オンラインショッピングのあり方は、ここ数十年で大きく変わりました。
検索、スクロール、クリック、比較、そして購入。これまで、その一連の作業の多くを消費者自身が担ってきました。
商品を検索し、並べ替えやフィルタリングで候補を絞り込み、複数の商品を比較する。従来の買い物では、消費者がこのプロセスを一つひとつ進めていたのです。
オーガニック検索では、検索内容との関連性や商品の実績などをもとに表示順位が決まり、ブランドは検索結果で自社商品を目立たせ、選ばれるための工夫を重ねてきました。一方、スポンサー枠では、より高い入札額を提示したブランドほど上位に表示されます。
検索や比較を通じて商品を選ぶ方法は、これからもなくならないでしょう。その一方で、AI時代には、従来の方法と並行して、新たな商品発見の方法も広がり始めています。
コマースにおける「情報格差」とは?
消費者は、商品探しや比較にかかる時間を AI アシスタントに任せ始めています。
例えば、「15,000円で買えるランニングシューズの中で、最も性能が高いものは?」と AI に尋ねると、商品を評価し、候補を絞り込んでくれます。検索結果を一つひとつ見たり、ページを何度もスクロールしたりする必要はありません。 AI が選んだ商品リストが、そのまま表示されます。
ただし、ここには見過ごせない課題があります。消費者に見えるのは、 AI が選定した「結果」だけです。なぜその商品が選ばれたのか、どのデータをもとに判断したのかまでは分かりません。
AI アシスタントが容易に参照できる情報と、正確で関連性の高い商品提案に欠かせないリアルタイムデータとの隔たりが、コマースにおける「情報格差」です。
課題は、必要なデータが存在しないことではありません。リテーラーやブランドが保有するデータに、AI が十分にアクセスできていないことなのです。
AI エージェントがアクセスできる情報の限界
LLM* は膨大な情報をもとに回答を生成します。しかし、商品選びに必要なすべての情報にアクセスできるわけではありません。
現在の LLM は、商品タイトルや説明、仕様、レビュー、画像など、商品の表面的な情報を読み取ることを得意としています。これらの情報をもとに、日々レコメンドを作成しています。しかし、どの商品をすすめるべきか、なぜその商品なのかを判断するには、より深いコマースシグナルが必要です。リテーラーやコマース・プラットフォームから情報が提供されない限り、AI がこれらのコマースシグナルに継続的にアクセスすることは困難です。
ブランドにとって、これは大きな課題です。AI による商品レコメンドの精度は、AI が参照できるデータに大きく左右されるからです。
十分なコマースシグナルがなければ、AI は「人気」や「レビュー」など、取得しやすい情報を中心に商品を判断することになります。その結果、消費者のニーズに合わない商品が提案されたり、本来候補となるべき商品が選ばれなかったりする可能性があります。
課題が残る一方で、AI を活用したショッピングは急速に広がっています。ブランドが AI 時代のコマースに備える必要性は、次の 2 つのデータからも見えてきます。
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LLM 経由で訪れた人のコンバージョン率は、他の流入チャネル経由と比べて約1.5倍。
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AI 経由でリテールサイトを訪れた人のうち、商品詳細ページに直接アクセスした割合は、1年前の 50% から 70% に上昇。[関連動画はこちらから(英語)]
*LLM(大規模言語モデル)とは、 ChatGPT などの生成 AI サービスの基盤となる技術です。
AI の判断を支えるコマースデータ
従来の EC では、検索結果ページがデジタルシェルフの役割を果たしていました。関連性や在庫状況、有料掲載、消費者の行動シグナルなどをもとに、何百もの商品が順位付けされます。
しかし、 AI による商品発見は、これまでとは仕組みが異なります。
検索結果ページでの最適化や入札だけでは、 AI による商品発見に十分対応できません。商品が候補に入るかどうかは、 AI が適切なコマースデータにアクセスできるかにかかっています。
必要なのは、構造化された商品情報や充実した商品属性だけではありません。最新の在庫状況と価格、購入実績などの取引データ、そしてリアルタイムで検証できる情報も欠かせません。
こうしたコマースデータを整備し、相互につなげておくことが、 AI による商品発見の場で存在感を高めるための土台になります。 AI が商品を評価するためのデータを確認できなければ、商品が候補に選ばれなかったり、古い情報や誤った詳細とともに表示されたりする可能性があります。クリックした先で在庫切れが分かったり、価格が変わっていたりすれば、ブランドにとって販売機会の損失につながります。

AI エージェントから見えるデータと見えないデータ
AI は、商品説明やブランド名、色、レビュー、公開されている商品属性など、商品の基本情報を読み取れます。しかし、消費者が知りたいのは、それだけではありません。
自分に合った商品を納得できる価格で購入するには、次のようなリアルタイムのコマースシグナルが必要です。
- 近隣の店舗に、今この瞬間、在庫があるか?
