予算削減、プロモ中止が75%! 新型コロナウイルスはマーケティング活動にどう影響したのか?

更新日 2020年07月16日

新型コロナウイルスに翻弄された2020年の上半期が終わり、「With Corona」時代の幕開けともいえる、下半期がスタートしつつあります。上半期は、まさに誰も経験したことのない変化が世界中で巻き起こり、マーケティング業界も大きな方向転換を余儀なくされました。ここで一旦、この波乱の上半期を振り返り、新型コロナウイルスの流行がマーケティング業界に与えた影響を振り返り、下半期以降の戦略のヒントを探したいと思います。

今回参考にしたのは、ブランドのファン育成・活性化を手掛けるアジャイルメディアネットワーク株式会社が2020年5月に企業のマーケティング責任者・担当者を担当に実施したアンケート調査。この調査の結果から、日本のマーケティング業界が新型コロナウイルス感染拡大からどのような影響を受け、どのような気づきを得たのかが明らかになりました。

マイナスだけでなく、前向きな「影響」も!

まず、新型コロナウイルスの感染拡大によりマーケティング活動に影響を受けたかどうかを聞いたところ、全体の実に98%が「受けた」と回答しました。新型コロナウイルス感染拡大は業界や企業の規模を問わず、本当に甚大な影響を与えたことが実感できる数字です。

では、影響を受けたと回答した企業では、具体的にどのような影響を受けたのでしょうか?同調査に寄せられた回答のうち最も多かったのが「予算削減やリプランニング」「プロモーションの停止」で、ともに全体の75%に上りました。「商品/サービスの提供遅延」が65%、「新商品発売/サービス開始の遅延・中止」も52%にのぼっていることから、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、予定していたマーケティングプランの変更を余儀なくされた企業が多かったことがわかります。しかし、回答の中には「顧客とのコミュニケーション手法の変化」や「デジタルトランスフォーメーションの推進」「注力分野の変更」など、新型コロナウイルス感染拡大による変化に翻弄されつつも、迅速かつ柔軟に「今できる対策」を講じる前向きなアクションを起こしたことがわかる回答も見られました。

(出典)アジャイルメディアネットワーク株式会社プレスリリース

投資の拡大1位はSNS活用・SNS広告

では、新型コロナウイルスの影響を受けた企業では、今後、どのような分野への投資を抑制、もしくは拡大する予定なのでしょうか?同じくアジャイルメディアネットワークの調査で「新型コロナウイルス蔓延の状況を踏まえ、投資を抑制した、または抑制する予定がある取り組みはありますか」と聞いたところ、最も多かったのは「イベント/ポップアップストア」で71%、次いで「マス広告」が46%、「店頭販促・分析」と「交通広告」がともに45%を占めました。

(出典)アジャイルメディアネットワーク株式会社プレスリリース

一方、「新型コロナウイルス蔓延の状況を踏まえ、投資を拡大した、または拡大する予定がある取り組みはありますか」という質問への回答では、「SNS活用/SNS広告」が最も多く、全体の57%に。次いで「eコマース」が35%、「オウンドメディア」34%、「動画活用」33%など、上位6項目はすべてオンラインでの取り組みでした。「動画活用」や「オンラインのイベント/セミナー/展示会」など、今回の外出自粛期間中に一気に普及が進んだ取り組みをいち早く取り入れ、非対面・非接触のスタイルで顧客との接点を維持しようとする企業が多いことが、よくわかる結果となりました。

また、投資を抑制する予定の分野・拡大する分野を比較すると、リアルからオンラインへのシフトが明白に。今後もしばらくの間、「リアル」ではなくオンラインでのマーケティングが主流になっていくことが、改めて明らかになりました。

(出典)アジャイルメディアネットワーク株式会社プレスリリース

成功の鍵は、パーソナライズされた顧客コミュニケーション

では、下半期以降のWith Coronaの時代を迎えるにあたって、各ブランドの担当者はどのような問題意識をもっているのでしょうか?また、どのようなことに注力したいと考えているのでしょうか?

アンケートで自由回答を募ったところ、以下のような意見が寄せられました。

  • 店頭販促や新商品投入が難しい中、ブランド力が試される時。やはりロイヤルユーザーを持ったブランドが強い。(飲料メーカー)
  • お客さまとの関係をどのように築いていくか。企業目線でない、真のお客さま目線でのコミュニケーションが必要になっていくと考える。そのためには企業が変わらないといけない。(食品メーカー)
  • デジタルを改めて強化しなければならない。また、ロイヤルユーザーをしっかり持つ仕組み作り。アンバサダーの発想が必要。(飲料メーカー)
  • コロナ自粛が落ち着いた後、オフライン(≒店舗で)の営業の仕方、サービスの提供方法について。安全性が担保されているとしても、敬遠される可能性について。オンラインだけで、顧客とのリレーションを新規で獲得できるか。(フィットネス系サービス)
  • 生活者/消費者のオフライン→オンライン化の加速と購買行動の変化への対応。オフラインチャネル~オンラインチャネルの縦割りの解消。(百貨店)

以上、新型コロナウイルス感染拡大の影響で従来どおりのスタイルで顧客との接点を維持することが困難になった今、単発のキャンペーンに頼らない継続的なアプローチによって顧客生涯価値を高め、ロイヤルカスタマーを醸成していくことの重要性を指摘する回答が多く見られました。

顧客生涯価値の向上には、パーソナライズされたコミュニケーションやアプローチが不可欠。あらためて既存顧客としっかり向き合い、一人ひとりのニーズに的確に応えるマーケティング施策への投資が今後ますます重要となってくるでしょう。

criteoでは創業以来一貫して、広告のパーソナライゼーションに取り組み、ショッピングジャーニーのあらゆる場面で買い物客のデータ分析に基づいてパーソナライズされた広告を提供できるサービスを提供しています。新型コロナウイルス感染拡大の渦中においても、それが消費者の購買行動にどのような変化をもたらしているのかについていち早くリサーチ、その結果を随時ダッシュボードで公開しています。With Corona時代の御社のマーケティング活動をより実りあるものとするために、criteoの情報発信をどうぞご活用ください。