在宅勤務の消費者トレンド – 在宅環境でのショッピングと、アフターコロナの消費の兆し

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの発生から2年超、在宅ワークは私たちの生活にすっかり定着しています。在宅勤務の定着は、働く場所だけでなく、消費傾向にも大きな影響を及ぼしつつあるようです。

Criteoでは、在宅ワーカーとオフィスワーカーとの違いを理解するために、世界各地の4万9,600人を対象にアンケート調査を実施しました。その回答データを集計したところ、回答者の約5分の1は2021年4月から12月の期間において「基本的に在宅勤務が主体だった」と回答しています。1 この調査結果と、Criteoが1万7,000人を超える世界の消費者を対象に実施した複数の調査分析レポート「ショッパーストーリー」、および2万2,000人の広告主クライアントから収集したコマースデータを組み合わせた結果、2022年現在における在宅ワーカー特有の消費傾向が明らかになりました。ここでは、新たに出現した「在宅ワーカー」という強力なオーディエンスについて、知っておくべきポイントをご紹介します。

世界の労働人口の5分の1以上は在宅勤務が主体

Criteoが実施した調査によると、2021年の第4四半期における在宅ワーカーの割合は、世界全体の労働人口の約5分の1(19%)に達していることが明らかになりました。米国では22%が自らを在宅ワーカーと認識しており、さらに英国では回答者の4分の1以上(26%)が在宅勤務が主体だと回答しています。最新の調査はオミクロン変異株がニュースで取り上げられるようになった12月2日から9日の間に行われたものの、世界の在宅ワーカーの割合に大幅な増加は確認されませんでした。

世界の在宅ワーカーに特有の人口統計プロフィール

調査の結果、在宅ワーカーの平均年齢はオフィスワーカーよりもやや若いことが確認できました(平均して1.2歳若い)。ミレニアル世代が在宅ワーカー全体の38%を占め(それ以外の世代では35%)、世界全体では25歳~38歳が在宅勤務人口の大きな割合を占めています。

米国の場合、在宅ワーカーの年齢はオフィスワーカーよりも2.3歳若く、ミレニアル世代が全体の43%を占めています(ミレニアル世代のオフィスワーカーは34%)。また英国では、ミレニアル世代が在宅ワーカーの38%を占めています。

グローバル全体の調査結果によると、働く女性の19%は在宅勤務で、このうち51%は子育て中の世代です(これ対して、オフィス勤務グループの子育て世代は46%)。  米国・英国ともに、男性の方が女性よりも在宅勤務を好む傾向があり、男性の在宅勤務の割合は全体の4分の1を上回っています(米国26%、英国28%)。これに対して、女性の在宅勤務の割合は約5分の1(米国21%、英国23%)となっています。そして、グローバル全体の傾向と同様、米国の在宅ワーカーにも子育て世代が多い傾向が見られます(61%対46%)。

在宅ワーカーの年齢がオフィスワーカーよりもやや若く、男性が占める割合が高いこと、また子育て中の可能性が高いことを知っていれば、マーケターはこのオーディエンスの属性を踏まえた上で、ターゲティングとメッセージングの両方を最適化できるはずです。

在宅ワーカーは購買力が高く、趣味や嗜好に関連する商品を平均よりも多く購入

通貨が異なることもあり、一概には言えませんが、Criteoのデータからは米国・英国ともに、在宅ワーカーの購買力が平均よりもかなり高いことが見て取れます。

米国では在宅ワーカー世帯の3分の2(67%)が年収5万ドル以上であるのに対し、オフィスワーカー世帯は52%です。

英国の場合、在宅ワーカー世帯の62%が年収3万8,000ユーロ以上であるのに対し、オフィスワーカー世帯は44%です。

比較的高収入の消費者であることからも予測される通り、在宅ワーカーは趣味や嗜好に関連する商品を平均よりも多く購入する傾向があります。在宅ワーカーはオフィスワーカーよりも在宅時間が長く、それがビデオゲームや家電製品の購入を後押ししていると考えられます。

グローバル全体でも、在宅ワーカーはオフィスワーカーと比較して多くの商品を購入しており、商品のカテゴリー別で見てみると、コミックス(43%対40%)、書籍・DVD(37%対33%)、家電製品(28%対24%)、電子機器(27%対24%)、ビデオゲーム(28%対24%)という結果となっています。