- フラッシュセールなどで、価格が変動していないか?
- どの程度人気があり、類似商品より売れているか?
- どの商品と一緒に購入されることが多いか?
- オフサイトでの検索やレビュー閲覧などの行動が、どの程度の購入意向を示しているか?
- 購入後に返品されることが多い商品か、それとも購入後も手元に残る商品か?
しかし、LLMは通常、在庫や価格、購買シグナルといったコマース情報に直接アクセスできません。
そのため、これらの情報が不足していると、どの商品を候補に挙げるべきか、どの代替商品を提案すべきか、あるいはどの商品を組み合わせるべきかを十分に判断できず、消費者が購入に近い段階にいるかどうかも把握できません。結果として、 AI によるレコメンドは、すでに整備されたコマースデータ基盤に支えられてきた従来のレコメンドと比べ、表面的で精度の低い、実用性に乏しい提案になりかねません。
Criteo が蓄積してきたコマースデータ
Criteo は20年にわたり、世界最大級のオープンなコマースデータ基盤を構築し、進化させてきました。その過程で、 AI アシスタントだけでは安定して取得できない、さまざまなコマースシグナルを蓄積しています。
「コマースデータとは?その定義・重要性・活用のポイントを解説」でも詳しく説明しているように、エージェンティック AI が広がる世界では、正確で豊富なデータが欠かせません。 AI が購買体験に取り入れられる中、 Criteo は LLM の機能とコマース・インテリジェンス・エンジンを組み合わせて検証しました。その結果、実際の購買行動から得られるシグナルを加えることで、AI による商品レコメンドの関連性が最大60%向上しました。
Criteo が活用するコマースデータは、LLM のためだけに新たに構築されたものではありません。長年にわたりプラットフォーム全体で活用してきたデータ基盤であり、年間 400 億ドルの売上を支えています。
Criteo は、ネットワーク上の50億点の商品について、商品分類、商品説明、公開属性といった基本情報に加え、次のような情報を組み合わせています。
- 1日あたり38,000件のフィード更新
- 実際の取引結果
- ショッパーグラフから得られるインサイト
- 商品の人気度や人気の変化
- 返品の傾向
- パブリッシャー上でのレビュー閲覧や商品調査など、購入意向を示す行動データ
これらは、LLM だけでは簡単に取得できない、商品の実態や消費者の購買行動を捉えるコマースシグナルです。こうした幅広いデータを活用することで、AI は消費者のニーズに合った商品をより的確に提案できるようになります。
Criteo は、年間 400 億ドルの売上を支えるコマース・インテリジェンスを LLM と連携させることで、AI を活用した商品発見や購入を支えています。
AI エージェントが変える購買行動と、企業に求められる次の一手
エージェンティック AI に備えるために、エンジニアを新たに採用したり、主要な LLM すべてに複雑な API を実装したりする必要はありません。
まずは、自社のコマースデータがどのような構造になっているのか、どの程度整備されているのかに目を向けることが大切です。そのうえで、消費者の商品発見に使われる AI プラットフォームとの連携基盤をすでに持つパートナーと連携することが重要です。
これが、 AI 時代に向けた現実的な一歩になります。
Criteoは、 AI を活用したコマースに対応するための複数のソリューションを提供しています。エージェンティック・レコメンデーション・サービス、ダイナミック・クリエイティブ・オプティマイゼーション(DCO)ソリューションをはじめ、 OpenAI とのパートナーシップを通じた ChatGPT 広告への取り組み、 AI を活用したコマースへの備えを支援するリテーラーとのパートナーシップなどです。
これらの取り組みを通じて、消費者が商品を探し、購入する場で、適切な商品情報が正確に届けられるよう支援します。
AI を活用したコマースで成果を上げるために、すべての LLM と個別に連携する必要はありません。すでに LLM との連携を実現しているパートナーを通じて、自社のコマースデータを AI に届けることが、これからの商品発見においてブランドの存在感を高める鍵となります。
Criteo のコマースデータ× AI を広告運用にどう活かせるのか、より詳しく知りたい方は、こちらのウェビナー動画をご覧ください。





