マーケティング戦略の会議では、「もっとデータドリブンになる必要がある」という言葉をよく耳にします。
データを活用して、より精度の高い意思決定につなげることは、もちろん重要です。ただし、「コマースデータ」と呼ばれるものの多くは、実際には取引の記録にとどまっています。何が、いつ、どこで購入されたのかを示すデータです。そして多くの企業では、分析もそこで終わってしまいます。
しかし、購入はショッピング・ジャーニーの最終地点にすぎません。ある人がノートパソコンを購入したことが分かっても、その人が次に何を買う可能性があるのか、他にどの商品を検討しているのか、あるいは今どのような購買意向を持っているのかまでは見えてきません。
本当に知りたいのは、購入という結果に至るまでに何が起きていたのかです。
例えば、ブランドや商品との最初の接点、商品の閲覧や比較検討、見たものの購入には至らなかった商品、そして購買意向が徐々に形成されていく過程を示すカテゴリーのシグナル。こうした情報には、取引データだけでは捉えられない重要な手がかりがあります。
これが「上流データ」です。購入意向が一つの取引という結果に集約される前、その変化を捉えるシグナルを指します。
取引データだけを学習したモデルは、主に「これまで何が起きたか」を説明するものになります。一方、ショッピング・ジャーニー全体のシグナルを学習したモデルなら、「これから何が起きる可能性があるか」を予測するための情報を得ることができます。
こうした上流のシグナルまで捉えられるオーディエンス・プロバイダーは、決して多くありません。
「コマースデータ」が本当に意味するもの
コマースデータを定義するには、まずその構成要素であるコマースシグナルを定義する必要があります。
検索、商品ページの閲覧、比較行動、カートへの商品の追加や削除、最終的な購入など、これらはすべてコマースシグナルと見なされます。
個々のデータポイントもそれぞれ有用ですが、単独では不完全な情報にすぎません。しかし、複数のシグナルを集めて整理し、AI で関連付けることで、リアルタイムの購買意図を示す、より確かな全体像が見えてきます。
購買意図を読み解くには、次の2つの側面が重要です。
1. 商品理解:商品とは何か、その需要が時間の経過とともにどのように増減するのか、そして消費者がある商品から別の商品へとどのように移っていくのかを理解することです。そこから、商品データだけでは決して明らかにできないつながりが見えてきます。
2. 消費者理解:消費者が商品をどのように発見し、関心を持つのか、行動パターンが時間とともにどのように変化するのか、そしてそれらのシグナルから次にどのような行動を取る可能性があるのかを理解することです。
コマースデータの真の価値は、この2つの側面を構造化された一貫性のある形で結び付けることで生まれます。
コマースデータからコマース・インテリジェンスへ
データは、 AI による分析で整理され、一見しただけでは分からないパターンが浮かび上がることで、インテリジェンスへと変わります。
Criteo は、商品に関する知識と消費者の行動シグナルを大規模に結びつけています。対象となるのは、購入前に起きる発見、比較、検討などの行動です。商品同士がどのように関連しているのか、関心がカテゴリー間でどのように移っていくのか、そして取引の前に購買意図がどのように形成されるのかを理解することで、個々のデータを、予測に役立つインサイトへと変えていきます。
この予測力があるからこそ、コマースデータは、広範なオーディエンス・データだけでは答えにくい問いにも対応できます。
広範なオーディエンス・データが示すのは、「この消費者は最後に何を購入したのか」という情報です。コマース・インテリジェンスは、さらにその先にある問いへと踏み込みます。
- まだ検索していないものの、必要とする可能性がある商品は何か
- 次に購入する可能性が高い商品は何か
- カートに残した商品は何か
1人の消費者のショッピング・ジャーニーを何千もの類似したジャーニーと比較できれば、こうした問いへの答えは大きな価値を持ちます。その価値は、コマース・エコシステムのどこに位置する企業にとっても重要です。
パブリッシャーにとっては、実際のビジネス価値につながるオーディエンス・セグメントの構築に役立ちます。ブランドや代理店にとっては、無駄な広告費の削減、パーソナライゼーションの向上、より精度の高い広告配信を意味します。さらに、入札効率、利益率、ビジネス成果を踏まえ、特定のシグナルに基づいてメディア投資を行うことが合理的かどうかも判断できます。
ここで重要になるのが、「目的に合ったツールを使う」という考え方です。
汎用 AI モデルが言語、推論、幅広い知識を扱うタスクに優れていることは間違いありません。しかし、 SKU レベルの取引データや商品と消費者の関係性、どの広告枠にいくらで入札する価値があるかを判断するための情報をもともと備えているわけではありません。
