旅行に行きたい気持ちは変わらない。けれども、どこに行くか、いつ予約するか、どの旅行会社を選ぶか——旅行者の判断は、これまで以上に慎重になっています。
旅行需要が回復する一方で、予約までの道のりは変化しています。複数の選択肢を効率よく比較し、予算に合わせて「早め・近場・短期」へと旅行プランを調整する動きも見られます。さらに、旅先のアイデアや計画を考える場面では、 AI という新たな選択肢も加わりつつあります。
では、こうした旅行者の「行きたい」を「予約」に変えるには、何が重要なのでしょうか?
Criteo の旅行トレンドレポート 2026年7月版では、数百の旅行プロバイダーのデータと日本を含む6カ国・計6,000人以上を対象とした調査から最新の旅行行動を分析しました。
今回はそのデータから見えてきた、今押さえておきたい日本の旅行者の予約行動に関する5つのインサイトをご紹介します。
インサイト1:旅行需要は回復する一方、予約判断はより慎重に

旅行への関心は戻りつつあります。2026年第1四半期(1〜3月)の日本市場では、旅行需要の回復に伴い、旅行サイトを訪れる人が増えました。特にホテル・リゾートでは、流入が伸びた一方、予約数の増加はわずかにとどまり、売上は減少しました。
コンバージョン率と平均客単価(AOV)も低下しており、高まる旅行需要をいかに予約へ結びつけるかが課題として浮かび上がっています。
インサイト2:旅先探しは効率よく

旅行者がいくつもの選択肢を見比べているからといって、情報収集に長い時間をかけているとは限りません。
Criteo の調査で、「発見や閲覧のプロセスを意図的に長引かせて楽しむカテゴリー」を尋ねたところ、日本で「旅行/体験」を挙げた人は36%でした。グローバル6カ国平均の42%を下回り、日本では「旅行/体験」よりも「ファッション」の方が情報探索そのものを長く楽しむ人の割合が高い結果となっています。旅行については、候補を比較しながらも、できるだけ効率よく判断したいと考える人が多いようです。
予約までの期間にも、旅行者ごとの違いが表れています。世界の航空・ホテル・リゾート事業者のデータでは、最初に商品詳細ページを閲覧してから予約するまでの平均期間は、航空券で13.9日、ホテルで18.8日でした。
ただし、これはあくまで平均値です。数分で予約する人もいれば、1カ月以上かけて検討する人もいることが分かりました。
つまり、旅行者によって予約までの期間や進み方は大きく異なります。
価格・立地・レビュー・キャンセル条件などの要点を分かりやすく伝える必要があります。検討の段階に合わせて情報量やメッセージを調整することが予約への後押しになります。
インサイト3:AI が旅のインスピレーション源

日本の旅行者にとって、 AI は現時点では旅行の予約・手配そのものよりも、行き先探しや旅程づくりを支えるツールとして期待されています。 AI を搭載したチャットアプリやウェブサイトが役立つと思う場面として、「目的地のアイデア」が48%、「旅行全体の計画」が45%、「食事」が39%、「宿泊施設の提案」が38%となりました。
AI は、旅行者がまだ具体的な予約先を決めていない段階で、旅の方向性を考えるきっかけになりつつあります。旅行ブランドにとっては、予約直前の需要だけを捉えるのではなく、行き先や過ごし方を探している初期段階から役立つ情報や魅力的な選択肢を届けることが求められます。
ただし、 AI は現時点では旅行者との接点の一つであり、すべての意思決定や予約を置き換えるものとは限りません。オープンウェブ、ソーシャル、 CTV など複数のチャネルを組み合わせ、検討段階に応じたメッセージを届けることで、旅のアイデアが具体的な候補や予約へ移っていく過程を支えられます。
インサイト4:旅行会社選びの決め手は「安心材料」

この旅行会社なら安心して任せられる?もし予定が変わったら?
旅行を予約するとき、価格やプランだけでなく、こうした不安も気になるものです。実際、日本の旅行者が旅行会社を比較・検討する際に最も重視したのは「良いレビュー」で65%、次いで「キャンセル無料」が46%でした。
利用者の評価を確認できることや、予定が変わっても柔軟に対応できることは、旅行者にとって大切な判断材料になります。
ここなら安心して予約できそう——そんな安心材料が揃うことが旅行者の予約を促していることが考えられます。
旅行会社や旅行サービスを提供する企業にとっては、レビューの評価や利用者の声、キャンセル・返金条件を旅行者が比較している段階で分かりやすく示すことが大切です。予約前に知りたい情報へすぐにアクセスできるようにしておくことで、迷っている旅行者も安心して予約に進めるようになります。
インサイト5:旅行は「早め・近場・短期」で賢く調整

旅行費用が上がっても、多くの旅行者は旅を諦めるのではなく、さまざまな工夫を凝らして費用を調整しています。
日本の旅行者は、予約のタイミングや行き先、滞在日数を見直しながら、自分に合う方法で費用を調整しています。最も多かったのは「早めに予約する」で41%。続いて、「費用を抑えられる目的地を選ぶ」が35%、「近場を旅行する」が33%、「安価な宿泊施設を選ぶ」が33%、「旅行期間を短くする」が30%となりました。
日本の旅行者ならではの特徴も見えてきます。「ピークシーズンを外す」と回答した割合は、グローバル平均が40%なのに対して日本では28%にとどまりました。一方、日本では「早めに予約する」で41%、「近場を旅行する」が33%、「旅行期間を短くする」が30%など、予約のタイミングや行き先、滞在期間を見直しながら予算とのバランスを取っていることが分かります。
こうした傾向を踏まえると、旅行会社や旅行サービスを提供する企業には、近距離・短期滞在向けの商品設計が有効です。食事やアクティビティ、地域体験などを組み合わせ、限られた予算でも旅を楽しめる選択肢を用意することで、旅行者のニーズに応えやすくなります。
旅行者の「行きたい」を予約につなげるために
今回のデータから見えてきたのは、旅行への意欲が戻る一方で、旅行者が予約に至るまでのプロセスが変化していることです。
特に日本では、情報探索そのものを長く楽しむよりも、必要な情報を効率よく比較したいと考える旅行者が多いようです。
だからこそ、旅行者が比較・検討するタイミングを捉え、その瞬間のニーズに合った明確なメッセージを届けることが重要になってきます。
「旅行トレンドレポート 2026年7月版」では、今回ご紹介したインサイトに加え、世代別の旅行体験の好みや家族旅行者の特徴、旅行需要を捉えるための具体的なアクションなども紹介しています。
変化する旅行者を理解し、次のマーケティング施策につなげるヒントをぜひフルレポートでご覧ください。




