新たな試みが続々と~進む飲食業界のサステナビリティ

更新日 2021年07月10日

2015年に国連が提唱し、いまや全世界で大きなムーブメントとなっているSDGs。経営方針やCSR活動に反映させる企業も増え、SDGsへの取り組みの有無が企業の価値や社会的評価を大きく左右するようになっています。飲食店も例外ではなく、海外ではサステナブルな取り組みをするレストランを格付けする機関も登場、「サステナブルな取り組みをしないレストランは、客から支持されない」という考え方が浸透し始めていると言います。そして、その動きは日本にも。今回は日本でも本格的に始まった飲食店のサステナブルな取り組みをいくつかピックアップしてご紹介します。

1)サラダショップGRIT TODAY「MY ECO BOWL」

出典:GRIT TODAY プレスリリース

新型コロナ禍でテイクアウトのサービスを始める飲食店が増える中、使い捨て容器の需要も伸びています。その一方で、海洋汚染の一因でもあるプラスチックの多用や、使い捨て容器によるゴミ増加の問題を指摘する声も上がっています。そこで、日本でも一部の飲食店で使い捨て容器をプラスチック製からサステナブルな素材(紙など)のものに切り替える動きが相次いでいます。

東京・恵比寿のサラダ専門店「GRIT TODAY」も、その1つ。同店ではプラスチックの消費量削減を目指して、2021年1月から環境負荷の少ない容器(さとうきびの絞りカスから出来たバガスモールド容器)を導入していますが、同年5月30日からは、さらに1歩進んで、客が持参した容器に入れてサラダを提供するサービス「MY ECO BOWL」をスタートしました。6月30日までの期間限定で同サービスの利用者に全商品を10%オフで提供するキャンペーンを実施。同社では「お客様が持参する容器にサラダを提供することにより、ゴミを最小限にするとともに、全国的なプラスチック製レジ袋の有料化のように、使い捨ての資源を極力使用しない食品購入の習慣を意識するきっかけとして広げていきたい」としています。

2)「ポークたまごおにぎりカフェ」~フードロス問題を周知

飲食業界にとって、フードロスは深刻な課題の1つです。しかし、飲食業に携わっていない一般の人々の間では、まだフードロスが身近な社会問題として認識されているとはいいがたい状況です。そこで、「ポークたまごおにぎりカフェ池袋西口店」では、2021年3月にフードロスの問題を多くの人に知ってもらうための企画を実施、賞味期限の近い食品を持ち込むと無料でポークたまごおにぎりにトッピングしてもらえるサービスを提供しました。期間中は周辺の飲食店や住民から、賞味期限間近なカニカマやポテトチップス、厚切りベーコン、ミートソースなどが持ち込まれ、世界に1つだけのオリジナルおにぎりに変身。賞味期限切れ間近の食品も、工夫次第で美味しく食べられることを多くの人に知ってもらうきっかけとすることができました。

出典:ポークたまごおにぎりカフェプレスリリース

3)ニッコー「table source」~飲食店向けSDGs支援メディアをローンチ

金沢市に本社を置く洋食器メーカーのニッコー株式会社は2021年4月、飲食店のサステナビリティをテーマとするウェブマガジン「table source(テーブルソース)」を開設しました。主な対象読者層は、飲食店経営者、ホテル経営者、シェフや生産者など。マガジンには国内外の飲食店やホテルによるサステナビリティに関する取り組みやサステナブルな商品を紹介する記事を掲載、サステナビリティやサーキュラーエコノミーに取り組みたい飲食店やホテルに情報収集からサステナブルな調達、情報発信までをワンストップで支援する内容となっています。

また、ニッコーでは本サイトの開設と同時に同サイト食器のサーキュラーエコノミーを推進する研究開発プロジェクト「NIKKO Circular Lab(ニッコー・サーキュラー・ラボ)」も始動、循環型の食器づくりを通じて、ニッコーと取引のある飲食店・ホテル・顧客と地球全体のサステナビリティを高めていくことを目指しています。

出典:ニッコー株式会社プレスリリース

このようにさまざまな切り口でサステナブルな取り組みが始まっている、日本の飲食業界。2019年にはサステナブルな飲食店を格付けするSRA(SUSTAINABLE RESTAURANT ASSOCIATION)の日本支部、日本サステイナブル・レストラン協会も設立されました。近い将来、日本でもロケーションや料理の味に加えて、「サステナブルかどうか」で飲食店が選ばれる時代がやってくるのかもしれません。