2021年第1四半期以降の旅行業界は民泊、交流の再開、回復がトレンドの重要要素

更新日 2023年10月31日

Criteoが新たにリリースする今回の旅行業界データパックの分析は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって大きな打撃を受けた旅行業界に、新たな希望をもたらす内容となっています。今回の分析からは、すでに旅行業界の回復の兆しが見え始めており、カテゴリーごと、そして国ごとに進みつつある業績回復の状況についてご紹介します。

Criteoの旅行業界データパックは、世界20カ国の800社を超える旅行業者のデータと、9カ国の11,000人以上の旅行者を対象に実施したアンケート調査に基づいています。以下で、2021年第1四半期における世界の旅行業界の動向、また今後の旅行者のトレンドの一部をご紹介します。

飛行機を使った旅行需要は世界全体で低調である一方、一部の地域では回復の兆しが見られる

COVID-19の感染拡大からすでに1年以上が経過しましたが、Criteoのデータによると、飛行機を使った旅行の予約は依然として2019年12月の平均より36%低い水準にとどまっています。しかし、これは48%低い水準だった1月から見ると、12ポイント増加しており、回復傾向が見られます。

飛行機を使った旅行の業績は、欧州・中東・アフリカよりも南北アメリカとアジア太平洋地域の方が回復のペースが速く、これは欧州全体の多くの都市でいまだにロックダウンが解除されていない状況を反映したものだと言えます。また、国内便の方が国際便よりも速いペースで業績が回復しつつあります。

回復を牽引する民泊

民泊の需要は、第1四半期を通じて世界的に安定した高まりを見せています。ソーシャルディスタンスの確保や長期滞在がしやすい点は、プライベートの旅行や「ワーケーション」での民泊利用を検討する旅行者の需要を今後も喚起することになるでしょう。

米国では、4月の予約はわずかに減少したものの、3月はパンデミック以前の水準を上回る結果でした。欧州では、直近のロックダウンにもかかわらず民泊利用は回復に向かっており、2021年4月半ばには、2019年12月と比較して22%の増加となりました。一方、アジア太平洋地域は横ばい傾向が続いており、今なお低い指標値となっています。

旅行者は、家族や友人になるべく早く会いに行きたいと考えている

今回のアンケート結果から、旅行者はCOVID-19に関する懸念を持ちながらも、家族や友人に会うため短期間の旅行の予約を始めていることがわかりました。世界の回答者の69%が、今後6カ月のプライベートな旅行について、レジャーや休暇ではなく、家族や友人の訪問を目的として旅行を予定していると回答しました。5人に1人以上が1カ月以内に家族や友人を訪ねる予定と回答しています。

次の旅行は国内旅行に

渡航制限やソーシャルディスタンスの確保、衛生対策、医療提供の状況などへの懸念から、旅行者が国内にとどまる傾向が翌年にかけて続くと見られます。世界の回答者の4分の3は、海外旅行ではなく国内旅行の予約をする予定と回答しています。

米国では、この傾向は特に高齢者世代で顕著となっています(全体が84%であるのに対して、ベビーブーム世代とサイレント世代は92%)Z世代とミレニアル世代は旅行に対してより積極的で、4人に1人は米国市民の入国を受け入れているメキシコなどの国への旅行を予定しています。

COVID-19のワクチン接種を行って、それを証明するパスポートが交付された場合でも、今後12カ月で国外旅行を予定している米国の旅行者は34%にとどまっています。

夏の繁忙期が秋の本格的な回復につながる

ワクチンの接種率が向上する中で従来の夏季休暇/ホリデーシーズンを迎えることから、旅行業界のカテゴリー全体での業績向上が見込まれます。Criteoのデータによると、この傾向は今秋も継続することが予想され、最初に回復したカテゴリーの業績は秋にはさらに向上し、パンデミック以前の水準に回復、またはそれを超えることが予想されます。

2021年2月1日から3月15日までの予約では、旅行のカテゴリーの中で最初に民泊が完全な回復を見せ、2020年の同時期と比較して秋の予約は5%の増加を記録しました。

旅行の予約を増やす3つの方法

Criteoのデータ、そして旅行者によるアンケートの回答を踏まえると、旅行業者は今後、次の3つのポイントを留意する必要があります。

全額返金に対応することで、先行きが不透明な国内旅行と国外旅行に関する旅行者の不安を解消する。

全額返金が可能なら、旅行の予約をしたいと回答した旅行者は世界全体で64%にのぼりました。

出典:2021年第1四半期、旅行調査。回答者:「飛行機/列車/クルーズ船のチケットが全額返金可能なら、チケットを購入する可能性が高まるだろう」に対して「強くそう思う」および「ややそう思う」とした回答者

ソーシャルディスタンスの確保に引き続き対応し、衛生対策への取り組みを発信することで旅行者の不安を取り除く。

これらはすべての地域での旅行において、極めて重要な要素です。

出典:2021年第1四半期、旅行調査。回答者:全回答者。

モバイル取引のシェアが拡大している現在の状況を踏まえ、モバイルウェブサイトとアプリのユーザーエクスペリエンスを最適化する。

Criteoのデータによると、現在の世界全体の取引の51%はモバイルから行われています。

旅行業界のデータについて、詳しくはこちらから2021年第1四半期の旅行業界データパックをダウンロードして全編をご覧ください。また、Criteoのブログをブックマークしていただければ、四半期ごとの旅行業界の最新情報をお届けします。