新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックの収束の兆しがいまだ見えない中、人々が必要なニュースや情報に自由にアクセスするための手段として、インターネットの重要性がかつてないほどまでに高まっています。一方、このエコシステムに資金を供給する広告には、消費者の信頼を勝ち取るために、ますます優れたユーザー体験と価値をもたらすことが求められるようになっています。

パーソナライズド広告は、ユーザーの好みにマッチしたブランドの発掘や探していた商品との出会いだけでなく、コミュニティへの参加や天気予報アプリなど無料サービスへのアクセスの機会も提供しています。

しかし、ユーザーの行動データと引き換えにパーソナライズド広告が提供している価値は、消費者に十分に理解されていないのが現状です。eMarketerが2019年に実施した調査によると、世界中のユーザーの83%がオンラインにおけるプライバシーの侵害を懸念しています。Criteoは以前から、消費者が自らの広告体験を理解し、コントロールできるようになる必要があると考え、業界を率先して消費者の啓発とサポートに取り組んできました。

私自身も、広告が消費者の生活の向上に役立つものであることを理解してもらうためには、広告にはまだまだ改善の余地があると考えています。デジタルエコシステムの成熟に伴い、広告業界は以下の3つの原則にもとづいて、すべての関係者が公平な取引をするための環境整備に積極的に取り組む必要があります。

1.ユーザー自身によるデータと広告体験のコントロールが信頼醸成のカギ。

オープンインターネットの経済モデルのバランスを最適化するには、消費者の信頼を取り戻すことが不可欠です。

信頼関係は情報とコントロールの上に築かれます。そこでは消費者の閲覧履歴と広告メッセージには明確な関連性があること、また個人の好みとプライバシーを容易に管理できることが重要になります。消費者がある広告について、不適切、表示回数が多すぎる、不快、あるいは単に気に入らないと感じた場合には、簡単にそれを停止または再開できるようにしなければなりません。つまり、消費者が広告主に求めているのは、彼らが設定した好みを踏まえて最大の価値を届けてくれる広告の配信です。

データ仕様に関する透明性を確保すれば、消費者は自らの個人情報と引き換えに享受できる価値について、簡単に理解できるようになります。さらに、無料サービスも利用できることがわかれば、個人情報の提供にも納得してくれるでしょう。パーソナライズド広告では、消費者が持つプライバシーへの根本的な要求、オンラインの無料サービスや情報に資金を供給する広告主の利害、そして運営資金を広告に頼るパブリッシャーの三者間で、最適なバランスを維持する必要があり、これこそが「価値の交換」ともいえる暗黙の取引なのです。

2.優れたデザインのパーソナライズド広告は、エコシステム内のすべてのプレイヤーに利益をもたらす。

パーソナライズド広告は、消費者、コンテンツ作成者、マーケターといったすべての関係者にメリットをもたらします。たとえば、消費者は自身の生活に新たな価値をもたらす、便利でカスタマイズされた広告体験を享受することができます。このことは、ブランドが消費者との適切なコミュニケーションを通じて、一対一の価値あるインタラクションを行う合意が得られた場合に、はじめて可能になります。Criteoが昨年、米国の1,000人以上の消費者を対象に実施した調査では、48%の消費者が「オンライン広告で新しい商品を知ることができた」と回答しました。これは広告が消費者に未知の商品やブランドを紹介することによって、彼らに新たな選択肢や多様性がもたらされているという何よりの証拠ではないでしょうか。

パブリッシャーにとっては、これまで以上の収益の獲得が期待できます。これは、ユーザー中心の広告がより効果的で測定可能な結果をもたらすことによって実現し、より多くのブランドや広告主からより多くの投資を引き出すことにもつながります。Googleのデータによると、パーソナライズド広告を使用しない場合、パブリッシャーの売上げは最大62%も低下することがわかっており、パーソナライズド広告がなければ、パブリッシャーはオーディエンスに提供しているコンテンツを大幅に減らすことになるでしょう。

個々の顧客に最適化された価値を提供するパーソナライズド広告によって、広告主は最高のROAS(広告費用回収率)を得ることができます。最近、Forrester[1]から出された広告の未来に関する報告では、今後のパーソナライズド広告の重要性と必要性が示唆されています。「消費者はより高度なパーソナライゼーションを求めるようになり、ブラウザもそれに対応していくことになるでしょう」

