Glossier:進化し続けるビューティブランドのマーケティングから学ぶ3つのヒント

更新日 2019年02月28日

抜群の人気を誇るコラムサイトからオンラインショップ、さらに多くのユーザーで賑わうSNSや実店舗の展開に至るまで、Glossierは美容業界のリーディングカンパニーとして従来のマーケティングのあり方を変革し続けています。

Criteoが最近発表したレポート「ショッパーストーリー」では、世界中の買物客の4分の3以上は、オンライン・ツー・オフラインやオフライン・ツー・オンラインのショッピングを行っていることが明らかになっています。特に、ビューティブランドの消費者はオンラインとオフラインをシームレスに移動することに慣れており、そこでは必要に応じてラップトップやスマートフォンを使い分けながら、定期的に商品を検索、閲覧、購入しています。

こうした買物客の傾向を熟知するGlossierでは、場所を問わずに彼らと効果的につながりを持ち続けることで、大きな成果を生み出しているのです。

2014年秋のローンチからわずか3年という短期間で、Glossierは数多くの熱狂的なファンから支持される数百万ドル規模のビューティブランドへと急成長を遂げました。同社の商品にはHaloscope、Boy Browなど、約20種類のアイテムがラインナップされていますが、代表的な人気商品は完売続出で、ウェイティングリストには数千人の購入希望者が名を連ねています。

現在、熱狂的な人気を誇るこのブランドのInstagramは87万人のフォロワーを獲得しています。アイコニックなブランディング戦略が功を奏し、人々はこの独特のイメージカラーを見ただけでGlossierのことを思い出し、同社のハッシュタグ#glossierpinkを検索してサイトをチェックするのです。

では、Glossierはこれだけの急成長をいかにして実現することができたのでしょうか? どうやってこんなにも高い顧客ロイヤルティを獲得したのでしょうか? 本ブログではGlossierの独自アプローチに焦点を当て、同社が展開する最先端のマーケティング戦略から学ぶべきヒントを見ていくことにします。

SNSを利用して口コミを広げる。

このブランドの創設者であり、看板としての役割も担う32歳のエミリー・ワイス氏によると、爆発的に拡大した収益の90%は、主に18歳から35歳のブランドアドボケイト(支持者)による口コミにもたらされたといいます。

熱心な女性ファンたちは、Glossierの新商品発表、SNSへの投稿、イベントへの招待、またコラムサイトであるInto the GlossでのTop Shelfインタビューをフォローしており、これらのコンテンツをオンラインとオフラインの両方で自分のフォロワーや友人とシェアしています。

Glossierは、SNSを利用して読者をフォロワーにし、次にフォロワーをブランドのエバンジェリストに転換、さらにエバンジェリストをコミュニティに進化させるなど、あらゆるステージのオンラインユーザ体験を最適化することで、高い顧客ロイヤルティを醸成しています。

パーソナライズされたコンテンツで空いた穴を塞ぐ

今は、選択肢をたくさん与えられていることによって、逆に消費者がマーケティング戦略に鈍感になりがちな時代です。Glossierは、こんな時代だからこそ、すべてのチャネルとタッチポイントにまたがって消費者と強固なエンゲージメントを構築することが、ビューティブランドにとっていかに重要であるかを教えてくれます。

Glossierは消費者向けの動画コンテンツとして、FaceTimeのチュートリアルやFacebook Live動画(主にスタッフが出演)をニューヨークにある自社のオフィス内で撮影しています。また、YouTubeでは朝のメイクなどの身支度を視聴者に紹介する「Get Ready With Me」を公開しており、コメント欄に書かれている質問やフィードバックを見れば、多くの消費者がこれらの動画を気に入っていることがわかります。

ワイス氏はBuzzFeedで「すべてのチャネルのオーディエンスの意見にしっかりと耳を傾けたいと思っています」と話しています。

ブランドはデジタル化によって空いた「穴」を埋めるために、消費者とより深く、そして長期的な関係を構築する必要があります。そのためにはまず、スペシャルオファーをはじめ、商品動画の提供、買物客の購入履歴の把握など、すべてをより一層パーソナライズするところからスタートしなければなりません。

実店舗を利用して、オンラインの体験をリアルライフに持ち込む

ニューヨークのソーホー近くにあるGlossierのショールームでは、買物客は商品のサンプルを試したり、ショールームエディターと呼ばれるスタッフに質問したりすることができます。ピンクのタイルに快適な椅子、ほめ言葉が入った鏡など、Glossierは楽しく、面白く、きれいになったと感じられるオフラインのリアルな体験をオンラインと同様に提供しています。

Glossierのショールームでは、便利な化粧台の前でクリームやローション、ポーションなどを実際に試すことができます。

雑誌を読みながらくつろぐこともできます。

インスタ映えする写真を撮影して、

もちろん、気に入った商品を持ち帰ることもできます。

ビューティブランドのマーケティングの未来

数あるビューティブランドの中でも、Glossierが実践しているマーケティング戦略はまさに最先端だと言うことができます。自らを「実生活からインスパイアされたビューティブランド」と呼ぶように、あらゆるチャネルですべての消費者に向けて、彼らとの接点を重視したアプローチを展開しています。これこそが、Glossierがターゲットと商品をつなげる方法なのです。

オンラインとオフラインの体験を統合することでオムニチャネル化に対応しているのは、Glossierだけではありません。Amazonの実店舗ビジネスへの進出、Warby Parkerの眼鏡ショップ、オンラインストアを閉鎖したStarbucks、ニューヨークの5番街にオープンしたBonobosなどは、オフライン体験の重要性を示す好例だと言えます。現在のデジタルワールドでは、パーソナライゼーションを通じたデジタルと物理チャネルのブランド体験の融合に注力することによって、成功を収めている企業が他にもあります。

Criteoの「ショッパーストーリー」では、小売業者やブランドがオムニショッパーに対応するための効果的な方法をご紹介しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。