コマースメディアの活用事例

デジタル広告業界は今、より好ましい方向へと変革を遂げようとしています。というのも、プライバシー保護を求める消費者の声が、責任を重視したアドレサブル広告を、より強力に後押しするようになっているからです。その結果、コマースメディアを「変化する消費者のニーズを広告エコシステムの中心に据えるソリューション」としてだけでなく、「広告の将来を見据えた重要なマーケティングプラクティス」と考えるマーケターが増えています

今やコマースメディアはデジタル広告業界で最新の話題であり、多くのマーケターは、それが具体的にどのようなものであるかを理解したいと考えています。そこで今回は、1つの実例を通してコマースメディアを見ていきたいと思います。

旅行アグリゲーターのOff The Grid(オフザグリッド)は、ビジネスの拡大を見据えて、これまでにない新たな挑戦を始めており、充実したショッピングジャーニーを通じてより多くの顧客とエンゲージし、ヨーロッパ旅行の予約増加を加速させたいと考えています。 

新規顧客の獲得(アクイジション) 

この成長目標を達成するために、Off The Gridはカスタマーアクイジションキャンペーンを導入。コマースメディア戦略をその中心に位置付けることにしました。このキャンペーンでは、旅行の計画に意欲的で、高い価値をもたらす新規顧客を特定するファーストパーティ・データを活用し、ヨーロッパでの休暇に関するパーソナライズされたデジタル広告を使って、顧客の関心を喚起しています。

Off The Gridのキャンペーンでは、コンテクスチュアル・シグナルを利用して、オンラインコンテンツの旅行セクションの記事など、適切な環境下で消費者に商品レコメンドを提示できるようになっています。このアプローチにより、Off The Gridは、拡張されたメッセージングを通じて購入意欲の高い顧客とつながり、より多くの広告インタラクションを生成、最終的には上質なトラフィックを増やすことに成功しています。

さらに、Off The Gridは、興味を示した消費者に、近隣の旅行会社のキャンペーンに関するパーソナライズされた広告コンテンツを提供し、ファネルのさらに下層へと誘導しています。

顧客の維持(リテンション) 

上記のアクイジションキャンペーンを踏まえて、同社はコマースメディアを利用して顧客生涯価値(CLV)の向上を図るリテンションキャンペーンも導入。「1回限りの顧客」として終わらせず、リピート率の高いロイヤルカスタマーにするための戦略にも取り組んでいます。このリテンションキャンペーンでは、既存顧客に同社の他のサービスも知ってもらうべくダイナミック広告を活用し、休暇から戻って間もない旅行者に次の旅行予約を促しています。

さらに、Off The Gridはファーストパーティのコマースデータを活用して、昨年旅行を予約した顧客とのリエンゲージメントにも成功しています。このキャンペーンでは、Off The Gridのウェブサイトに顧客を呼び戻すためのテストと学習のアプローチが採用され、顧客が見逃したチャンスに気付けるようにインタラクティブな広告体験を提供しています。

リテンションキャンペーンでは顧客ロイヤルティをさらに高め、常に思い出してもらえるように、ショッピングジャーニー全体で、有意義な情報や関連性の高いロイヤルティオファーを最適なタイミングで提示する、といった取り組みも行っています。

リテールメディア 

キャンペーンの全期間を通じて、Off The Gridはリテールメディアを活用し、予約に結び付く可能性の極めて高い特定のオーディエンスとの関係を戦略的に構築できるようになりました。たとえば、このキャンペーンではオープンウェブのさまざまなリテールサイトで「旅行かばん」の商品カテゴリーを閲覧している買い物客をターゲティングし、それらの買い物客にOff The Gridのヨーロッパツアーについての広告を配信します。

測定 

キャンペーン期間の終了時、Off The Gridが取り組みの成果を評価したところ、ウェブサイト上の旅行予約件数は昨年の3倍に増えていたことがわかりました。コマースメディアによってクローズドループ型のレポートを生成できるため、広告支出を予約に直接結びつけることが可能になっています。その結果、Off The Gridは、コマースメディア戦略の継続的な活用と新たな成長キャンペーンの立ち上げに向け、十分な情報を得た上で将来の予算編成をすることができるようになりました。

コマースメディアのパワーを最大限に引き出す 

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