テレワーク、日本の現状は?

更新日 2020年12月21日

6月以降、オフィスに出勤する人が急増

新型コロナウイルスの感染拡大を機に日本でも一気に浸透した感のある「テレワーク」。しかし、この先、この新しい働き方が日本に定着するとはまだ断言できないようです。Googleがスマートフォン利用者の位置情報を分析したところ、2020年4月、日本の出勤者は感染拡大前(同年1月~2月)に比べて21.9%減少したものの、緊急事態宣言解除後の6月には12.9%減にまで戻っていることが判明。一時的にテレワークをしていた人たちが、徐々にオフィスに戻ってきていることが浮き彫りになりました。

一方、テレワーク先進国といわれる欧米諸国では、今回の新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、テレワークがますます定着しつつあるようです。同じくGoogleの分析によると、イギリスの出勤者は感染拡大前に比べ44%減。ドイツやフィンランドでも2~3割減少しています。さらに、Facebookのように、一部の社員についてテレワークを標準化する企業も増えつつあります。日本でも同様の動きが一部の企業で出てきていますが、まだごく限定的です。

テレワーク定着を防ぐのは「職種」

では、欧米で定着しつつあるテレワークが日本ではなぜ定着しづらいのでしょうか?

その原因として指摘されているのが、「職種」と「雇用形態」です。

まず、職種について。IT技術者や法務など、場所にとらわれずに働きやすい(つまりテレワークしやすい)専門職として働いている社員の比率が日本では17%と、欧米諸国の半分程度にとどまっています。顧客や同僚と直接対面する必要性が高いサービス・販売従事者の割合が高い日本では、テレワークで働ける職種そのものが少ないということです。

オックスフォード大学が2020年5月に行った調査では、オンラインで働ける職種の求人が過去最高に。ソフトウェア開発や法務、財務などの専門職の求人が急拡大していることが明らかになりました。今後、日本でもこういった職種へのシフトが進んでいくのかもしれません。

次に「雇用形態」について。仕事内容を明確に規定する、いわゆる「ジョブ型」の雇用形態が定着している欧米と違い、日本では仕事内容や責任の所在があまり明確ではない「メンバーシップ型」を採用している企業が多いので、在宅勤務では社員の働きぶりをうまく評価できないことも、テレワークが定着しない原因の1つとして指摘されています(日本経済新聞2020年7月5日)。

また、デジタル化の遅れや「ハンコ文化」、ペーパーレス化の遅れも、テレワークの定着の「障壁」となっているようです。

世界的に感染拡大の終息の兆しが見えない今、日本でも、またいつ緊急事態宣言や外出自粛要請が行われるかわからない状況が今後しばらくは続くものと思われます。そんな中、感染症から従業員やビジネスを守るための経営判断として、採用職種や雇用形態を見直し、テレワークを推進する企業が日本でも増えていくのではないでしょうか。

同時にテレワーク、特に在宅ワークでより快適に働き、生産性を挙げていくための取り組みを始める企業も増えています。在宅でも快適に働くための家具、セキュリティ対策、在宅ワークが続くと醸成されづらい従業員同士のコミュニケーションを育むツールなど、各企業が知恵を絞り、それらをパッケージとして販売するビジネスも次々に登場しています。7月30日には人事や経理、AIチャットにいたる幅広い業種が出展する「テレワークEXPO」というオンラインイベントも開催予定。リモートワークの推進、改善を考えている方は、参加してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、Criteoでは、2020年末まで原則として全社員がテレワーク(在宅ワーク)を継続する予定です。恵比寿のオフィスに行けないのは残念ですが、ビデオ会議や電話、メールなどあらゆるツールを駆使して、お客様や同僚とのコミュニケーションは良好、もちろんビジネスにも大きな支障はでていません。テレワークに関するCriteoの取り組みや、その成功の秘訣については、またの機会に紹介させていただきます。お楽しみに!