アメリカでは食品のECでの購入が前年比54%増

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令で、実店舗での買い物を控える人が増えた2020年。それまで日用品の購入にECを使っていなかった人が、ECを使い始めたこともあって、EC市場は大きな成長を遂げました。

特に大きな伸びを記録したのが食品のカテゴリーです。

eMarketerの「米国消費者の食料品オンライン通販サービス利用状況に関する調査」によると、2020年にECで食品購入に使われた支出額は958億2000万ドル(約10兆1531億円)と、前年比54.0%増の大幅な伸びを記録、米国消費者向けEC支出全体の12.0%、食料品販売全体の7.4%に当たる規模となりました。また、同調査では、米国の14歳以上の消費者で2020年に1回でも食料品のECを利用した人は、約1億3160万人で全体の42.6%に上りました。

この要因についてeMarketerでは、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛や店舗の休業などの影響で実店舗での買い物を控えるために、ECで食品を購入し始めた人が増えたためと分析。この層の大部分は今後もECでの食料品の購入を継続するだろうと予想しています。

日本では生鮮食品のECでの購入が増加

同様に日本でも、2020年は感染を避けるために外出を控え、ECで食料品を購入し始めた人、ECでの買い物の頻度を上げた人が増えました。中でも特に注目すべきは、ECで生鮮食品を購入する人が増えたことです。

ニールセン デジタル・コンシューマー・データベースの調査によると、2020年4月以降、「コロナ禍がきっかけで、初めて生鮮食品をオンラインで購入した、または購入の頻度が増えた」と回答した人の割合は、ECで生鮮食品を購入したことがある人の約28%にも上りました。

生鮮食品は「実際に手に取って商品の鮮度や状態を確認してから購入したい」という消費者の意識が根強く、日用品や書籍、アパレルなどに比べてECでの購入が進んでいないカテゴリーでした。しかし、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛や在宅勤務の影響で家庭での生鮮食品の需要が増えたことを背景に、実店舗で生鮮食品を購入していた人がECでの購入に切り替えたものと考えられます。

同じくニールセンの調査によると、2020年に初めてECで生鮮食品を購入したと回答した人のうち、最も多かったのは「49歳以下」で全体の約31%を占めました。世帯構成別にみると、「子どもと同居している2世帯」が約37%で最も多く、次いで「一人暮らし」が約30%でした。つまり、これまで日用品や書籍、ファッションアイテムなどをECで購入することに比較的慣れていた層の人々がコロナを機に、これまであまりECで購入しなかった生鮮食品を購入し始めていることがわかります。

この結果について、ニールセンのアナリスト、マ・ピンチュアン氏は「生鮮食品を取り扱っているオンラインショッピング・サイトの運営会社にとって、生鮮食品はまだ新しいカテゴリーのため、参入している競合他社がファッションや化粧品などのカテゴリーほど多くはありません。そのため、この新しい購買行動が形成されている段階の今が、売り上げを拡大しマーケットシェアを獲得する良いタイミングと考えられます。成功のための一つの施策として、例えば、若年層もしくは一人暮らしの消費者にはカット野菜の小分けパッケージや、下ごしらえ済み食材と調味料がセットとなっている時短ミールキット、子育ての家族には子ども用の栄養食材といった、ターゲットのニーズにあった生鮮食品のラインアップを増やすことも考えられます。2021年1月現在、いつ新型コロナウイルスが収束するのかが明らかではない環境の中、昨年利用が拡大してきた新しい購買行動の持続性を見極め、早期にターゲット層とそのニーズを正確に把握し、それに対応していくことが重要でしょう」と分析しています。

2021年も年明け早々に2度目の緊急事態宣言が首都圏の1都3県に発令、3月に入ってもまだ解除されない状態が続いています。収束の見込みが立たない状況が長引けば長引くほど、コロナによる購買行動の変化が「日常」として定着していくものと考えられており、eMarketerでも、コロナを機に食料品をECで購入し始めた人が、今後も継続的な顧客になると指摘、2021年のECでの食品購入にかかる支出額は1000億ドル(約10兆5960億円)を超えると予測、2022年には米国消費者の過半数がECで食料品を購入するようになるだろうとの見込みを示しています。

※出典:ニールセン ニュースリリース

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