新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で大きな打撃を受けている航空業界。国際航空運送協会(IATA)は2020年11月、2020年のRPKs(有償旅客数に輸送距離を乗じたRevenue Passenger Kilometers:旅客キロ)が、前年比で66.3%減少するとの予測を発表しました。減少幅としては、第二次世界大戦以降最大の落ち込みです。

地域別では、アジア大洋州が前年比62.0%減、中南米が64.0%減、北米が66.0%減、欧州が70.0%減、アフリカが72.0%減、中東が73.0%減の見込み。IATAでは、RPKsの落ち込みによる航空輸送業全体の損失額は1,185億ドルに上るとの予想も発表しています。IATAは新型コロナウイルスの影響による打撃が最も大きかったのは2020年の第2四半期(4月~6月)としているものの、同時に「下半期の回復が鈍く、旅行制限は引き続き航空業界の収益を押し下げるだろう」と分析しています。

もちろん、日本の航空業界も例外ではありません。2020年4月の緊急事態宣言以降は国際線・国内線ともに需要が急激に落ち込み、収益も激減。2020年11月の段階で、2021年3月期についてJALは最大2700億円の最終赤字、ANAは5100億円の最終赤字見通しを出しています。

しかし、事態はその予想を超え、さらに悪い方向へ。2020年秋にはGo Toトラベルキャンペーンが追い風となって国内旅行市場はようやく動き始めたかに見えましたが、2020年末には再び感染拡大が始まったことから同キャンペーンが停止に。さらに2021年の年明け早々に2度目の緊急事態宣言が発令され、航空業界は再び苦境に追い込まれることになりました。日本経済新聞は、今回の緊急事態宣言が予定通り1か月で終わった場合でも、国内線全線の旅客数はコロナ前比7割減と予想、国内航空3社(JAL 、ANA、スターフライヤー)の赤字は計660億円強に上る可能性があると分析しています。

こうした事態を受け、ANAでは2022年までに3500人の人員削減をする方針を発表。一方のJALの赤坂祐二社長は人員整理について「まったくそういう考えはない」と否定し、「必ず航空需要は戻るので、準備をしっかりする」とコメントしています。とはいえ、その需要が戻る時期が誰にもわからない中、いつまで自力で雇用を維持できるのか先行きは見えないままです。一方、家電量販のノジマやスーパーマーケットの成城石井が航空大手から出向者を受け入れるなど、業界を超えて航空業界へ救いの手を差し伸べる企業も出てきており、「日本の翼」を守ろうとする動きもみられるようになっています。

緊急事態宣言は1カ月で終わるのか、新型コロナウイルスの感染拡大はいつ、どのような形で収束するのか、東京オリンピックは開催されるのか、航空需要はいつ戻るのか、どれも今の時点では誰にも予測ができない状況ですが、残念ながら今年も航空業界にとって試練の1年になることだけは間違いなさそうです。

1日も早く、再び空の旅を楽しめる日が戻りますように!

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