このところ広告業界で、「コマースメディア」という言葉が話題になっていることをご存じの方も多いのではないでしょうか。従来のコマースのあり方を変革するデジタル広告の新たなアプローチである「コマースメディア」は、一見シンプルな言葉であるように思われますが、その説明を聞くと少し戸惑ってしまう人が多いようです。

それには理由があります。言葉だけだとシンプルに見えるこのアプローチは、実はさまざまな意味を持った、これまでにない新しい手法だからです。そこで、この記事では「コマースメディア」の定義と、その背景にある広告業界のトレンドについて見ていくことにします。

コマースメディアの定義

幅広い意味を持つ言葉を正しく定義するには、まずその要素を分解してみることです。

ここでは、「コマースメディア」というフレーズを単語に分解し、デジタル広告という視点からその意味を考えていくことにしましょう。

コマース:ネットと実店舗における商品やサービスの売買に関わるオンラインの活動。ここには商品との出会いからコンバージョンの意思決定に至る消費者とのすべてのタッチポイントが含まれ、売上や新たなアカウントの登録といった成果へつながる。

メディア:プロモーションコンテンツで消費者にリーチし、購入の意思決定に影響を与えるデジタル広告チャネル。このメディアには、有料のディスプレイ広告、有料の検索広告のほか、動画やCTV、ソーシャルメディアなど、さまざまなチャネルがある。

この2つの単語の定義と「コマースデータとインテリジェンスの融合」という重要な概念を重ね合わせることで、「コマースメディア」の意味を正しく定義することができます。

コマースメディア:コマースデータとインテリジェンスを融合したデジタル広告の新たなアプローチ。消費者のショッピングジャーニー全体で彼らを的確にターゲティングし、コマースの成果(売上、収益、リード獲得)につなげる。

重要なのは大規模なコマースデータ(購入履歴や顧客の興味・関心を示す行動データ)を活用して、オーディエンスの質や広告の関連性を高め、それをメディアと組み合わせることによって適切な場所に適切な広告を配信できるようにすることです。

また、商品との出会いから検討、コンバージョンに至るまでの各段階で関連性の高い広告を配信すると同時に、各段階で測定可能なコマースの成果を向上させていくことも重要です。

これは、マーケターのためだけの手法ではありません。メディアオーナー(パブリッシャーや小売業者)は、ファーストパーティデータとインベントリをパッケージすることで、広告主にコマースの成果を向上させる手段を提供することができます。

広い視点で見ると、コマースメディアはマーケター、メディアオーナー、消費者のすべてが互いに恩恵を受けることのできる有効なアプローチであることが分かるでしょう。

Amazonは、コマースメディアのアプローチが効果的な手法であることを示す代表例です。とはいえ、ショッピングのすべてのプロセスがAmazonの中だけで完結するわけではありません。むしろ、その多くはオープンなインターネット環境上で行われます。同様に、コマースメディアもAmazonのようなECサイトの中だけで完結するものではありません。マーケター、パブリッシャー、小売業者はコマースメディアを利用して相互につながり、Amazonの外にいる消費者とも、さまざまな場所でつながることができます。

コマースメディアは…

…コマースデータ(取引データや顧客の行動データなど)を利用することで、マーケティング上の意思決定の支援、ターゲティングの精度向上、効率的かつ効果的な広告の作成、高度な消費者体験の提供を可能にします。

…コマースデータを分析することで、高度な消費者体験の提供を後押しする高度なインテリジェンスを導き出します。

…マーケターとメディアオーナーの両方にメリットをもたらします。消費者をブランドに、オーディエンスをパブリッシャーに、ブランドを小売業者につなげることにより、すべての関係者の利益につながるデジタル広告の成果を最大化します。

…コマースメディアは小売業のためだけの手法ではありません。旅行や不動産、自動車など、コマースの成果を追跡することで、どのような業種でもオンラインコマースに利用できます。

…すべての購入ファネルに対応します。商品との出会いから購入に至るまで、ファネルのすべての段階で消費者にリーチします。

…オムニチャネルにも対応します。オンラインだけでなく、実店舗の来客数や売り上げを向上させることも可能です。

…目標とする成果を追跡でき、KPIにおけるデジタルキャンペーンの直接的な影響を確認できます。

…オープンで透明性の高い手法です。コマースメディアは、コントロールと透明性が確保されたオープンなインターネット上で、マーケターとメディアオーナーを結びつけます。つまり、コマースメディアによってインターネット上にオープンなマーケットプレイスが構築されるということです。

コマースメディアの高まりを後押しするトレンド

  • Eコマースの活況:COVID-19のパンデミックによって拡大したオンラインショッピングの習慣は、パンデミックの収束後も継続するはずです。全世界のEコマースの市場規模は、2021年に5兆ドルに達すると予測されています。1
  • 消費者とのつながり方の変化:個人情報保護規則の強化とサードパーティCookieに依存した手法の見直しにより、マーケターとメディアオーナーはオンラインでショッピングを行うオーディエンスへのリーチと収益化を支える新たな方法を模索しています。
  • 小売業者に大きなチャンスをもたらすファーストパーティデータ:こういった理由からマーケターの多くは現在、ファーストパーティデータの収集と拡大に力を入れています。小売業者とつながることで、両者ともにメリットがもたらされるはずです。
  • デジタルに転換するトレードマーケティング:ブランドはオンラインの消費者に多くの予算を投じています。EUの広告主の92%、米国の広告主の76%が、リテールメディア広告は今後の成長の重要な糧になると考えています。3

コマースメディアの現在とこれから

現在、オープンなインターネットにおけるコマースメディアは、デマンドサイドプラットフォーム(DSP)、サプライサイドプラットフォーム(SSP)、小売SSPに細分化され、個別に運営されています。しかし、個人情報保護規則が強化され、サードパーティCookieへの依存が見直される中で、マーケターとメディアオーナーはファーストパーティデータとリーチ可能なオーディエンスの管理、拡大、活用を効率化できるソリューションを求めるようになっています。このトレンドの中でコマースメディアの手法がさらに進化し、マーケターとメディアオーナーの協業を通じた、より高度な消費者体験には、大きな期待がかけられています。

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