日本でも本格化?店舗無人化への取り組み

大手コンビニが無人店舗の実証実験をスタート

人手不足の解決に向けて、日本でも店舗の無人営業に向けた取り組みが活発化しています。例えば、大手コンビニエンスストアのローソンは、2019年7月から数ヶ月かけて、2店舗で深夜0時~早朝5時までを「無人営業」(レジに店員がいない状態)とする実証実験を行うことを発表しました。

無人営業中の時間帯、店舗の出入り口はロックされており、顧客は事前にダウンロードしておいた専用アプリに表示されるQRコード使ってロックを解除すると、入店が可能に。商品を購入する場合は、スマートフォンを使って決済できる「ローソンスマホレジ」又は、電子マネーやクレジットカード、現金での支払いが可能な「完全セルフレジ」の2種類が用意される予定です。ちなみに、無人営業時間中は、店員による対応や確認が必要なたばこ・酒類、カウンターファストフード類、切手類、収納代行、チケット発券などの販売は行われません。

一方、同じくコンビニ大手のファミリーマートは、2019年4月、パナソニックとの協業で店舗業務の省力化や顧客満足度向上に取り組むことを発表しました。両社協業によるソリューションの目玉は、ディープラーニングを応用した顔認証技術による決済システム。顔認証で決済できるシステムの導入により、決済にかかる従業員の負荷を減らすだけでなく、「顔認証で決済できる」という新しい買い物体験を顧客に提案できるメリットも見込んでいます。このほか、「電子棚札」の導入も検討されており、価格表示やPOPの作成を電子化して従業員の作業を軽減するほか、カメラやセンサーによって店内のヒートマップを作成、その結果に応じて店内レイアウトや品揃えの見直しを行えるようにする予定です。また、顧客がオンライン上で購入した商品を店舗で受け取れる・最寄りの店舗から自宅等へ配達する仕組みも整え、オムニチャネル化への対応も強化していくとしています。

Amazon Goが現金対応?開始その理由は……

こういった店舗の省力化・無人営業の先駆けとして知られるのが、Amazonがアメリカ国内で展開するレジなし店舗「Amazon Go」です。

Amazon Goで採用されているのは、店内で買い物客が商品を手に取るとカメラやセンサーがそれを認識、選んだ商品を持って外に出ると、代金が自動的にAmazonのアカウントに請求される仕組み。Amazonアカウントの確認のため、事前にAmazon Goアプリをダウンロードしておき、入店時にスマホでQRコードを表示してゲートに読み取らせる必要がありますが、いったん店に入ってしまえば、客はスマホやクレジットカードを取り出す必要はありません。

もちろん商品の搬入や陳列、清掃等には人手が必要なので完全な無人化とは言えませんが、レジでの決済を行う人員や、釣り銭の準備、レジ締めといった現金管理にかかる人員も不要。買い物客もレジ待ちの列に並ぶ必要がなくなる上、「まるで魔法みたい」な全く新しい買い物体験を楽しめるというわけです。実際、Amazon Goは大いに話題を呼び、開店直後は入店待ちの長い行列ができたほど。店舗数も順調に増えつつあります。

しかし、ここに来て、Amazon Goにちょっとした「異変」が起きています。今年に入って、Amazonの広報担当者が、CNBCの取材に対して、Amazon Goが現金対応を行う見込みであることを明らかにしたというのです。

アメリカでは貧困層への配慮からキャッシュレス決済自体に批判的な立場を取る人も多く、フィラデルフィア市では「現金支払いを禁止することを禁止」する法律が議会を通過(施行は2019年夏の予定)、一部ではニューヨーク市やシカゴ市などでも同様の法規制が議論されていると報じられています。

現在のところAmazonがAmazon Goでの現金受け入れをどのように行うのかは明らかになっていませんが、今後、「キャッシュレス先進国」であるはずのアメリカでどのような変化が起きるのか、日本でも同様の動きが出てくるのか、注意深く見守る必要がありそうです。