の充実を決して怠るべきではないのです。

ショールーミングの課題は「優れた体験の提供」

単に物を売る場所から、ショールームとしての役割をも担うようになった実店舗ですが、だからといって単に商品を並べておけばよいというわけではありません。最近ではショールーム+@の楽しみ方を提案する実店舗が増えています。

たとえばアイウェア販売を手掛ける株式会社ジンズは、2019年1月に人工知能(AI)を駆使した次世代型ショールーミングショップ「JINS BRAIN Lab.エキュート上野店」をオープン。AIの機械学習機能を使ったメガネのレコメンドサービス「JINS BRAIN(ジンズ・ブレイン)」搭載のミラーによる「似合い度判定サービス」を提供し、楽しみながら自分に似合うメガネ探しをすることができます。決済は専用アプリから、そして商品の加工は自社倉庫で行い、商品は顧客が希望する住所に発送するシステムを採用。在庫を持たず試着用商品の展示のみで営業することが可能になったことで、視力測定など接客への注力を可能にし、顧客満足度の向上を図っています。

ショールーミング+Webルーミングが当たり前の時代、実店舗での顧客満足度を高めるには、単に商品を見て触ってもらう場としてだけでなく、「顧客との接点の場」として実店舗を最大限に活用し、わざわざやってきた甲斐があったと顧客に思わせるだけの、すぐれた「体験」を提供することが重要です。実店舗での体験に満足した顧客は、そのブランドや企業のファンになってくれる可能性が高いからです。そしてもちろん、実店舗とオンラインを連動した取り組みも欠かせません。 実店舗と連動したオンラインキャンペーンにご興味がある方は、ぜひお気軽にCriteoまでお問い合わせください