移動店舗で、ECと実店舗をつなぐシームレスな買い物体験を提供

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、急拡大を続けるEC市場。感染予防のために実店舗に行くのを避けたのがきっかけで、今ではECでの買い物が習慣になったという人も多いのではないでしょうか。

しかし、だからといって実店舗での買い物の楽しさが色あせたわけではありません。コロナ禍の中にあっても、実際に品物の手触りや使い勝手を確かめたい、店員さんと相談しながら品定めをしたり、使い方や着こなしを教えてもらったり、あるいは何気なく立ち寄った店先で掘り出し物を見つけたり・・・という、実店舗ならではの買い物体験を楽しみたいという人は少なくないはずです。

そんな実店舗の楽しみをユーザーにまったく新しい形で届けられる事業として注目を集めているのが、三井不動産の「移動商業店舗プロジェクト」です。

このプロジェクトは、ヒト・モノ・サービスの「移動」に着目した、同社のモビリティ構想の1つで、店舗と一体化した車両を事業者にリースし、同社が所有・管理する不動産(オフィスビル、商業施設、集合住宅、駐車場など)とマッチングするプラットフォーム事業をメイン事業としています。

本事業最大の特徴は、曜日や時間帯ごとのニーズに合わせて場所を移動しながら、物やサービスを提供できること。たとえば、平日朝のニーズが高いコーヒーショップをオフィスビルの敷地内に、休日にニーズが高まるクリーニング店やネイルサロンを大規模マンションの敷地内に、オフィスワーカーの需要が高いクイックマッサージ店をオフィスビル近くの駐車場に・・・という具合に、売り上げが期待できる時間帯と場所を選んで移動、営業することができます。

さらに実店舗を構える場合に加えて初期投資が少なくて済むため、会社や事業者の規模に関わらず、低リスクで参入ができる点も大きな魅力です。

すでに同社では2020年9月から首都圏近郊(豊洲、晴海、板橋、日本橋エリア、千葉市)で、10業種11店舗の事業者とともにトライアルイベントを実施。出店事業者・ユーザー双方から好評を得ており、イベント後には、出店事業者から「売上だけでなく、プロモーションの観点でも出店の価値がある」「お客様と直接コミュニケーションをとりながら、お買い物を楽しんでいただけたのが嬉しかった」、ユーザーからは「地元にはない新しいお店との出会いにつながった」、「コロナ禍の中、遠くに行かなくても実店舗で買い物ができた」といった声が寄せられたそうです。

同社ではニュースリリースで「移動商業店舗は、通常の固定店舗とECの間をつなぐことでユーザーがリアルとデジタルの垣根を超え、“どんな場所”でも買物ができるシームレスな買物体験を生み出します。また、出店事業者においては、第三のチャネルを持つことで、これまで以上に深くユーザーの嗜好性や購買行動を知り、関係性を深めることが可能となります」とコメントしており、今後は店舗だけでなくホテルなどの様々な移動式サービスにつなげていきたいとしています。

実店舗でもない、ECでもない、新たなチャネルとしての移動式店舗が、今後どのような顧客体験とCRMを生むのか、幅広い業界から注目が集まりそうです。

出店:三井不動産ニュースリリース