日本旅行市場回復のカギは「国内線」と「ダイナミック・パッケージ」

本格的な夏の観光シーズンを前に4度目の緊急事態宣言が発令した東京都。7月23日から始まる予定のスポーツの世界的祭典2020東京オリンピックも1都3県と北海道で行われる競技は無観客での開催が決まり、盛り上がりは一気にトーンダウンした感があります。ワクチン接種が思うように進んでいないこともあって、都道府県をまたぐ移動を自粛する人も多く、今年の夏も日本の旅行市場は厳しい状況が続きそうです。

そんな中、アメリカの旅行調査大手フォーカスライト社から明るいニュースが届きました。日本で2021年夏の間にワクチン接種が順調に行われれば国内旅行の旅行が急増、最も楽観的な見通しでは、旅行市場がコロナ以前のレベルを超えるのは2023年、続く2024年には旅行予約高は1195億ドル(約13兆1450億円)にまで回復する予測を発表したのです。

また、同社では、今後日本の旅行市場回復のカギを握る動きとして次の2点を挙げています。

① 国内線の需要回復

国際線の需要回復が現実問題として難しい状況が続く中、日本の航空各社の体力をぎりぎりのところで支えているのが国内線の需要回復です。ワクチンの接種が順調に進んで都道府県をまたいだ移動への制限や抵抗感がなくなれば、国内旅行の需要は回復するはず。国内線の需要増は航空各社のダメージ軽減に繋がり、経営危機からの脱却を後押しすると考えられます。

② ダイナミック・パッケージが主流に

コロナ禍の影響で、旅行商品の主流がパッケージツアーからダイナミック・パッケージ(交通チケットと宿泊施設を任意に組み合わせることができる旅行商品)へと移行しています。Withコロナの生活が続く中で、団体行動を避け、混雑する観光名所を避けて旅をするスタイルが定着しつつあることが背景にあるとみられ、この動きは今後ますます加速するものとみられており、旅行大手各社もダイナミック・パッケージ商品の開発・販売に力を入れています。このうち、JTBは2020年5月から国内旅行の新ダイナミック・パッケージブランド「マイスタイル」を発売、2021年は、同社の売上全体に占めるDP比率を約80%にまで高める計画を発表しています。近畿日本ツーリストでも、個人観光旅行事業をオンライン・プラットフォームへ完全移行、2020年10月から国内旅行のダイナミック・パッケージ商品を販売開始。今後は海外旅行でもダイナミック・パッケージ商品を投入する計画を進めています。旅行需要が団体のパッケージ旅行からから個人のダイナミック・パッケージへとシフトするなか、オンラインでダイナミック・パッケージ商品をいかに効率的に販売するかで、各社の勝敗がわかれそうです。

ハワイは米本土からの観光客が急回復

いずれにせよ、旅行市場の本格回復には新型コロナウイルスの感染拡大収束が欠かせません。その切り札として現在世界中で進められているのが、ワクチン接種です。日本はワクチン接種開始自体が他の先進国に比べて大幅に遅れており、必要な回数のワクチン接種が完了した人の割合は、7月8日現在で全人口の16.8%程度にとどまり、いまだ1日あたり数百人単位の新規感染者が発生しています。一方、迅速にワクチン接種に着手したアメリカではワクチン接種完了者の割合は全人口の約48%に。全米指折りの観光地ハワイ州では7月3日現在、接種完了者が58.3%に上り、観光客の受け入れも順調に再開されています。HTA(ハワイ州観光局)の5月観光統計によると、ハワイへの州外からの渡航者数は2019年比―25.7%にまで回復。特にアメリカ西部からの渡航者は計41万9000人と、パンデミック前の2019年を8%上回るまでに急増しています。一方、ワクチン接種が進んでいない日本からハワイへの渡航者は2019年比-98.8%(1312人)と低迷したままの状況が続いており、ワクチン接種が旅行需要回復のカギを握っていることを如実に物語る結果となっています。

繰り返される緊急事態宣言に疲弊する観光・飲食業界、ワクチン接種の遅れ、止まらない感染拡大・・・。3度目の緊急事態宣言が2021年6月25日にいったん解除されたことを受けてやっと動き始めた旅行業界も、7月12日に東京都に4度目の緊急事態宣言が発令されたことで、大手HISが再び東京発着のツアー中止を打ち出すなど、先の見えない厳しい状況が続いています。日本が抱える問題はあまりに大きく、冒頭で紹介したフォーカスライト社の予測は少し楽観的過ぎるきらいがあるのかもしれません。旅行各社には、今後もしばらくの間は、オンラインツアーの開催やオウンドメディアへの集客などを通じて、顧客のロイヤルティや求心力を維持することが当面の課題となりそうです。

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