コロナ収束後、日本人の旅はどうなる?

更新日 2020年12月21日

政府や自治体の旅行自粛要請を9割以上が意識

新型コロナウイルスの影響は、あらゆる業界に及んでいますが、もっとも大きな被害を被っている業界の1つが旅行業界でしょう。感染拡大のリスクから今年は旅行を控える人が多く、国内の観光地やテーマパークでは観光客の激減に頭を悩ませています。

旅行を控える理由の1つに挙げられるのが、政府や自治体からの自粛要請です。あくまでも「要請」であり「命令」ではないのですが、真面目な国民性ゆえか、こういった要請が「旅行に行きたい気持ち」にブレーキをかけていることは確かなようです。2020年5月~6月に公益財団法人日本交通公社が全国の18歳~79歳までの男女約1500人を対象に行った「JTBF旅行意識調査」によると、「旅行の実施を検討する際に政府や自治体の要請を意識する度合い」について、「要請に従って判断する」が69.2%、「要請を気にしつつも自分で分析して判断する」が27.6%と、併せて96.8%が行政からの要請を意識していることが明らかになりました。

コロナが収束したら旅行に行く?

では、コロナ禍が収束して自粛要請が解かれたら、再び旅行に行き始めるのでしょうか?同じく「JTBF旅行意識調査」で新型コロナウイルス収束後の旅行意向を普段の旅行頻度別に聞いたところ、国内旅行・海外旅行ともに、普段の旅行頻度が高い層ほど、「旅行に行きたい」と答えた割合が高いことがわかりました。たとえば、普段(コロナ流行以前)国内旅行に年に6回以上でかけている人のうち、コロナ収束後に旅行に行きたいと答えた人は96.9%、一方、普段は国内旅行に「あまり行かない」と答えた人では、コロナ収束後に旅行に行きたいと答えた人は44%にとどまり、「当面は(2年間程度)は行きたくない」と答えた人は52.9%に上りました。

同じく海外旅行でも、普段海外旅行に行く頻度が高いほど、コロナ収束後の旅行意欲は高く、年に6回以上海外旅行に出かけていた人のなんと100%が「収束後は海外旅行に行きたい」と回答したことがわかりました。

収束後、行きたいのは「温泉」

では、収束後に旅行に行きたいと回答した人たちは、具体的にどんな旅行をしたいのでしょうか?「JTBF旅行意識調査」の結果によると、「コロナ収束後に旅行先で行いたい行動」の第1位は「温泉」で16.4%、第2位は「自然や景勝地への訪問」で13.1%でした。テーマパークやレジャーランドを抜いて、「温泉」や「自然や景勝地」に行きたいという人が多かったのは、旅に「刺激」や「楽しさ」よりも、「癒やし」や「落ち着き」を求める気持ちが表れているのかもしれません。ちなみに、「温泉」を楽しむために訪れたい場所について聞いたところ、1位は大分県(18.1%)、次いで2位は群馬県(10.5%)、3位は静岡県で9.9%でした。「自然や景勝地」では、1位が北海道(24.1%)、2位が沖縄県(16.8%)、静岡県が3.6%でした。

疲弊する観光地をショッピングでサポートしたい!

とはいえ、何のためらいもなく旅行を楽しめるようになるには、もうしばらく時間がかかるであろうことは否めません。客足の途絶えた観光地では旅館・ホテルや飲食店、お土産店などの多くが悲鳴をあげており、客足が戻るまでの間、営業を継続できないケースも多数出てくるものと考えられます。旅行ができない今、観光地の経済を支えるために何かできることはないのか、もどかしい想いをしている人も多いのではないでしょうか。

JTBFの調査では「新型コロナの影響を受けている観光地を支援したいか?」という質問に対し、約6割が「したい」と回答しているものの、そのうち7割の人が「支援をしたいが具体的に何をすればいいのかわからない」と回答。観光地を支援したい気持ちをもつ人たちに、観光地からどんな支援が必要なのかを示す情報が発信されていないことが浮き彫りになりました。

逆に「支援する方法を知っている」と回答した人に、その内容を聞いたところ、「インターネットで現地の商品を購入する」が50%で最も多く、次いで「収束後、現地に旅行する」が49.2%、「ふるさと納税をする」が30.7%となりました。ECサイトでの商品の販売は、地域経済を潤すだけでなく、消費者と地域の関係性を保つツールとしても非常に有効な手段です。ECサイトでの売買を通じてつながりをもった消費者にメルマガやSNS等を通じて情報を発信し、コンタクトを取り続けることによって、コロナ収束後の地域への集客に繋げられる可能性は大きいでしょう。

コロナ禍で抑え込まれている「旅行に行きたい」「観光地を支援したい」という消費者の気持ちをいかにして、コロナ収束後の戦略に活かすことができるのか。皆が手をこまねいている今こそ、マーケターの真の手腕が問われていると言えるでしょう。