8月31日は野菜の日。4割が「生産者の顔がわかる野菜を買いたい」

日本人の野菜摂取量 平均は1日約280グラム

8月31日は8(や)3(さ)1(い)のゴロ合わせから、1983年に全国青果物商業協同組合連合会など9団体が制定した「野菜の日」です。栄養豊富で低カロリーな野菜は、健康的な食生活には欠かせないもの。でも、忙しい日はついつい野菜不足に陥りがちですよね。厚生労働省によると、2018年の日本人の平均野菜摂取量は1日約280グラム。男女別に見ると男性が約290グラム、女性は約273グラムと、国が推奨している1日350グラムを大きく下回っています。年代別に見ると、男女ともに20代~40代の摂取量が少なく、男性では20代が最も少なくて1日平均261.3g、女性は意外にも40代が最も少なく、1日平均234.9gでした。

野菜の消費量も年々減り続けており、農林水産省の調べによると、日本人1人当たりの1年間の野菜の平均消費量は1985年には約117kgだったのに対し2019年は平均約90kgと、この30年間で約27kgも減っていることが明らかになっています。

健康意識が高いはずの日本人は、なぜ野菜を食べなくなってしまったのでしょうか?

全国の食品関連企業らでつくる一般社団法人ファイブ・ア・デイ協会では、日本人の野菜消費量が減っている背景について、次のようなライフスタイルや意識の変化があったと分析しています。

  • 食生活の欧米化:肉や乳製品を多く食べるようになった分、野菜の消費量が減った。
  • 調理食品や外食利用の増加:2010年の調理食品や外食にかかる出費は1965年当時の2倍に。
  • 調理への苦手意識:野菜を不足になる理由を尋ねたアンケートで「調理が面倒」を挙げた人が多数。

しかし、野菜の消費量が減っているからと言って、野菜を食べたい気持ちが低下しているわけではありません。健康志向の高まりから、日本人の野菜への関心は高く、カゴメによる調査では「野菜を積極的に摂りたい」と回答した人は全体の72%にも上っています。

野菜を食べたいのに実際は思ったほど食べていない・・・、この不思議な矛盾の一因は、日本人ならではの「手作り志向」にあるようです。というのも、日本人は外食や調理品よりも手作りの料理のほうを重視する傾向が高く、野菜不足を手料理で補おうとしがちだからです。たとえば、農水省の調査で野菜不足を感じている人に「どんな方法で野菜不足を解消したいか」という質問には、「家庭の食事で野菜料理を増やしたい」と回答した人が全体の49.4%にも。「市販の野菜ジュースなどを飲むようにしたい」(25%)、「中食や外食時には、野菜の多いものを選んだりしたい」(10%)といった手頃な対策よりも、手料理で野菜不足を補いたいと思う人が多いのです。

とはいえ、忙しい現代の生活で野菜たっぷりのヘルシーな手料理を毎日ちゃんと用意するのは、結構大変なこと。無理に手料理で野菜を摂ろうとせずに、手軽に手に入る野菜ジュースやスムージー、テイクアウトのサラダ、野菜チップスなどを上手に活用すれば、1日に必要な量の野菜を摂りやすくなるのかもしれません。

野菜への意識、コロナ禍でどう変わった?

続いては、昨年来続いているコロナ禍によって、日本人の野菜への意識がどう変わったのか、タキイ種苗が行った「2021年 野菜と家庭菜園に関する調査」の結果から見ていきましょう。タキイ種苗によると、今年の調査結果のハイライトは次の4点でした。

①好きな野菜、「トマト」が前回調査の4位から首位奪還! 12回目の1位に!

日本人の「好きな野菜」No.1は、「トマト」(75.0%)で、2020年に初めて「たまねぎ」に王座を譲ったトマトが、1年ぶり12回目の1位に。子どもが好きな野菜では、10年連続で「トマト」(56.5%)が1位でした。

②コロナ禍2年目に「家庭菜園を始めた」人が約3割。現在実施中の9割以上が継続意向あり

家庭菜園現在実施者のうち27.7%が「コロナ禍2年目以降に家庭菜園を始めた」と回答。家庭菜園実施者のうち94.6%が「今後も続けたい」と継続意向を示しました。

③家庭菜園経験者約8割が野菜作りの難しさを実感!一方、知識を増やしたい人も7割以上に!

家庭菜園経験者のうち、77.5%が「野菜を育てることは想像以上に大変だった」と回答。その一方で「家庭菜園について勉強したい・知識を増やしたいと思った」人も74.7%いることがわかりました。

④4割が「生産者の顔がわかる野菜を買いたい」、「生産者を助けたい」もコロナ禍で増加

コロナ禍2年目の現在、野菜購入の際の行動や意識の変化について、40.0%が「生産者の顔がわかる野菜を買いたい」と回答。また、食品ロス削減のために実践・意識していることでも、コロナ禍以降は「生産者を助けたい」と思っている人が「食材を無駄にしないようにしている」に次ぎ、2番目に多いことがわかりました。

コロナ禍でも安定して野菜が供給されていることへの感謝から生産者への関心が高まり、生産者を応援したいという気持ちが強くなっているようです。野菜作りを体験して、その大変さを実感したことが生産者への関心の高まりに繋がったケースもあるのかもしれません。

安心・安全な食品へのニーズが高まっていることから、野菜についても単に「安い」というだけでなく、生産者の顔が見える、トレーサビリティに優れたものを買いたいというニーズが、今後ますます高まってくるものと考えられます。