Criteo の AI モデルは、このようなことを前提に構築されており、毎日数十億件にのぼるインタラクションの中で、消費者1人あたり120を超える意図シグナルから学習しています。これは、そのシステムが「何」を目的に設計されているかという点で根本的な違いであり、クライアントにとって実質的な成果の違いを生み出すものです。
Criteo のコマースデータが選ばれる理由
データの規模は重要です。ただし、それだけが Criteo のコマースデータの強みではありません。
Criteo は、17,000を超える広告主にわたって、7億4,000万人のデイリー・アクティブ・ユーザーによるコマース活動を捉えています。また、年間1兆ドルを超えるオンライン取引を観測しています。
この規模は、データの統計的な信頼性を確保するうえで重要です。ただし、より大切なのは、一つひとつのインタラクションから何を読み取れるかです。
Criteo は、ブランド、リテーラー、コマース企業、マーケットプレイス、パブリッシャーなど、さまざまなプレーヤーと連携しています。
自社のエコシステム内で豊富なデータを持つ企業は他にもいます。しかし、単一のプラットフォームやリテーラー、チャネルで起きていることしか捉えられない場合、得られる視野には限界があります。
Criteo のネットワークは、数千ものブランド、リテーラー、パブリッシャーにまたがっています。そのため、商品同士の関係、カテゴリー間で関心が移る様子、コマースが生まれるさまざまな場での行動を捉えられます。このようなパターンを、単一のエコシステム内だけで再現するのは容易ではありません。
Criteo のコマースデータを特徴づける主なポイントは、次の4つです。
- 直接的な連携:
Criteo のデータは、ブランド、マーチャント、リテーラー、パブリッシャーとの直接連携によって得られています。モデル化や推測によるシグナルではありません。消費者が Criteo のネットワーク内で商品に関心を示したとき、商品の閲覧、比較、カートへの追加、購入といった行動を把握できます。 - 構造を備えた規模:
Criteo のネットワークでは、ブランドやマーチャントに紐づいた45億点の具体的な SKU をマッピングしています。さらに、閲覧やカートでの行動から取引完了まで、実際の消費者による120以上のインタラクション・シグナルを捉えています。これらを組み合わせることで、常に変化するコマースの全体像を捉えられます。 - SKUレベルの粒度:
Criteo は、カテゴリーに基づく推測ではなく、消費者行動を特定の商品に直接結び付けます。この粒度があるからこそ、パーソナライゼーションを一般的なものにとどめず、実際に役立つ内容へと高められます。 - 正規化された商品知識:
ユニバーサルカタログでは、リテーラーやカテゴリーを横断して商品データを一貫した構造に整理しています。各商品には、価格、在庫、フルフィルメントなど、250を超える属性が付与されています。このレベルの商品理解があることで、曖昧で孤立したシグナルを、意味のあるつながりを持ったデータポイントへと変換できます。そこから、ビジネスに役立つ判断を導き出せるようになります。
プライバシーは後付けではなく、設計に組み込まれている
Criteo にとって、プライバシーは単なるチェック項目ではありません。あらゆる取り組みの指針となる原則です。
Criteo が構築するすべてのサービスは、プライバシー・バイ・デザインの考え方に基づいています。プライバシーへの配慮を後から追加するのではなく、製品の設計そのものに組み込んでいます。
この姿勢は組織体制にも表れています。Criteo は、規制当局によって義務付けられる以前から、専任のプライバシー部門とグループデータ保護責任者を置いてきました。
Criteo が扱うデータは、個人を特定できる情報ではなく、仮名化識別子に基づいています。また、必要なデータのみを扱う「データ最小化」を基本原則としており、ユーザーデータの保持期間は最長 13 か月です。
さらに、Criteo は IAB Europe の Transparency and Consent Framework、DAA、EDAA など、主要な業界の透明性フレームワークに参加しています。また、Criteo のサービスは、データ保護の観点から EDAA の独立認証を受けています。
*IAB Europe の Transparency and Consent Framework(TCF)は、GDPR や ePrivacy Directive に対応した、オンライン広告における利用者の同意を取得・管理するための業界フレームワークです。詳細はこちらのページよりご確認いただけます。
Criteo のコマース・インテリジェンスは、その基盤となるデータを適切に収集することから始まります。
Criteo のコマースデータ×AI を広告運用にどう活かせるのか、より詳しく知りたい方は、こちらのウェビナー動画をご覧ください。





