クッキーレス時代の代替IDをどう選ぶべきか

更新日 2024年02月21日

賛否がどうあれ、Chrome のサードパーティ・クッキーは 2024 年の終わりに廃止されます。 デジタル広告業界はここ数年、Apple Safari や Mozilla Firefox でのクッキー廃止に取り組み、肩慣らしをしてきましたが、本当の試練はこれからです。各社はその影響に備える必要があるでしょう。

Google による段階的なサードパーティ・クッキーの廃止は、この業界にとって地が揺らぐような大きな変化であり、デジタル広告の仕組みを根底から覆すものになるでしょう。これまで個人の識別やターゲティング、広告の効果測定、アトリビューション、パーソナライゼーションをクッキーに頼ってきた広告主やパブリッシャー、データプロバイダーは、この大きな変化に適応する必要があります。ありがたいことに、空いた穴を埋める複数のソリューションがすでにあり、市場で競い合っています。

現在利用可能なソリューションには代替 ID、Google プライバシーサンドボックス、コンテクスチュアル・ツール、ファーストパーティ・データなどがあります。

今回はそういったソリューションの筆頭、「代替 ID」について解説しましょう。

代替IDとは?

巷で最も普及しているソリューションであるサードパーティ代替 ID は、サードパーティ・クッキーの機能を模倣するように設計されており、クッキーのようなプライバシーの問題もありません。 ただし、プライバシーの問題を回避するため、代替 ID はユーザーの正確な識別のために他のデータアセットを必要とします。

既存の代替 ID は大別すると「決定論的手法にもとづく ID」と「確率的手法にもとづく ID」の2種類に分けることができます。

  • 決定論的手法にもとづく ID はメールアドレスなど、ユーザーの個人を特定可能な情報(PII)に依存します。 ユユーザーのメールアドレスはハッシュ化される(整数値が割り当てられる)ため、ID は匿名化され、ユーザーのプライバシーが保護されます。こういった ID の取得には依然としてユーザーの同意(通常ユーザーがログインプロセスで情報を提供し、設定を行う)が必要ですが、これはGDPRのもとで同意を取得する最近のサードパーティ・クッキーの使用許諾とそれほど変わりません。さらに、決定論的手法にもとづく ID では、パブリッシャーや広告主がファーストパーティ・オーディエンスから認証済みの登録を獲得することが必要になり、規模に問題が生じます。消費者がオンライン環境での大半の時間をログインせずに過ごすことを考慮すれば、これは大きな障害と言えます。
  • 確率的手法にもとづく ID は収集されるファーストパーティ・データに頼ることなくユーザーの ID を大まかに掴むことを目指しています。確率的手法では、複数のチャネルで幅広いシグナルを使用し、最も有力なユーザー像を予想して ID を提供します。こういったデータポイントには、IP アドレスやデバイスタイプ、スクリーンの解像度、オペレーティング・システムなどが含まれます。確率的手法にもとづく ID は大規模に展開できますが、データの不整合やさまざまなデバイスにわたってユーザーを結びつけることが難しいなどの問題があります。 また、これらのソリューションの中には、デバイスの属性を組み合わせて一意の識別子を作成するフィンガープリンティングに依存しているものがあります。フィンガープリントを使用すると、ユーザーが望まない場合でもユーザーを追跡してしまうことから重大なプライバシー侵害となり、Google や Apple、Mozilla との相性がよくありません。

主要な代替 ID ソリューション

現在、市場で普及している主な ID を詳しく見てみましょう。

決定論的手法にもとづく ID

Unified ID (UID) 2.0
今、最も話題に上るソリューションといえば、おそらく Unified ID (UID) 2.0 でしょう。元々は The Trade Desk 社がけん引したイニシアチブですが、後に Prebid 社に引き継がれました。 UID2 は ID を作成する前に、メールアドレスを通してユーザーの同意を求めます。
ユーザーのメールアドレスはハッシュ化により英数字に変換されます。このデータは DSP やデータプロバイダー、広告主により保管されますが、入札プロセスで使用されることはありません。
ユーザーのプライバシーを保護するため、こういった ID は、入札プロセスで使用されるたびに暗号化され、異なる値が割り当てられる上に、 その「トークン」はパブリッシャー、SSP、シングルサインオンのプロバイダーに保管されます。
このソリューションはアメリカとカナダで試験運用されていますが、ヨーロッパのGDPRを満たすかどうかは疑問視されています。

