今年の夏休み、コト消費は復活する?

更新日 2023年10月31日

2022年の春以降、コロナによる行動規制が次々と解除され、旅行やレジャー、外食を再開する人が増えてきました。スポーツ大会やライブ、エンタメ系のイベントも人数制限することなくフルキャパシティで開催されるようになっています。Criteoのデータでも、2022年5月のイベントチケットの取引は前年同時期比+26%も伸びています。

最新データは随時更新されています。こちらからご確認ください。

高まるコト消費回帰への期待

行動の変化は、消費の変化に直結します。家で過ごす時間が増えた一昨年、昨年は、「巣ごもり消費」が注目を集めました。外食や旅行に行けない代わりに、自宅でちょっと豪華なお取り寄せグルメを楽しんだり、快適に過ごすために家具を買い替えたり、リモートワークのためにIT機器を買い足したり・・・と、巣ごもり消費は商品の購入を伴う「モノ消費」が主流でした。

ご存じのとおり、モノ消費は消費者がお金を使う際に、対価として得た商品の「所有」に価値を見出す消費のこと。対してコト消費はアクティビティやイベントへの参加、リゾートへの滞在など、モノの所有では得られない体験や経験に価値を見出す消費傾向のこと。2年ぶりの外出制限のない夏休みとあって、今年はコト消費関連の期待は大きく、6月に入ってから旅行会社では積極的なプロモーションを展開しています。また、小売り大手のイオンでは、花火大会や夏祭りといった夏の風物詩の関連商品の品ぞろえを強化。浴衣の売り場面積を昨年の1.5倍に広げ、販売目標(点数)を昨年の2.2倍とする旨が報じられました。

泊りの旅行や帰省は、まだ慎重派が多数

しかし、完全にコロナ前と同じ夏がやってくるかというと、決してそうではないようです。まだ感染が収束したわけではなく、6月23日には都内の新規陽性者数が5週間ぶりに増加に転じたことから、「感染の第7波が来るのでは?」との懸念の声も上がっています。こうした状況を受け、夏休みの旅行や帰省については今年も見送る予定・・・という人が少なくないようです。

産経新聞社が今年4月~5月に行った調査で、お盆休みの過ごし方について聞いたところ、「普段通りに過ごす」が最も多く52.8%、「宿泊を伴う旅行に行く」は13.8%、「実家に帰省する」は8.8%にとどまりました。

出典:産経新聞社プレスリリース

また、同調査で「旅行計画に影響すること」について聞いたところ、(複数回答)、「新型コロナウイルス感染状況」(59.4%)、「観光地の混雑状況」(57.8%)を上げる人が多く、国や自治体による行動制限が緩和されても、感染への懸念が引き続き高いことが裏付けられました。夏休みの旅行も感染状況次第では取りやめる、混雑する場所には行きたくない、という人が多いようです。

産経新聞社では「1年前の同様の調査では、緊急事態宣言などの行動制限中であったため、早く旅行に出かけたいという傾向が顕著に出ていた。今春から国や自治体の行動制限は緩和されたが、旅行に行こうという機運は高まっていない。インターネットを通して自宅で食事や通販、エンタメを楽しんだりするなど、コロナ禍における新しい生活スタイルが定着したのが要因かと思われる」と分析しています。

出典:産経新聞社プレスリリース

目に見える形での外出制限はなくなったものの、コロナ禍による心理的なブレーキが根強く残る日本。コト消費への回帰は少しずつ進んではいるものの、今年も、一部の予測では、コロナ前と同じような夏休み・・・とはいかないのが実情のようです。

マクロな視点で市場を分析した各調査に対し、冒頭でご紹介した Criteo のデータではコロナからの復調トレンドも見えています。短期的な予測と、中長期的な予測、マクロとミクロの視点を使い分け、柔軟に対応することが求められていると言えるかもしれません。