観光再生のキーワードはMaaSとワーケーション ~日本観光振興協会が「日本の観光再生宣言」

2021年03月09日

新型コロナウイルスの感染拡大により、依然として大きな打撃を受け続けている旅行業界。JTB研究所の調査では、2020年の4月~12月に「国内旅行に行った」と回答した人は全体の36%。女性の40代、50代では30%を割り込みました(40代は26.5%、50代は29.2%)。

同じ調査で「今後、予定・検討している旅行の時期」について聞いたところ、「2021年以内」と回答した人は、国内旅行で27.6%、海外旅行ではわずか7.5%という結果に。コロナ収束の目途が見えない状況が続く中、感染のリスクへの懸念や「こんな時期に旅行に行くのは非常識ではないか」という自制意識から、「2021年中の旅行は控えたほうが良いだろう」と考えている人が多いことがわかります。

しかし、当面の間はインバウンドの需要回復も見込めない中、国内旅行に関しても、今の状況が続けば日本の旅行・観光業界、そして地域経済はますます深刻な状況に陥ってしまいます。

この状況を受けて、日本の観光業の振興を推進する中枢機関・公益社団法人日本観光振興協会では、2021年3月1日、観光業界と地域とが一丸となってこの危機を乗り越えようという決意を表明し、観光業界自らが観光の意義や役割を発信していくための「日本の観光再生宣言」を発表しました。

写真出典:公益社団法人日本観光振興協会プレスリリース

「日本の観光再生宣言」の内容は、以下の通り。

1.今を乗り越えるために~観光の灯を消さない

観光業界は業界を挙げて感染予防対策に徹底的に取り組み、新型コロナウイルス感染症の収束に寄与するとともに、ニューノーマル時代の新たな観光のあり方を、既成概念を打ち破って追求することにより、事業を継続・雇用を守り、危機を乗り越えて行く。

2.観光の再生とレジリエンスを高めるために~観光産業の生産性の向上

観光産業のデジタル化や業界を超えたネットワーク化の推進と、社会的価値のある観光関連事業を継承するための仕組みづくり、人材の確保や育成に取り組むことで生産性が高く働きがいのある魅力的な産業を目指す。働き方改革や集積されたビッグデータ、ネットワークを生かし、観光産業の再生に向けて新たな観光需要を創出することで、観光先進国を目指して行く。

3.地域社会の発展に貢献するために~観光産業のプレゼンス向上

観光産業に携わる一人ひとりが、引き続き地方創生の重要な役割を果たしていく気概を持たなければならない。加えて、幅広い業種との連携・共創を強く働きかけていくとともに、観光施策を通じて、持続可能な地域社会を実現して行く。

本宣言を発信するにあたって、同協会の副会長を務める高橋広行氏(JTB取締役会長)は、現在の旅行・観光業界の状況について「まさに、存亡の危機に瀕している」と危機感を示し、「このままの状況が続くと、地域経済を下支えする観光インフラ(交通、宿泊施設、観光施設、飲食店など)が失われてしまい、市場が回復しても観光が成り立たなくなってしまうおそれがある。そうならないために、感染拡大抑制と経済活動を二者択一で考えるのではなく、折り合いをつけながら両立させていかねばならない」と述べました。

その上で同協会では、観光再生への具体策としては、以下の2点をあげ、業界が一致団結して取り組んでいく決意を表明しました。

① ワーケーション推進

コロナによる働き方の変化で、ワーケーションへの注目度は上がっているが、受け入れ側である宿泊施設や地域の対応やサービス体制がまだ十分に整っていない。また、企業側も社員をワーケーションで働かせることについての理解が進んでいない。受け入れ側の宿泊施設・送り出す側の企業、双方にワーケーションへの取り組みと体制整備を働きかけることによってワークとバケーションを繋ぎ、観光業界に新たな需要を生む。

② MaaS、DXなどによるデジタル化の推進

交通、宿泊など観光産業のあらゆるサプライヤーを1つのプラットフォームにまとめることによって、予約・決済・情報検索などがスムーズにできる仕組みを整え、これまでにない快適な旅行体験を提供していく。

また、海外からの観光客の受け入れについては、ハワイが日本人の観光客は一定の条件を満たせば、到着後2週間の隔離を免除していることを例に挙げ、「PCR検査が気軽に受けられる体制を整備して陰性証明書をスタンダード化し、旅行者の行動を常時把握できるようにした小規模管理型旅行から再開してはどうか」との考えを示しました。

この宣言が出された直後、政府は1都3県の緊急事態宣言の2週間延長を表明。さらに東京オリンピックに関して、外国人観客の受け入れを制限する議論が本格化していることも報じられるなど、観光業界にとって暗いニュースが相次ぎました。2020年、前年比54.9%減の9兆8982億円にまで落ち込んだ日本人の国内旅行消費額が元の水準にまで戻るには、残念ながら、まだしばらく時間がかかりそうですが、コロナが収束した市場回復期に、万全の態勢で戻ってきた観光客を迎えられる整備を整えておくことが重要であることは間違いありません。

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