業界がコーホートと呼ばれるユーザーグループやコンテキストデータにもとづいて、関連性の低いパーソナライゼーションの提供に固執すれば、消費者は自身のニーズに適さない広告をスパムとみなす可能性があります。ユーザーは一人ひとり異なる存在なのに、コーホートは多くのユーザーを一様に扱ってしまうからです。つまり、私たちは業界全体で消費者のニーズや権限、パーソナライゼーションとプライバシーをさらに重視する取り組みを進めていく必要があるということです。一方、ユーザーの側がコーホートベースの広告を望む場合、Criteoはユーザーの選択を尊重し、できるかぎりの体験をプライバシーに配慮した方法で提供します。

3.データポータビリティをコントロールするのは、ブラウザやデバイスではなくユーザー自身である。

2017年以降、ブラウザの中にはユーザーから選択やコントロールの手段を奪い、データの管理について中心的役割を自ら担っているものがあります。私たちはこれは適切な方法ではないと考えています。なぜなら、インターネットがコンパートメント化されてしまうからです。ブラウザやデバイスが、閉鎖的かつ不透明な方法でユーザーデータをコントロールすべきではありません。特に、大きな力を持つ世界規模の企業が、業界をリードするブラウザやデバイスOSを提供し、運営しているとなればなおさらです。

そうではなく、ブラウザ、IDプロバイダー、およびユーザーのデジタル活動に関するすべての参加者が、ユニークで便利な方法をユーザーに提供し、彼らが求めるプライバシーのレベルに応じて、ユーザーの側で体験を調整できるようにすべきです。つまり、ID識別は業界全体の共同作業であるべきだということです。そうすれば、ユーザーは自身のデータ管理について透明性を獲得し、データを誰と共有したいのかを自身でコントロールできるようになるでしょう。それは決して「善意」だけで実現できるものではなく、独立した認証や監査のプログラムが不可欠です。一部のブラウザ企業とは異なり、Criteoは業界を上げた取り組みの重要性を深く理解し、サポートしています。Transparency & Control Framework(TCF:透明性とコントロールの枠組み)はそういった取り組みの1つであり、エコシステムの参加者全員がインターネットを現在よりも豊かなものにすることに貢献しています。

これまで述べてきたとおり、オンラインIDとパーソナライゼーションに関する持続的な業界基準の確立に向けて、規制が始まっています。これは、ユーザーの期待に応え、エコシステム全体に良い効果をもたらすパーソナライズド広告ソリューションを探るための歓迎すべきステップだと言えます。ソリューションは単独のプレーヤーからもたらされるとは限らないため、業界全体で協調を図りながら、旧態依然とした基準やイニチアチブによる落とし穴を避けることが重要です。

業界全体を対象とする新たな基準は、価値交換のバランスを向上させ、関係者全員の信頼を築くための一助となるでしょう。CriteoはオンラインIDに関係する企業として、WFA、ANA、IAB、W3C、NAIといったフォーラムを通じて他の関係者と協力し、そこで提案されるソリューションが消費者、パブリッシャー、広告主に利益をもたらすものになるための努力を惜しみません。オープンなインターネットで価値の交換を成立させるための統一的なソリューションを作り上げることは、業界全体で協力することによってのみ成し得るものです。

オンラインID識別の未来がどうであれ、私たちは広告主にとって適切なメッセージを、適切なタイミングで、適切なユーザーに届けるとともに、消費者には最高の体験を提供します。Criteoは、パーソナライズド広告に必要なすべての手順を踏襲し、かつプライバシーに配慮したメディアを設計するための対話に、独自の体験、規模、技術をもって貢献していきます。こうすることで、広告の品質と消費者からの信頼を高め、消費者、パブリッシャー、広告主といったすべての関係者に価値をもたらすことができるのです。

[1] Forrester ; The Future Of Advertising Is Imminent Upheaval — And You’re Not Ready For It ; 7th April 2020 ; By Joanna O’Connell, Sarah Dawson with Brigitte Majewski, Luca Russo, Christine Turley; (サブスクリプションが必要です。)

メーガン・クラーケン

メーガン・クラーケンは、Criteoの最高経営責任者(CEO)です。Criteo入社以前は、Nielsenのグローバル・メディア部門の最高商務責任者(CCO)、テレビ視聴計測サービス「Watch」の代表取締役社長、さらに製品部門のトップなど、マーケティングと製品開発に携わる数々の上級管理職を歴任しながら同社を率いてきました。Nielsenに入社する前は、Akamai Technologies、オーストラリアのNineMSNなどのオンライン・テクノロジー・プロバイダーや、大手パブリッシャーで上級管理職を務めていました。

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