2019年インバウンド商戦 ~顧客満足度だけじゃダメ!?上げるべきは〇〇〇満足度

更新日 2020年07月30日

2018年12月18日、政府は2018年1月1日~の訪日外国人が3000万人を突破したと発表しました。訪日外国人客が初めて1000万人を超えたのは2013年なので、それからわずか5年で3倍に増加したことになります。訪日外国人客の順調な増加を支えているのは、なんといっても大幅な円安、さらにビザ発給要件の緩和や格安航空会社の就航などが追い風になっていると分析されています。当然、訪日外国人客が日本経済に与える影響も年々大きくなっており、観光庁では訪日外国人客による消費は年間4兆円に上るという推計結果を発表しています。政府は2020年までに訪日外国人客4000万人突破を目標に掲げており、訪日外国人客対象のビジネスは引き続き成長を続けるものと見込まれます。

では、このマーケットで商機をつかむカギは、どこにあるのでしょうか?いくつかの具体例を見ながら、その答えをさぐってみましょう。

リピーター獲得のカギを握る「インナーマーケティング」

まず、注目したいのは訪日外国人のうち半数以上が、日本への訪問が2回目以上の、いわゆるリピーターであること。1度訪れたことのある場所をわざわざもう1度訪れる人たちの動機は、「前回楽しんだことをもっと楽しみたい」もしくは「前回とは違うことを楽しみたい」のいずれか。つまり、より満足度の高い経験を提供して顧客満足度を高めることが、リピート訪問促進のカギになることは間違いありません。そこで、今、サービス業を中心に注目を集めているのが、インナーマーケティングです。

インナーマーケティングとは、企業が自社の従業員向けに行うマーケティング施策のことで、「顧客によりよいサービスを提供するためには、顧客と直接かかわる従業員が会社の目標や理念にコミットしていることが重要である」という考えに基づいています。逆に言うと、従業員自身が会社の目指す姿に共感し、満足して働いていないと、お客様に満足いただけるサービスを提供できないという考え方です。具体的な施策としては、ITを活用してルーティンワークや社内手続きの効率化を進めること、社内SNSを活用して経営幹部や他チームとのコミュニケーションをスムーズにすることなどが挙げられます。まずは従業員の意見をヒアリングし、どんなソリューションを採用すれば従業員満足度を向上できるか、リサーチすることから始めましょう。

AIで「おもてなし」を強化、従業員満足度も向上

一方、もっとダイレクトな方法で訪日外国人客に「おもてなし」を提供する企業もあります。例えば、株式会社ビースポーク(本社:東京都渋谷区)では、訪日外国人向けのスマートフォン用「AI(人工知能)コンシェルジュ」、Bebot(ビーボット)を成田空港や東京駅、各地の宿泊施設や商業施設に提供しています。 BebotはAIを駆使し、宿泊施設や商業施設のスタッフに代わって英語や中国語で24時間365日、各種問い合わせに対応するというすぐれもの。ユーザは自身のスマートフォンで専用QRコードを読み取るだけで利用でき、例えば東京駅の場合は英語または中国語で「成田空港までの行き方は?」「新幹線の乗り方は?」「駅構内のコインロッカーの位置は?」といった質疑応答が可能。導入施設は、現場従業員の負担や、店頭の混雑が軽減できます。つまり、Bebotは顧客と従業員の満足度を同時に高めることが可能なツールなのです。

BebotのようなITやAIを活用した技術的なサポートが、今後、対訪日外国人向けビジネスにおいて大きな役割を果たすようになることは、まず間違いないでしょう。そのサポートを上手く使いこなし、顧客と従業員、双方の満足度向上に取り組む企業こそ、今後の対訪日外国人向けマーケットで大きなチャンスを得ることになるはずです。