RampID
RampID (旧 IdentityLink)は LiveRamp 社が提供するサードパーティ・クッキーの代替品であり、オフライン PII やオンラインデバイスを「人」ベースの ID と決定論的手法にもとづいてマッチングします。
ユーザー ID はサードパーティが提供する行動データ、ファーストパーティ・データ、オフラインデータを組み合わせて作成され、デバイス間で同一の匿名 ID である「RampID」が各個人に割り当てられます。
RampID ソリューションは Advertising ID Consortium(アドテック企業から成る独立機関)においても、デジタル広告エコシステムにオープン ID ソリューションを提供するという重要な役割を担っています。

SharedID
Prebid 社は UID2 のオペレーションに加え、SharedID も提供しています。 このソリューションは、パブリッシャーがユニークなユーザーを識別し、それらのユーザーに関心属性を付加するために使用できるユニークなファーストパーティ識別子を生成します。 このようなデータはファーストパーティ・ブラウザまたはブラウザのローカルストレージに保管されます。
暗号化された ID を受け取った広告主は、それを使用して、その ID を含む特定のサイトでのユーザーの閲覧情報を取得できます。

確率的手法にもとづく ID

ID5
パブリッシャー向けの API として使用できる ID5 ソリューションは、確率的手法にもとづく ID で、暗号化された ID をパブリッシャーのファーストパーティ・クッキー上に保管します。こういった ID はその後メディアオーナーによってアドテックパートナーと共有され、ターゲティングや測定目的で広告主に使用されます。
また、IDは同社のユーザー間での知名度や測定機能を提供する IdentityCloud にバックアップさます。IdentityCloud にはパートナー ID 同士を結び付ける「Partner Graph(パートナーグラフ)」があり、プラットフォーム上での情報交換を可能にします。また、ユーザー ID 同士を結び付ける「Device Graph(デバイスグラフ)」もあり、パブリッシャーと企業がデバイスを問わず、「人」ベースの戦略を立ち上げることができます。

Panorama ID
Lotame 社が提供する Panorama ID は「人ベースで、プライバシー規制を遵守する、オープンウェブ向けの ID ソリューション」です。 デバイス ID や関連する個人の行動、プライバシーに関する選択を単一のビューで結び付け、デジタル広告に関わる全員がアクセスできるようにします。ID は Web やモバイル、CTV からのデータとお客様固有の ID を使用して構築されます。

ハイブリッドなソリューション

LiveIntent NonID および Authenticated Bridge
LiveIntent Identity Graph は機械学習とリアルタイムのシグナルを組み合わせ、確率的手法にもとづくデータと決定論的手法にもとづくデータの両方を使用して ID グラフを作成します。メールによるオーガニックなつながりを通して都度構築・認証される ID グラフは LiveIntent 社の nonID データ処理サービスを使用し、アクティブで暗号化されたメールアドレス経由で ID の空白を埋めます。
また、LiveIntent 社は Authenticated Bridge ソリューションも提供しています。このソリューションでは、メールに「LiveTags」を配置することでプログラマティックなエコシステムにおける ID の「空白を埋め」、アクションの登録やハッシュ化された認証済みメールアドレスの作成を行います。

Audigent Hadron ID
Audigent 社が提供する  Hadron ID も決定論的手法にもとづくデータと確率的手法にもとづくデータの両方を使用しており、両者を組み合わせてリアルタイムのオーディエンス ID とヘッダービディングの変革を目指します。パブリッシャーの入札リクエストに送信されるデータにはファーストパーティ・データ、コンテクスチュアル・データ、サイトレベルのデータなどが含まれます。
Hadron はユーザーデータやサイトレベルのデータが第三者と共有されたり、保管されたりしないことを約束することで、プライバシー規制への準拠を保証します。

結局、どの ID ソリューションが最適なのか?

正直なところ、万能なソリューションなどありません。これからも生まれないでしょう。

これまでと同様にオーディエンスに効果的にリーチするためには、Google プライバシーサンドボックスやコンテクスチュアル・ツール、ファーストパーティ・データに加え、複数の ID ソリューションを組み合わせなければならない可能性が高いです。さまざまな ID ソリューションをテストし、貴社に最適なものを示してくれるパートナーを探すことが非常に重要です。ある企業で上手く機能しているソリューションの組み合わせが貴社にも適しているとは限りません。

また、サードパーティが提供する代替 ID の使用に併せてファーストパーティ・データやコンテクスチュアル・ソリューションを使用することを検討しましょう。クッキー廃止後の世界では、どちらも大きな役割を担うはずです。

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ロブ・テイラー

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