また米国の在宅ワーカーは、アルコール類(在宅ワーカーの53%が前月に購入実績があるのに対して、オフィスワーカーは49%)、コスメ用品(41%対37%)、カルチャーグッズ(32%対27%)などのカテゴリーで、購入割合が高い傾向にあります。英国も同様に、在宅ワーカーの方がオフィスワーカーに比べて多くの商品を購入しており、アルコール類(平均が59%であるのに対して、在宅ワーカーの62%が前月に購入実績がある)、家電製品(26%対21%)、書籍・DVD(31%対28%)という結果が出ています。

こうした結果を見ると、在宅ワーカーは明らかに高い価値を備えたオーディエンスであり、オフィスワーカーと比べて、自宅環境や美容、エンターテインメントへの出費を惜しまず、購入割合が高くなっていることがわかります。これらの調査結果に上記の人口統計プロフィールを組み合わせれば、マーケターは在宅勤務の消費者にエンゲージする方法についての明確な指針を見いだすことができるはずです。

在宅ワーカーは新しい配送手段も積極的に利用

世界全体で見ると、在宅ワーカーのうち10人に6人以上(62%)は、オンラインで購入した商品を実店舗で受け取るサービスを利用し(オフィスワーカーの利用は52%)、44%がオンラインで購入した商品を実店舗の駐車場で受け取る(オフィスワーカーの利用は37%)と回答しています。

この傾向は米国においてさらに顕著で、在宅ワーカーのうち10人に7人以上(71%)は、オンラインで購入した商品を実店舗内で受け取るサービスを利用し(オフィスワーカーの利用は59%)、また10人中7人近く(68%)がオンラインで購入した商品を実店舗の駐車場で受け取る(オフィスワーカーの利用は61%)と回答しています。

このデータから、BOPIS(オンラインで注文した商品を実店舗で受け取り)や駐車場での受け取りサービスを利用できることを広告で伝えることが、このオーディエンスとつながる重要なメッセージングになると考えられます。

在宅ワーカーも含め、すべての人々が現状からの脱却を求めている

在宅ワーカー特有のショッピング行動が見られる一方で、社会生活がコロナ前に戻った後に関しては、誰もが共通の認識を持っているようです。Criteoのレポート「ショッパーストーリー」では、アンケート回答者の3分の1以上が、「2022年は2021年よりも結婚式やパーティーなど、ドレスアップする機会が増えることを期待している」と回答しました。また、約半数(49%)は「友人と集まる機会を増やす予定だ」と回答しています。2

出典:「消費者センチメントの指標に関する調査」(Criteoが2021年4月~2021年12月に実施。対象は「最近はほぼ在宅勤務」と回答した18歳~64歳のオンラインの買い物客。回答者数:4万9,674人)

実際に人と集まる機会が増えることに備えて、身だしなみを整えるための商品や気分を高めるためのグッズなどをまとめ買いしている消費者が多いようです。米国では昨年の夏、ダンス用のドレスやピアスなどパーティーに出かけるための商品の売上が大幅に増え3、香水やコロンなどの美容アイテム、シェービングフォームなどウェルネス関連の商品の販売も昨年の秋ごろから急増しました。4

コマースメディアで在宅ワーカーとエンゲージする

ここで詳しく取り上げたインサイトは、在宅ワーカーが自宅で長い時間を過ごす新しいライフスタイルに適した商品を購入していることを示していますが、外に出るための準備も始めており、これまでとは違う購入・受け取りの方法についても常にチェックしていることを示しています。

コマースメディアを使えば、大規模なコマースデータとAIを活用してオーディエンスを理解し、彼らが最も興味を持ちそうなカテゴリーや価格帯の商品の広告をオープンインターネット上で配信することによって、彼らにリーチすることができます。

消費者トレンドについてさらに詳しく知りたい方は、以下のCriteoのレポートをぜひダウンロードしてお読みください。

1WFHのデータの出展:「消費者センチメントの指標に関する調査」(Criteoが2021年4月~2021年12月に実施。対象は「最近はほぼ在宅勤務」と回答した18歳~64歳のオンラインの買い物客。回答者数 – 世界:4万9,674人、米国:7,840人、英国:6,181人)
2出典:消費者センチメントの指標に関するCriteo調査、世界(オーストラリア、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、スペイン、英国、米国)2021年11月、回答者数:3,805人
3出典:Criteoのデータ、米国、2020年8月と比較した2021年8月のオンライン総売上に基づく
4出典:Criteoのデータ、米国、2020年9月と比較した2021年9月のオンライン総売上に基づく